アラスカンマラミュートの特徴
- 犬種名:アラスカン・マラミュート(Alaskan Malamute)
- 原産国:アメリカ合衆国(アラスカ州)
- 区分:大型犬
- 分類:スピッツタイプ(FCIグループ5)
- 体高:オス 約63cm前後/メス 約58cm前後
- 体重:オス 約38kg前後/メス 約34kg前後
- 被毛:ダブルコート(上毛+下毛)
- 毛色:グレー、ブラック、レッド、セーブル、ホワイトなど
- 性格:愛情深い、友好的、独立心がある(指示に納得しないと動きにくいことがある)
- 寿命:10〜12年程度
- 役割:そり犬(重量物の運搬)
アラスカンマラミュートは、骨太でがっしりした体格と、寒冷地仕様の厚い被毛が目を引く大型犬です。
見た目の印象だけで判断しないために、まずはサイズ感、被毛の構造、毛色の傾向といった「体の特徴」を整理して押さえておきましょう。
アラスカンマラミュートの大きさ
アラスカンマラミュートは大型犬の中でも体格がしっかりしており、成犬の体高はオスで約63cm、メスで約58cmが目安です。
体重はオスが約38kg前後、メスが約34kg前後とされますが、骨格や筋肉量には個体差があるため、数字以上に大きく見えることもあります。
成長のしかたとしては、体高は1歳頃までに伸びやすい一方で、筋肉のつき方や体つきの完成、精神面の落ち着きにはもう少し時間がかかる傾向があります。
子犬期は抱き上げられても、すぐに体重が増えるため、早い段階から「大型犬を扱う前提」で生活動線や抱え方を考えておくと安心です。
アラスカンマラミュートの被毛タイプ
被毛は「ダブルコート」と呼ばれる二重構造で、皮膚に近い部分に密な下毛(アンダーコート)、外側にやや硬めの上毛(オーバーコート)が重なります。
この構造によって保温性に優れ、寒い環境でも体温を保ちやすいのが特徴です。
一方で、下毛が密なぶん抜け毛は多く、換毛期にはブラッシングのたびに大量の被毛が抜けることがあります。毛が絡んだまま放置すると通気性が落ち、蒸れやすくなるため、日常的に「毛を取り除いて空気を通す」意識が重要です。
被毛は体表を守る役割も担うため、見た目だけを理由に短く刈り込むのではなく、必要性がある場合は専門家に相談したうえで調整するとよいでしょう。
アラスカンマラミュートの毛色の種類
毛色はバリエーションが豊富で、ライトグレーからグレー、ブラック、レッド系、毛先に黒みが入るセーブル(黒みを帯びたレッド〜ブラウン系)などが見られます。
単色で認められるのはオールホワイトで、それ以外の毛色では、胸や腹、足先、顔まわりなどに白いマーキングが入るのが一般的です。
また、成長に伴って色味の印象が変わることもあります。子犬の頃は濃く見えても、成長とともに下毛とのバランスが変わって明るく見えたり、赤みや黒みが強く出たりする場合があります。
呼び名はブリーダーや登録団体の表現で差が出ることもあるため、毛色を重視する場合は写真だけで判断せず、実際の見え方を確認する姿勢が大切です。
アラスカンマラミュートの性格
アラスカンマラミュートは愛情深く友好的で、家族と一緒に過ごすことを好む犬種です。特定の一人だけに強く依存するというより、家庭全体を仲間として受け入れ、穏やかに寄り添う傾向があります。
一方で、自分で判断したがる独立心があり、状況を見て行動を選ぶような場面も見られます。従順さだけを期待すると「頑固」と感じることがあるため、性格として理解しておくとギャップが生まれにくいでしょう。
人に対しては好意的で、知らない相手にも落ち着いて接する個体が多いとされます。そのため、強い警戒心で相手を威嚇するタイプの番犬としては、イメージと異なる場合があります。
また、犬同士の相性には個体差があり、初対面の犬に対して距離を取りたがる、主張が強く出るといったこともあります。体が大きいぶん態度がはっきり見えやすいので、性格の幅として捉えることが大切です。
