コトン・ド・テュレアール|犬種の特徴や性格、子犬の販売価格から寿命まで全て解説

コトン・ド・テュレアール|犬種の特徴や性格、子犬の販売価格から寿命まで全て解説

コトン・ド・テュレアールの飼い方を徹底解説。希少犬種の性格、特徴、価格相場、しつけのコツ、寿命、かかりやすい病気を紹介します。綿毛のような被毛のお手入れ方法や、あなたの家で飼えるかの判断材料に。

コトン・ド・テュレアールの歴史

落ち葉で覆われた地面に立つコトン・ド・テュレアール

  • 犬種名:コトン・ド・テュレアール(Coton de Tuléar)
  • 原産国:マダガスカル
  • 分類:愛玩犬/小型犬(FCIグループ9)
  • 体高:オス 26〜28cm/メス 23〜25cm
  • 体重:オス 4〜6kg/メス 3.5〜5kg
  • 毛色:ホワイト(耳に淡いライトグレーまたはレッド・ロアンの斑を許容)
  • 性格:明るく社交的で愛情深いが、寂しがり屋
  • 寿命:約14〜16年

コトン・ド・テュレアールは、アフリカ大陸南東沖のマダガスカル島で生まれた希少な小型犬です。

名前はフランス語で「綿」を意味する「コトン(Coton)」と、島南西部の港町「トゥレアール(Tuléar/現地名:Toliara)」に由来し、「トゥレアールの綿毛犬」として知られてきました。

16世紀前後、ヨーロッパの船乗りたちがマルチーズやビション系の小型犬を島に持ち込み、それが祖先犬となったと考えられています。

孤立した島の環境の中で独自に発展し、やがてマダガスカル王族の愛玩犬として大切にされ、「マダガスカルのロイヤル・ドッグ」と呼ばれるようになりました。

1970年にフランスのケネルクラブ(SCC)で犬種として公認され、1972年には国際畜犬連盟(FCI)が正式に犬種標準を制定。これをきっかけにヨーロッパやアメリカでも人気が高まりました。

日本でもジャパンケネルクラブ(JKC)に登録されていますが、国内では頭数が非常に少なく、依然として希少な犬種です。

コトン・ド・テュレアールの特徴

正面を向いて並んで座る2頭のコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールは、他の小型犬種とは異なる際立った魅力を持っています。その最も大きな特徴は、まるで「綿(コットン)」のような手触りをもつ独特な被毛です。

外見は優雅で繊細ですが、抜け毛が比較的少なく、犬種としての手入れ方法は特有な注意が必要となります。

被毛

コトン・ド・テュレアールの被毛は極めて細く柔らかく、ふんわりとしたボリューム感があり、風にそよぐ姿は綿毛そのもののようです。

アンダーコート(下毛)がなく、ウーリーな毛質ではないため、絡まりやすく日常的なお手入れが必須となります。

毛色

基本となる毛色は純白ですが、耳の部分に限っては淡いライトグレーやレッド・ロアン(roan:白毛と赤褐色毛の混色)の斑が入ることも許されています。

子犬の頃は耳の色がやや濃い場合もありますが、成犬になるにつれ、ほとんどが純白へと近づいていきます。

抜け毛

抜け毛が少ないため室内環境への影響は少ないですが、抜けた毛が被毛内に絡みつきやすいという特徴があります。そのため、毛玉防止のためにも毎日のブラッシングは欠かせません。

顔立ち

目は大きく丸く、色は深いダークブラウンで、知的で愛くるしい表情を生み出します。鼻は黒く、小型犬ながら凛々しく引き締まった印象を与えます。

耳・尾

耳は垂れており、ふんわりとした飾り毛に覆われています。尾も豊かな長毛に覆われ、歩行時には背中に軽くカーブを描きながら掲げられるのが特徴で、優雅でエレガントな印象を与えています。

コトン・ド・テュレアールの大きさ

芝生の上に立っているコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールは、コンパクトながらもしっかりとした骨格をもつ小型犬です。見た目はふわふわとした被毛により大きく感じられますが、実際の体重は軽く、抱き上げやすいサイズ感です。

国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準によると、体高(地面からき甲=肩の最も高い部分までの高さ)はオスで26〜28cm、メスで23〜25cmとされています。体重の目安はオスで4〜6kg、メスで3.5〜5kgほどです。

マルチーズよりやや大きく、トイ・プードルに近いサイズ感ですが、被毛の量が多いため実際よりもふっくらと見える傾向があります。成長は生後8〜10か月頃までにほぼ完了し、1歳前後で成犬の体つきが整います。

