ブルマスティフ|性格と犬種の特徴、飼い方やしつけ方から値段の相場まで

ブルマスティフ|性格と犬種の特徴、飼い方やしつけ方から値段の相場まで

ブルマスティフは危険?その性格、特徴、初心者には難しい理由を解説します。穏やかな番犬としての飼い方やしつけのコツ、寿命、かかりやすい病気、価格相場まで、飼う前に知るべき全情報を確認してみましょう。

ブルマスティフの特徴

芝生の上でどっしりと立つブルマスティフ

  • 正式名称:ブルマスティフ(Bullmastiff)
  • 原産国:イギリス
  • 分類:超大型犬(作業犬グループ)
  • 体高:オス 64〜69cm/メス 61〜66cm
  • 体重:オス 50〜59kg/メス 45〜54kg
  • 被毛:短毛・硬めで密生
  • 毛色:フォーン/レッド/ブリンドル(いずれもブラックマスク)
  • 性格:穏やか・忠実・勇敢・警戒心が強い
  • 寿命:7〜10年
  • 原用途:護衛犬(ゲームキーパーの夜警犬)

ブルマスティフは、堂々たる体格と存在感が魅力的な大型犬です。護衛犬としての歴史を反映した筋肉質な体躯、引き締まった短毛の被毛、そして独特な顔立ちが特徴です。外見上の特性を具体的なポイントごとに解説します。

体高・体重

ブルマスティフは大型犬に分類され、がっしりした骨格を持っています。標準的な体高はオスが64〜69cm、メスは61〜66cm程度です。体重はオスが50〜59kg、メスは45〜54kgほどで、メスの方がやや小柄です。個体差はありますが、この体格は力強く安定感にあふれています。

被毛と毛色

被毛は短く硬めの毛質で、身体に密着して生えており、手入れは比較的容易です。毛色には主に3種類あり、フォーン(淡い黄褐色)、レッド(赤みがかった茶色)、ブリンドル(縞模様)があります。また、口元周辺が黒い「ブラックマスク」もこの犬種を特徴づけるポイントです。

ブルマスティフ特有の顔立ち

顔は大きく四角い形状で、額には深いしわがあります。マズルが短いため短頭種に分類され、表情は穏やかで愛嬌があります。短いマズルはブルドッグの遺伝を受け継いだもので、護衛作業における機能性を追求した結果だと考えられています。

垂れ耳と太い尾のフォルム

耳は頭の高い位置からV字型に垂れ下がっており、尾は付け根が高く、先端に向かって徐々に細くなる形状です。過去には護衛犬としての怪我防止を目的に尾の切断(断尾)が行われることもありましたが、現代の日本では動物愛護の観点から行われていません。なお、断耳はブルマスティフではほとんど例がありません。

短毛でも換毛期の抜け毛は多め

短毛ですが、抜け毛が少ない犬種ではありません。特に春と秋の換毛期には見た目以上に多くの抜け毛があります。定期的なブラッシングが不可欠で、週に2〜3回はラバーブラシや獣毛ブラシを使って抜け毛を取り除く必要があります。

ブルマスティフの性格

2人の人の足の間で伏せるブルマスティフ

ブルマスティフの性格は、一言で表すなら「忠実で勇敢な守護者」です。護衛犬としてのルーツを持つため、家族に対しては非常に愛情深く献身的である一方、見知らぬ人や動物には警戒心を持って慎重に接します。家族への穏やかな愛情表現と、強い防衛本能がバランスよく共存しているのが特徴です。

落ち着きと忍耐力があり、物事に動じない安定感がブルマスティフの魅力です。常に冷静で落ち着いているため、必要以上に吠えたり興奮したりすることはあまりありません。しかし、自分の縄張りや家族が脅かされたと感じると、勇敢に立ち向かう強さを発揮します。

また、子どもに対しても非常に優しく、家族として認識した相手には寛容な態度をとります。ただし、大型で力強いため、意図せず相手を倒してしまう可能性があることには注意が必要です。

ブルマスティフは聡明ですが、時には頑固な一面も見せます。飼い主が一貫した態度でリーダーシップを示せば、信頼に応え、素直に指示に従いますが、曖昧な態度を取ると混乱し、言うことを聞かなくなることがあります。飼い主との関係性において、明確な上下関係ではなく信頼関係を大切にするタイプの犬種です。

