ホワイト・スイス・シェパード(ホワイトシェパード)|犬種の特徴や性格、飼い方と子犬の価格相場まで解説

ホワイト・スイス・シェパード(ホワイトシェパード)|犬種の特徴や性格、飼い方と子犬の価格相場まで解説

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの飼い方や性格を詳しく紹介。初心者は飼える?運動量やしつけのコツ、値段、寿命、かかりやすい病気、注意点まで、飼う前に知っておきたいポイントをまとめています。

ホワイト・スイス・シェパードの歴史

ジャーマン・シェパードとホワイト・スイス・シェパード・ドッグ

  • 犬種名:ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ(White Swiss Shepherd Dog)
  • 原産国:スイス(祖先はドイツ)
  • 犬種グループ:牧羊犬・作業犬グループ(FCIグループ1)
  • サイズ分類:大型犬
  • 体高:オス 58~66 cm/メス 53~61 cm
  • 体重:オス 30~40 kg/メス 25~35 kg
  • 被毛タイプ:ダブルコート(中短毛またはロングストックコート)
  • 毛色:純白(ホワイトのみ)
  • 性格・気質:知的・穏やか・忠実・繊細・家族想い
  • 寿命:10〜14年

ホワイト・スイス・シェパードは、スイスを原産とする比較的新しい犬種で、その祖先はジャーマン・シェパード・ドッグにさかのぼります。

20世紀初頭のドイツでは、白い毛色が犬種基準から除外されましたが、その美しさに魅せられた北米の愛好家たちが繁殖を続け、白いシェパードの血統を守りました。

これらの白いシェパードは、1999年にアメリカのユナイテッドケネルクラブ(UKC)によって「ホワイト・シェパード」として独立犬種として公認されます。

1960〜70年代には北米からスイスに輸入され、スイスの繁殖家たちが穏やかで家庭向きの性格と、より水平な背中のラインを重視した繁殖を進めました。

その結果、2002年に国際畜犬連盟(FCI)で「ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ」として暫定公認、2011年には正式に独立犬種として認められました。この「スイス」という名称は、繁殖地であるスイスに由来しています。

日本では「ホワイト・スイス・シェパード」として少しずつ知られるようになりましたが、北米系の「ホワイト・シェパード」とは血統や基準が異なります。

現在は専門ブリーダーを通じて迎えられることが多く、白い被毛の美しさと穏やかな気質から人気が高まりつつあります。

ホワイト・スイス・シェパードの特徴

落ち葉の上に立っているホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、知的で穏やかな性格と、バランスの取れた体型を併せ持つ大型犬です。

ジャーマン・シェパード由来の力強さを残しながらも、全体的に柔らかい印象を与えます。純白の被毛と整った骨格、落ち着いた表情がこの犬種の大きな魅力です。

均整の取れた体型

ジャーマン・シェパードと異なり、背中(トップライン)はより水平に近く、自然で滑らかな姿勢を保ちます。これにより歩行バランスが良く、健康的な体型として高く評価されています。

アーモンド形の目

アーモンド形の目が特徴で、知性と優しさを感じさせる表情をしています。

普段は穏やかで温厚ですが、警戒時には集中力のある鋭い視線に変わります。家族との絆が深い犬種であり、感情が表情に表れやすい点も魅力です。

高い聴覚をもつ立ち耳

大きくピンと立った耳は聴覚が鋭く、周囲の音を敏感に察知します。見知らぬ人や環境には慎重に反応しますが、信頼できる相手には優しく従順に接します。

感情を伝える垂れ尾

長く豊かな被毛に覆われた尾は、犬の感情をよく表します。リラックスしているときは自然に垂れ下がり、興奮や警戒時には高く掲げます。その姿からも繊細な気質がうかがえます。

外見だけでなく、知性や温厚さといった内面的な魅力もホワイト・スイス・シェパードの大きな特徴です。次章では、その体格や生活環境に合った飼育のポイントを紹介します。

ホワイト・スイス・シェパードの大きさ

女性に抱きつかれているホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードは大型犬に分類されます。

成犬の体高はオスが58~66 cm、メスが53~61 cm、体重はオスが30~40 kg、メスが25~35 kgほどです。均整の取れた体型で、筋肉質ながらも軽やかな動きが特徴です。