アラスカンマラミュートの歴史
アラスカンマラミュートは、アラスカ西部の沿岸地域で暮らしていた先住民Mahlemut(マラミュート)に由来するとされる犬種です。
人の生活圏で働く使役犬として、そりで荷物を運ぶ役割を中心に、狩猟の補助やキャンプ周辺の警戒なども担ってきたと伝えられています。
19世紀末のゴールドラッシュ期には、物資輸送を支えるそり犬の需要が急増し、各地から犬が持ち込まれました。その影響で交配が進み、純粋性が揺らいだ時期があった一方、隔絶した環境にいたMahlemutの系統は比較的保たれたともいわれます。
20世紀初頭には賞金を賭けたそりレースの流行もあり、他犬種との交配が目立った時期がありました。その後、純粋犬を残そうとする動きが強まり、1920年代後半から改良・保存が進められ、1935年にAKCで登録が記録されています。
さらに、極地探検などの遠征でそり犬として使役された記録もあり、過酷な環境で働く犬として歴史の中で役割を果たしてきました。
アラスカンマラミュートの価格相場
アラスカンマラミュートは国内での飼育頭数が少なく、安定して流通している犬種ではありません。そのため価格は一定ではなく、血統や繁殖背景、月齢、性別、ブリーダーの方針などによって幅があります。
子犬の価格は40万円〜60万円前後が目安とされることが多く、輸入血統や希少な毛色、計画繁殖による個体ではさらに高額になる場合もあります。
希少犬種であるため、時期によっては希望のタイミングで子犬が見つからないことも珍しくありません。
また、迎え入れ時には生体価格とは別に、ワクチン接種やマイクロチップ登録、輸送費などが必要になります。大型犬用の用品も小型犬より高価になりやすいため、初期費用は余裕を持って考えておくと安心です。
アラスカンマラミュートのブリーダーを探す方法
何も情報がない状態から探す場合は、まず犬種名でブリーダー情報を扱っている専門サイトや、犬種団体の公式サイトを確認するのが一般的な入口になります。ペットショップで見かける機会は少ないため、ブリーダー探しが基本になります。
候補が見つかったら、実際に見学が可能かどうかを確認しましょう。飼育環境が清潔に保たれているか、親犬が落ち着いた様子で過ごしているかを見ることで、そのブリーダーの考え方や管理状況が伝わってきます。
また、質問に対して丁寧に答えてくれるか、犬種の特徴や飼育上の注意点について具体的な説明があるかも重要な判断材料です。「すぐに引き渡せる」「今決めないといなくなる」といった急かす言動が多い場合は、慎重に検討したほうがよいでしょう。
アラスカンマラミュートは長く付き合う大型犬です。価格だけで決めるのではなく、信頼できる相手から迎えることが、その後の生活を安定させる大切なポイントになります。
アラスカンマラミュートの飼い方
アラスカンマラミュートと快適に暮らすためには、「体の大きさ」と「寒冷地向きの体質」を前提に、日々の生活設計を組み立てることが欠かせません。
住環境の温度管理、十分な運動、扱いやすい習慣づくりをバランスよく整えることで、家庭犬として落ち着いて過ごしやすくなります。
室内で飼う場合は、体がぶつかっても危なくない家具配置や動線の確保を意識しましょう。床は滑りにくい素材が望ましく、マットなどで足元を補助すると踏ん張りが利きやすくなります。
暑さが苦手な犬種のため、夏場は涼しい環境を保ち、湿度が高くならないよう換気や除湿も併用することが大切です。
アラスカンマラミュートの運動量
運動は毎日の生活の中で確保する必要があります。成犬で健康な個体の目安として、1日2回の散歩を基本に、各回でしっかり体が温まる程度の時間を取るとよいでしょう。