ブルマスティフの歴史

木々に囲まれた道で堂々と座るブルマスティフ

ブルマスティフは、19世紀半ばのイギリスに起源を持つ犬種です。当時、広大な私有地に侵入する密猟者を捕らえるために、勇敢で力強く、かつ攻撃性を抑えた護衛犬が求められました。そのニーズに応える形で誕生したのが、現在のブルマスティフの原型です。

マスティフとブルドッグの交配で誕生

ブルマスティフは、オールド・イングリッシュ・マスティフとブルドッグの交配により誕生しました。マスティフからは大きな体格、力強さ、優れた嗅覚を受け継ぎ、ブルドッグからは機敏さや勇敢さを受け継いでいます。

当時の記録によると、マスティフの血統がやや多めになるような比率が好まれたと伝えられていますが、正確な交配比率についての記録は残っていません。

密猟者を捕らえた伝説の護衛犬

誕生当初は「ゲームキーパーの夜警犬(Gamekeeper's Night Dog)」として知られ、夜間の巡回時に密猟者を静かに追跡し、その巨体とパワーで相手を押さえつけ、傷つけることなく捕らえる役割を担いました。この特性は現在のブルマスティフにも受け継がれ、穏やかで冷静な護衛犬という性質につながっています。

日本では希少な大型護衛犬

ブルマスティフは世界的には一定の知名度を持つ犬種ですが、日本国内では非常に希少で、一般的なペットショップなどで見かけることはほとんどありません。

国内では飼育頭数も少なく、専門のブリーダーを通じての入手が主な方法です。そのため、飼育を希望する場合は、信頼できるブリーダーを探すことが重要となります。

ブルマスティフの飼い方

飼い主と一緒に路上を散歩するブルマスティフ

ブルマスティフは穏やかで忠実な性格を持つ犬種ですが、その体格や気質を考えると適切な飼育方法が必要です。特に運動や日常的なお手入れには、この犬種ならではの注意点があります。

関節を守るための運動量の目安

ブルマスティフは活動的な犬ですが、激しい運動や長時間の走行は関節への負担となります。成犬の場合、1日2回、1回30分〜1時間程度のゆったりとした散歩で十分です。

特に若犬の時期は骨や関節の形成がまだ十分でないため、ジャンプや急旋回、激しいボール遊びなど、関節に負担をかける運動は避ける必要があります。

抜け毛対策とブラッシングの頻度

ブルマスティフは短毛で手入れが簡単と思われがちですが、換毛期には見た目以上に多くの毛が抜けます。そのため、週に2〜3回はラバーブラシなどでブラッシングを行い、抜け毛や死毛を取り除くことが大切です。定期的なブラッシングは、皮膚の健康維持にも役立ちます。

顔のしわケアは毎日の習慣に

ブルマスティフ特有の顔のしわには汚れや湿気がたまりやすいため、毎日のお手入れが欠かせません。濡れたタオルでしわの間を丁寧に拭き、その後、乾いたタオルでしっかり乾燥させてください。手入れを怠ると皮膚炎や膿皮症の原因となります。

垂れ耳は定期清掃で外耳炎を予防

垂れ耳は通気性が悪く、汚れが溜まりやすいため、週に一度は耳の中をチェックして清潔に保ちましょう。定期的な耳の清掃により、外耳炎などの耳の疾患を防ぐことができます。

ブルマスティフを飼うのは危険?

床に伏せてつぶらな瞳でどこかを見つめるブルマスティフ

ブルマスティフは大型で力強く、一見すると危険な印象を与えることがありますが、実際のところ犬種自体が危険というわけではありません。問題となるのは、飼い主側の管理や飼育環境が不適切な場合です。この犬の持つ護衛犬としての特性を正しく理解し、的確に管理できなければ、リスクは高まります。

ブルマスティフは本来、侵入者を静かに抑え込むことを目的に作出されました。そのため、家族に対して深い愛情を注ぐ一方で、見知らぬ人や動物には警戒心が強く、縄張り意識が高い傾向があります。つまり、きちんとした社会化やしつけが行われない場合、攻撃的になる可能性も否定できません。

また、力が非常に強いため、十分な体力と精神的な余裕を持ち、犬の動きをコントロールできる飼い主が求められます。小型犬の飼育経験しかない方や、犬をコントロールするための明確なルール設定や指示ができない方には、この犬種を迎えることは難しいでしょう。