全体のバランスは「やや長方形」で、短い脚にふんわりとした被毛が調和し、愛らしさと上品さを兼ね備えたシルエットが特徴です。小型犬としては丈夫で筋肉質な体をしており、日常的な運動にも十分対応できる体格です。

コトン・ド・テュレアールの性格

屋外で楽しそうに走るコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールは明るく人懐っこく、家族と一緒にいることが大好きな伴侶犬です。

飼い主に対して非常に愛情深く献身的で、常にそばに寄り添おうとします。他人やほかの動物にも友好的に接する傾向があり、初対面の人にも抵抗なく近づくことができます。

好奇心旺盛で遊び好きな一面もあり、コミカルな行動で家族を楽しませようとする姿がよく見られます。高い知性をもち、周囲の状況や飼い主の様子を敏感に感じ取る能力に長けています。そのため、家庭の空気に調和することが得意で、穏やかで安定した環境を好みます。

一方で甘えん坊で寂しがり屋な傾向が強いため、長時間ひとりでいることを苦手とします。飼育にあたっては家族とのコミュニケーションを十分に取れる環境が必要です。

コトン・ド・テュレアールの価格相場

敷物の上に伏せているコトン・ド・テュレアールの子犬

コトン・ド・テュレアールの子犬の価格相場は、日本国内の一般的なブリーダー価格でおよそ40万〜60万円程度です。頭数が非常に少ないため流通量が限られており、ペットショップで見かけることは稀です。

特に血統が優れている場合や、ドッグショーなどへの出場を前提とした子犬の場合は、さらに価格が高額になり、100万円を超えることもあります。過去には150万円前後で販売された例もありますが、こうしたケースは極めてまれです。

価格には、子犬の性別、被毛の色や模様、月齢、親犬の血統やショー実績など、さまざまな要因が影響します。購入時は価格だけでなく、健康状態やブリーダーの信頼性も慎重に確認することが重要です。

コトン・ド・テュレアールのブリーダーを探す方法

ドッグショーに出ているコトン・ド・テュレアールとブリーダー

コトン・ド・テュレアールは日本国内では非常に希少で、ペットショップなど一般的な流通経路では入手が困難です。そのため、この犬種を迎えるには、専門的なブリーダーから直接譲り受けるのが最も確実な方法です。

ジャパンケネルクラブ(JKC)の公式サイトでは、登録されている犬舎(ブリーダー)情報を確認できます。また、希少犬種専門の紹介サイトや子犬販売サイトを利用して検索することも有効です。

気になるブリーダーを見つけたら、連絡を取って飼育環境や繁殖方針、親犬の健康状態について丁寧に質問しましょう。

繁殖数が少なく、子犬の出産タイミングによっては数ヶ月以上の予約待ちになることもあるため、余裕をもって問い合わせをすることをおすすめします。

コトン・ド・テュレアールのしつけ方

2頭のコトン・ド・テュレアールが遊んでいる様子

コトン・ド・テュレアールは高い知能をもち、飼い主とのコミュニケーションを好む犬種です。そのため、基本的なしつけは比較的容易ですが、賢いぶん飼い主の態度が一貫していないと混乱してしまう可能性があります。

褒めて伸ばすと学習が早い

コトン・ド・テュレアールは叱るより褒められることに喜びを感じます。「おすわり」や「まて」などの基本的なコマンドを教える際には、成功した時にご褒美を与え、大げさなくらい褒める「ポジティブトレーニング」が効果的です。

甘やかしすぎは問題行動の原因に

飼い主に甘えるのが上手な犬種であるため、可愛さからつい甘やかしすぎてしまいがちです。しかし、要求吠えや噛み癖といった問題行動につながることもあります。

子犬の時期から「許容できること」「できないこと」を明確に伝え、毅然とした態度で接するよう心がけましょう。

子犬期の社会化が穏やかさを育てる

子犬のうち(生後3週〜14週頃)から人間やほかの犬、日常的な物音や環境に積極的に触れさせる「社会化」を行うことで、将来的に安定した落ち着いた性格に育てることができます。

コトン・ド・テュレアールのお手入れ

飼い主にブラッシングされているコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールの最大の魅力である美しい被毛を維持するためには、毎日丁寧なブラッシングが欠かせません。

被毛は細く柔らかいため、非常に絡まりやすく、小さな毛玉も放置するとすぐにフェルト状になり皮膚トラブルを引き起こします。

ブラッシングにはスリッカーブラシやコームを使い、被毛の根元から毛先まで丁寧にとかし、毛玉を取り除きます。また、月1〜2回程度のシャンプーも必要ですが、水に濡れるとさらに絡まりやすくなるため、洗った後は完全に乾かし、根元まできちんとコームを通してドライングする必要があります。