子犬期は成長が早く、骨格や筋肉が完全に成熟するまで約1年半から2年ほどかかります。

初めて見る人には「想像より大きい」「でかい」と感じられることもありますが、実際にはバランスが良く、力強さと優雅さを兼ね備えています。

ホワイト・スイス・シェパードの被毛タイプ

毛の長さが異なる2頭のホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードの被毛はダブルコート(二重構造)です。

外側のオーバーコートは硬くしっかりしており、内側のアンダーコートは柔らかく密生していて保温性に優れます。この構造により寒冷地でも快適に過ごすことができます。

被毛のタイプには「中短毛(ミディアム)」と「ロングストックコート」があり、どちらも被毛量が多く、抜け毛も豊富です。

特に春と秋の換毛期には毎日のブラッシングが理想的です。定期的なケアを怠ると、毛玉や皮膚炎の原因となるため注意が必要です。

ホワイト・スイス・シェパードの毛色

路上で横向きに立っているホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードの毛色は、犬種名の通り純白のみが認められています。

真っ白な被毛は光沢があり、清潔感と気品を感じさせます。この純白の毛並みは、ホワイト・スイス・シェパードの最大の魅力のひとつです。

白い被毛は汚れが目立ちやすいため、日常のブラッシングや月1回程度のシャンプーで清潔を保ちましょう。正しいケアを続けることで、光沢と健康的な毛艶を維持できます。

ホワイト・スイス・シェパードの性格

飼い主の足元に寄り添って甘えるホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードの性格は、知的で温厚、そして忠実です。

飼い主や家族に対して深い愛情を示し、常に穏やかな態度で寄り添います。非常に賢いため指示の理解が早く、状況を読んで行動する力にも長けています。

一方で、繊細で感受性が高いため、強い叱責や厳しい態度は逆効果です。優しく一貫した接し方が信頼関係の構築につながります。ま

た、見知らぬ人や環境にはやや慎重ですが、慣れれば穏やかに接することができます。

このような気質から、家族と一緒に過ごす時間を大切にする家庭に特に向いており、子どもや他のペットとも上手に付き合える柔軟さを持っています。

ホワイト・スイス・シェパードの飼い方

飼い主と手をつなぐホワイト・スイス・シェパードのアップ

ホワイト・スイス・シェパードを迎えるには、犬の特性を理解したうえで、安心して暮らせる環境を整えることが重要です。

大型犬としての運動量や被毛ケア、温度管理など、毎日の生活リズムに合わせた準備が必要です。

室内の飼育環境つくり

この犬種は家族とのつながりを何よりも重視するため、基本的に室内飼育が望ましいです。

外で長時間放置するとストレスがたまりやすく、問題行動につながることもあります。室内にはゆったりくつろげるスペースを確保し、常に家族のそばで過ごせる環境を整えましょう。

暑熱対策と室温管理

密集したダブルコートにより暑さには弱く、特に夏場は熱中症のリスクが高まります。

エアコンで室温を22~25 ℃に保ち、湿度も50%前後を目安に調整します。散歩は早朝や夕方の涼しい時間帯を選び、直射日光や高温のアスファルトを避けるようにしましょう。

抜け毛対策と被毛ケアのコツ

ホワイト・スイス・シェパードは抜け毛が非常に多いため、週に3〜4回以上のブラッシングが理想です。

換毛期には毎日行うことで、皮膚の通気性が保たれ、毛玉や皮膚トラブルを防げます。ブラッシングはマッサージ効果もあり、犬との信頼関係を深める良い機会になります。

皮膚を傷めないシャンプー習慣

シャンプーは月に1回程度を目安に行います。敏感肌の個体も多いため、低刺激性のシャンプーを使い、しっかりとすすぎます。皮脂汚れや被毛の臭いを防ぐだけでなく、皮膚トラブルの予防にもつながります。

耳掃除と歯磨きの基本ケア

立ち耳で通気性は良いものの、汚れが溜まりやすいため定期的な耳掃除が必要です。

イヤーローションで優しく拭き取り、赤みや異臭がないかを確認します。歯磨きも毎日の習慣にし、歯石や口臭を防ぐことが健康維持につながります。

ホワイト・スイス・シェパードのしつけ方

飼い主とトレーニング中のホワイト・スイス・シェパードの子犬

ホワイト・スイス・シェパードは非常に賢く、飼い主の表情や声色を敏感に読み取ります。

しつけの基本は「一貫性」「穏やかさ」「信頼関係」です。家族間でルールを統一し、犬が混乱しないように接しましょう。

この犬種は繊細な気質のため、叱責よりも褒めて伸ばす「陽性強化(ポジティブ・リインフォースメント)」が効果的です。正しい行動をした瞬間に褒めることで、理解力が高まり、自信を持って行動するようになります。