単に歩くだけでは物足りないことがあるため、早歩きを取り入れたり、坂道や起伏のあるコースを選んだりして負荷を調整します。
ただし、暑い時期は運動量よりも安全を優先し、早朝や日没後の涼しい時間帯に切り替えます。路面温度が高い日は肉球を傷める可能性があるため、手のひらで地面を触って熱さを確認してから出かけると安心です。
子犬やシニアは関節への負担が大きくなりやすいので、年齢に合わせて距離や強度を抑え、無理のない範囲で継続します。
アラスカンマラミュートのしつけ方
この犬種は学習能力が高い一方で、自分で状況を判断したがる傾向があります。命令を力で通すよりも、ルールを分かりやすく示し、できた行動を確実に褒めて定着させる方法が向いています。
優先したいのは、リードを強く引っ張らないこと、興奮して飛びつかないこと、合図があるまで待てることです。体が大きくなるほど一つの行動が事故につながりやすいため、子犬のうちから短時間で繰り返し、成功体験を積み上げます。
家庭内のルールは家族で統一し、許可すること・しないことを日によって変えないようにすると混乱が減ります。
アラスカンマラミュートのケア方法
日常で最も差が出やすいのが被毛の手入れです。通常期は週に数回を目安にブラッシングし、換毛期は抜け毛が増えるため頻度を上げて整えます。
毛をとかすことは見た目を整えるだけでなく、毛玉の予防や皮膚状態の確認にもつながります。
シャンプーは汚れ具合に合わせて行い、洗ったあとは地肌までしっかり乾かすことが重要です。被毛が密な犬種は乾き残しが蒸れにつながりやすいため、家庭での乾燥が難しい場合は大型犬に慣れたサロン利用も選択肢になります。
あわせて、耳の汚れチェック、歯のケア、爪の長さ確認なども習慣化し、触られることに慣らしておくと負担が少なくなります。
アラスカンマラミュートの寿命と病気
アラスカンマラミュートの寿命は、大型犬としては標準的で、目安は10〜12年程度とされます。
年齢を重ねるほど関節や代謝の負担が増えやすいため、体型の維持と、日々の小さな変化に気づく観察が健康管理の土台になります。
元気や食欲があるように見えても、「歩き方がぎこちない」「立ち上がるのをためらう」「お腹が張る」「目が白っぽい」などのサインが出ることがあります。
気になる様子が続く場合は自己判断で様子見を続けず、早めに動物病院に相談しましょう。
アラスカンマラミュートのかかりやすい病気
大型犬は体重があるぶん、関節や消化器に負担がかかりやすい傾向があります。また、犬種として報告されやすい病気もいくつかあるため、代表的なものと注意点を把握しておくと安心です。
ここでは、日常で気づきやすいサインと、予防につながる考え方を中心に紹介します。
股関節形成不全
股関節の形やゆるみが原因で、痛みや歩行の違和感が出ることがあります。
子犬の頃から見られる場合もあり、「後ろ足をかばう」「立ち上がりが遅い」「階段や段差を嫌がる」といった様子がサインになることがあります。
体重が増えすぎると関節への負担が大きくなるため、適正体重を保つことが大切です。成長期の過度なジャンプや急な運動は避け、気になる歩き方が続く場合は早めに診察を受けましょう。
胃拡張・胃捻転症候群
胸が深い体型の大型犬で注意したい緊急性の高い病気です。胃にガスや内容物がたまって膨らみ、ねじれが起こると急激に状態が悪化することがあります。
「お腹が急に張る」「吐きたそうなのに吐けない」「落ち着きなく動く」「よだれが増える」などが見られたら、すぐに受診が必要です。
予防の考え方としては、食事を一度に大量に与えない、早食いを避ける、食後すぐに激しく動かさないといった工夫が挙げられます。急な腹部膨満と苦しそうな様子は緊急サインと覚えておきましょう。
白内障
水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。加齢で進行することもあれば、若いうちから見られるケースもあります。