技術や時間が不足している場合は、プロのトリミングサロンを利用することをおすすめします。

さらに、耳の中は蒸れやすく汚れが溜まりやすいため、獣医師の指導のもと定期的な耳掃除を行い、清潔に保ちましょう。

コトン・ド・テュレアールの飼い方

階段に座る飼い主の足元に寄り添うコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールは人間との触れ合いを非常に大切にする愛玩犬であり、常に家族と共に室内で暮らすことを前提として誕生した犬種です。

屋外での飼育や長時間の孤独な留守番は、性格的にも体質的にも不向きなため、飼い主が日常的に一緒に過ごせる環境が求められます。

必要な運動量

小型犬ですが、適度な運動が必要です。理想的な運動量としては、1日2回、各20〜30分程度の散歩が推奨されています。散歩の際は同じコースばかりでなく、時にはコースを変えるなどして、知的好奇心を刺激することも重要です。

遊び方

活発で知的な犬種のため、室内での遊びも欠かせません。「持ってこい」など飼い主と一緒に行う遊びや、おやつを隠して探す知育玩具などを取り入れると、精神的な刺激となり満足度が高まります。

飼育環境のポイント

室内の飼育環境では、滑りやすいフローリングなどは避け、カーペットやペット専用の滑り止めマットを敷くことで、膝蓋骨脱臼などの関節疾患や怪我を予防することができます。

お留守番

非常に寂しがり屋な犬種であるため、留守番時間はなるべく短く、目安として1日4時間以内に収めることが理想的です。どうしても留守番が長くなる場合は、家族間でスケジュール調整やペットシッターの利用も検討しましょう。

コトン・ド・テュレアールの寿命

原っぱに伏せて遠くを見つめるコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールの平均的な寿命は14〜16歳で、小型犬のなかではやや長寿傾向にあります。ただし、個体差はもちろん、日常の食事や運動、ストレス環境の影響を大きく受けるため、飼い主の管理によって寿命が前後することもあります。

健康寿命を延ばすためには、日頃から栄養バランスの取れた食事を与え、適切な運動量を維持するとともに、愛情深く接してストレスを軽減することが重要です。

また、7歳前後からのシニア期に入ると定期的な健康診断を行い、病気の早期発見・早期治療を心掛けることも長寿につながります。

特にコミュニケーションを重視する犬種なので、家族との触れ合いやスキンシップの時間を日常的に設けることが、心身の健康維持に効果的です。

コトン・ド・テュレアールのかかりやすい病気

悲しげな表情で伏せるコトン・ド・テュレアールのアップ

コトン・ド・テュレアールは比較的健康で遺伝疾患が少ない犬種ですが、小型犬特有の関節や目の疾患、また独特な被毛や体質による皮膚トラブルに注意する必要があります。

健康的な生活を送るためにも、特に気をつけたい病気について把握し、予防や早期発見を心掛けましょう。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨脱臼(パテラ)は膝の皿が正常な位置から外れてしまう疾患で、小型犬に比較的多く発症します。滑りやすい床や高い場所からのジャンプが症状を悪化させる要因になるため、生活環境に注意して予防する必要があります。

進行性網膜萎縮症(PRA)

進行性網膜萎縮症(PRA)は遺伝的な疾患で、網膜の機能が徐々に低下することにより視力が失われていきます。初期症状は夜盲症で、早期の遺伝子検査によりリスクを把握することが可能です。

マラセチア皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の発症リスク

被毛が豊かで通気性が悪くなりがちなため、マラセチア(酵母様真菌)による皮膚炎やアレルギー性皮膚炎を起こしやすい傾向があります。毎日のブラッシングや定期的なシャンプーによって皮膚の清潔を保つことで予防できます。

まとめ

穏やかな表情で寄り添いあう2頭のコトン・ド・テュレアール

コトン・ド・テュレアールはマダガスカル島原産の希少な小型犬で、綿のような美しい被毛と人懐っこい性格が最大の魅力です。

性格は陽気で社交的ですが、寂しがり屋のため長時間の留守番は苦手。毎日の丁寧なブラッシングや定期的なシャンプーなどの被毛ケアは必須で、手入れに時間を惜しまない家庭に向いています。

また、関節疾患や皮膚疾患の予防には室内環境を整える必要があり、飼育には細かな気遣いが求められます。愛情豊かで賢いため、褒めるしつけを心掛けることで良好な関係を築くことができます。

迎える際は、信頼できるブリーダーから入手し、適切なケアとコミュニケーションを大切にすることが、健康で長寿な暮らしにつながるでしょう。

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