また、生後3か月頃までの社会化期に多様な人・犬・音・環境に慣れさせることが大切です。恐怖や緊張を感じにくくなり、穏やかで社交的な成犬に育ちます。

ホワイト・スイス・シェパードの運動量

飼い主と路上を散歩するホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードは高い知性と持久力を持つため、十分な運動量が不可欠です。

1日2回、合計で2時間程度の散歩や運動を確保するのが理想です。運動不足はストレスや問題行動の原因となります。

散歩では歩くだけでなく、ドッグランでの自由運動やボール遊びを取り入れるとよいでしょう。加えて、おやつを探す「ノーズワーク」など頭を使う遊びを行うと、心身両面で満足度が高まります。

ただし、成長期の子犬には過度な運動を避け、関節への負担を軽減するよう配慮します。年齢や体調に合わせて無理のない範囲で継続しましょう。

ホワイト・スイス・シェパードの食事で気をつけたいこと

食器からフードを食べているホワイト・スイス・シェパード

大型犬特有の「胃捻転(いねんてん)」や関節疾患を防ぐため、食事内容とタイミングには注意が必要です。一度に大量に与えず、1日2〜3回に分けて与えるのが理想です。食後は1〜2時間の安静時間を設けましょう。

早食いを防ぐために凹凸のあるフードボウルを使用するのも有効です。

また、肥満は関節への負担を増やすため、定期的に体重を測り、適正体型を維持してください。栄養バランスの良い高品質なドッグフードを選び、年齢や運動量に合わせて調整します。

サプリメントの使用は、関節ケアや皮膚トラブルなどの目的に応じ、必ず獣医師の指導を受けて検討しましょう。健康的な食習慣の積み重ねが、長寿にもつながります。

ホワイト・スイス・シェパードの値段相場

芝生の上を歩くホワイト・スイス・シェパードの子犬

ホワイト・スイス・シェパードの子犬を迎える際の値段は、一般的に30万〜50万円程度が目安です。

血統やブリーダーの繁殖方針、親犬の遺伝子検査結果などによって価格は変動し、ショータイプや良血統の個体では60万円を超えることもあります。

日本国内では飼育頭数が少ないため、ペットショップでの販売はまれで、ほとんどが専門のブリーダーを通じての直接購入となります。

信頼できるブリーダーを選ぶことで、健康状態や性格面を確認しながら安心して子犬を迎えることができます。

購入費用のほかにも、ケージやベッド、フード、医療費など初期費用が発生します。さらに年間の飼育費用(フード、ワクチン、トリミングなど)として10〜20万円ほどを見込んでおくと安心です。

単なる「価格」ではなく、生涯にわたる責任と費用を意識して迎えましょう。

ホワイト・スイス・シェパードのブリーダーを探す方法

ホワイト・スイス・シェパードの母犬と3頭の子犬

ホワイト・スイス・シェパードは国内での繁殖数が少なく、専門ブリーダーを通じて探すのが一般的です。

価格の安さだけでなく、親犬の健康状態や遺伝的疾患(股関節形成不全・肘関節形成不全・変性性脊髄症など)の検査結果を開示しているかを確認しましょう。

犬舎の清潔さや飼育環境も大切な判断ポイントです。実際に見学が可能であれば、子犬の育ち具合や親犬の性格を確認し、飼育方針を直接聞くことで安心感が得られます。また、ブリーダーとの相性も重要で、質問に丁寧に答えてくれるかどうかも信頼の指標になります。

数は少ないものの、保護団体や里親募集サイトで成犬を譲渡している場合もあります。里親として迎える際は、性格や健康状態、これまでの生活環境をしっかり確認したうえで判断しましょう。

ホワイト・スイス・シェパードの寿命

原っぱに立ち遠くを見つめるホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードの平均寿命は10〜14年程度です。大型犬としては比較的長寿の傾向にあり、体重管理や適切な運動、定期的な健康チェックで健康寿命を延ばすことが可能です。