「目が白っぽく見える」「暗い場所で動きが慎重になる」「物にぶつかる」などが気づきのきっかけになります。
視力の変化は生活の質に直結するため、異変を感じたら早めに受診しましょう。定期健診の際に目の状態も確認してもらうと安心です。
甲状腺機能低下症
代謝に関わるホルモンが不足し、元気や体型に変化が出ることがあります。
「以前より動きたがらない」「太りやすくなった」「毛艶が落ちる」「皮膚トラブルが続く」など、ゆっくり進む変化が目立ちやすい病気です。
似た症状は他の原因でも起こるため、血液検査などでの確認が重要です。年齢とともに「なんとなく元気がない」が続くときは、体調の変化として相談してみましょう。
皮膚炎(膿皮症・アレルギー性皮膚炎など)
被毛が密な犬種は、皮膚が蒸れやすくトラブルにつながることがあります。「赤み」「かゆみ」「フケ」「ベタつき」「におい」「同じ場所を舐め続ける」といった変化が見られたら注意が必要です。
皮膚の状態は季節や体調で変わりやすいため、症状が続く場合は原因を特定するためにも受診をおすすめします。繰り返す場合は、体質や生活環境に合わせた対策を獣医師と一緒に考えるとよいでしょう。
多発性神経障害
神経の働きに影響が出ることで、歩行のふらつきや後ろ足の弱さなどが見られる場合があります。進行のしかたや症状の出方には個体差があり、疲れやすさとして最初に気づくこともあります。
加齢の変化と見分けがつきにくいこともあるため、「つまずきが増えた」「足先をすりやすい」といった違和感が続くときは、早めに動物病院で相談しましょう。
アラスカンマラミュートに似た犬種
アラスカンマラミュートは外見の印象が強いため、他の大型犬や寒冷地原産の犬種と混同されることがあります。
見た目が似ていても、体格のバランスや気質、家庭での関わり方には違いがあるため、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。
シベリアンハスキー
最も間違われやすい犬種で、オオカミのような外見や立ち耳、被毛の色合いが似ています。ただし、ハスキーはマラミュートより一回り小さく、体つきも引き締まった印象です。
そり犬としてはスピードを重視するタイプで、動きが軽快なのが特徴です。見た目が似ているため比較されがちですが、並ぶと体格差がはっきり分かります。
サモエド
ふわふわの白い被毛と穏やかな表情が特徴の犬種で、同じ寒冷地原産の大型犬として並べられることがあります。体の大きさはマラミュートよりやや小さく、全体に丸みのあるシルエットです。
見た目の迫力よりも柔らかい印象が強く、写真だけを見ると大型犬の区別がつきにくい場合があります。
秋田犬
がっしりとした体格や落ち着いた佇まいが似ていると感じられることがあります。寒さに強い被毛や堂々とした立ち姿は共通点ですが、顔立ちや尾の巻き方などに違いがあります。
和犬らしい雰囲気を持ち、洋犬のマラミュートとは見比べると細部の印象が異なります。
バーニーズ・マウンテン・ドッグ
同じ大型犬で、骨格のしっかりした体つきから比較されることがあります。ただし、被毛はトライカラーで、マラミュートのような寒冷地向きの二重構造とは見た目の印象が大きく異なります。
横に並べると体の幅や重厚感は似ていても、毛色や顔立ちで区別しやすい犬種です。
まとめ
アラスカンマラミュートは、骨太で力強い体格と厚い被毛を備えた大型犬で、家族に寄り添う愛情深さも魅力です。一方で、暑さに弱く、十分な運動と涼しい住環境、継続的な被毛管理が欠かせません。
迎える際は生体価格だけでなく、用品や医療、空調などの費用も含めて長期的に計画しましょう。信頼できるブリーダーを選び、日々の体調変化に気づける体制を整えることが、安心して共生する近道です。