特に肥満は関節への負担を増やすため、食事内容や運動量を常に見直すことが大切です。歯周病や皮膚疾患などの慢性トラブルも早期ケアで防げます。年1回以上の健康診断を受け、シニア期には半年ごとの検査が理想的です。

また、胃捻転など突発的な疾患を防ぐために、食後の安静時間を守ることも欠かせません。日々の小さな配慮の積み重ねが、長く健康に暮らす秘訣です。

ホワイト・スイス・シェパードのかかりやすい病気

ベッドの上で悲しげな表情のまま伏せるホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードは比較的丈夫な犬種ですが、大型犬に多い関節疾患や遺伝性疾患には注意が必要です。定期的な健康診断と早期発見が、重症化の予防につながります。

股関節形成不全

大型犬に多い遺伝性疾患で、股関節が正常に形成されず歩行に支障をきたすことがあります。親犬の検査結果を確認し、適切な体重管理と無理のない運動を心がけることで発症リスクを軽減できます。

肘関節形成不全

成長期に関節が不均等に発達することで痛みや跛行が出る疾患です。滑りやすい床での生活や過度な運動を避け、成長期の骨への負担を最小限に抑えましょう。

胃捻転

胸の深い大型犬に多く見られる疾患で、食後に胃がねじれることで呼吸困難を引き起こすことがあります。1回の食事量を減らし、食後は1〜2時間の安静を保つことで発症を予防できます。

変性性脊髄症(DM)

高齢期に発症する神経疾患で、後肢の麻痺や歩行障害を起こします。進行を止める治療法は確立されていませんが、遺伝子検査でリスクを把握することが可能です。早期のリハビリや生活環境の整備が重要になります。

MDR1遺伝子変異

特定の薬剤に対して過敏反応を起こす体質です。投薬前に遺伝子検査を受け、結果を獣医師に提示して安全な薬を選びましょう。検査を事前に行うことで、薬物中毒のリスクを大幅に減らせます。

ホワイト・スイス・シェパードを飼う際の注意点

街中の雑踏とホワイト・スイス・シェパードの横顔

ホワイト・スイス・シェパードは穏やかで賢い犬種ですが、飼育には十分な理解と責任が求められます。環境、時間、マナーの3つを意識して迎えましょう。

生活スペースと運動時間の確保

30 kgを超える大型犬のため、室内でも快適に動ける広さが必要です。毎日2時間前後の運動を確保できるかどうかを事前に検討しましょう。体力と知能の両方を満たす活動を取り入れることで、ストレスを防げます。

留守番ストレス対策

この犬種は家族と過ごす時間を好み、孤独に弱い傾向があります。長時間の留守番が続くと不安から問題行動を起こす場合があるため、短時間から少しずつ慣らしていくことが大切です。

子犬期の社会化

子犬の頃から多くの刺激に慣れさせることが、穏やかな性格形成に欠かせません。他の犬や人、音や環境に段階的に慣らし、警戒心を減らすことでバランスの取れた気質に育ちます。

公共マナーと安全管理

大型犬は存在感があるため、公共の場ではリードを短く持ち、常に飼い主がコントロールできる状態を保ちましょう。ドッグランなどでは他の犬や飼い主への配慮を忘れず、周囲の安心感を大切にします。

賠償責任保険と法的義務

大型犬の飼育では、万が一に備えて賠償責任保険(個人賠償責任特約など)への加入を推奨します。

また、日本国内では飼犬登録と年1回の狂犬病予防接種が法律で義務づけられています。責任ある飼育を行い、社会的マナーを守りましょう。

まとめ

庭で伏せてくつろぐホワイト・スイス・シェパード

ホワイト・スイス・シェパードは、純白の被毛、高い知性、そして家族に深く寄り添う優しい性格を持つ大型犬です。見た目の美しさだけでなく、忠実で思慮深い気質が多くの愛犬家を魅了しています。

十分な運動時間と室内環境、暑さ対策、健康管理を整え、子犬期から社会化としつけを根気よく行うことで、理想的なパートナーとして成長します。

飼い主としての責任を持ち、この犬の魅力を最大限に引き出しながら、長く健やかな日々を共に過ごしましょう。

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