以上の理由から、ブルマスティフは決して初心者向きの犬種ではありません。しかし、大型犬の飼育経験が豊富で、適切なリーダーシップと責任感を持つ飼い主であれば、忠実で穏やかな伴侶として共に幸せに暮らすことが可能です。

ブルマスティフのしつけ

飼い主にお手をしているブルマスティフの子犬

ブルマスティフのしつけは、犬の力強さや護衛犬としての本能を適切にコントロールするために非常に重要です。幼少期から社会化を徹底し、飼い主が明確なリーダーシップを示すことで、安定した成犬に育てることができます。

社会化期の経験が性格を決める

ブルマスティフは警戒心が強く、縄張り意識も高いため、生後12〜16週までの社会化が特に重要です。この時期に家族以外の人や他の犬、様々な環境や音に積極的に触れさせてください。社会化が不十分だと、成犬になってから警戒心が強すぎる犬になる可能性があります。

力ではなく信頼で導くしつけ

ブルマスティフは賢く冷静な犬ですが、時には頑固さも見せます。そのため、飼い主は感情的にならず、穏やかで一貫した態度で接することが重要です。

「すわれ」「まて」など、明確で簡潔なコマンドを使い、できたときにはしっかりと褒めることを習慣化してください。信頼関係が築ければ、指示には素直に従います。

飛びつき・引っ張り癖は早期に矯正

成犬になると体重が50kg以上にもなるため、引っ張り癖や飛びつきなどの問題行動は子犬期から徹底して防止する必要があります。散歩時には必ず飼い主の横を落ち着いて歩かせる「ヒール(つけ)」を教え、家族全員が同じルールで統一して行動を管理しましょう。

ブルマスティフの価格相場

芝生の上でおもちゃを使って遊ぶブルマスティフの子犬たち

2025年現在、日本国内におけるブルマスティフの子犬の価格はおよそ40万円から70万円程度です。

希少犬種であるブルマスティフは国内での繁殖数が非常に少なく、価格は親犬の血統、ドッグショーの実績、子犬の性別や毛色などにより大きく変動します。

また、海外から輸入された場合には為替相場や輸送費用の影響を受け、さらに高額になることがあります。そのため、具体的な購入を検討する際は、信頼できるブリーダーに直接問い合わせ、最新の価格を確認する必要があります。

高額な価格の背景には、健全な子犬を育成するための親犬の健康診断、血統管理、子犬のワクチン接種や社会化訓練など、繁殖者が負担する多くの経費が含まれています。価格だけでなく、子犬が健全で信頼できる環境で育てられているかを確認することも重要なポイントです。

ブルマスティフのかかりやすい病気

悲しげな表情で床に伏せているブルマスティフ

ブルマスティフは、その体の大きさや体型的な特徴ゆえに、特定の病気にかかりやすい傾向があります。病気の予防や早期発見のためにも、飼い主は日頃から犬の健康状態を注意深く観察し、異変があれば速やかに獣医師に相談しましょう。

股関節形成不全

股関節形成不全と肘関節形成不全はブルマスティフを含む大型犬に特に多く見られる疾患です。遺伝的要素が強く、関節が正常に形成されず、痛みや歩行異常を引き起こします。肥満や過度な運動が症状を悪化させるため、体重管理や適切な運動が予防に効果的です。

胃捻転

ブルマスティフのように胸が深い犬種は胃捻転・胃拡張症候群を発症しやすく、命にかかわる緊急性の高い病気です。胃がガスで膨らんでねじれることで血流障害を引き起こします。

食後の運動を控え、早食いや一度に大量の水を飲ませることを避けるなどの予防策が必須です。お腹が急に膨らむ、吐こうとしても吐けないなどの症状が現れたら、即座に獣医師の診察を受けましょう。

がん(骨肉腫・リンパ腫)

ブルマスティフは特定のがんを発症するリスクが比較的高く、特に骨に発生する骨肉腫やリンパ系のがんであるリンパ腫がよく報告されています。

日頃から犬の体を触り、異常なしこりや腫れがないか確認することが早期発見につながります。高齢になるほどリスクが高まるため、定期的な健康診断を推奨します。

皮膚炎

顔のしわや垂れ下がった唇周辺は汚れや湿気が溜まりやすく、細菌の繁殖により皮膚炎や膿皮症などの皮膚疾患を起こすことがあります。日常的にしわを清潔に保つことで予防可能なため、毎日のお手入れを徹底してください。

ブルマスティフの寿命

床に伏せてくつろぐ成犬と子犬のブルマスティフたち

ブルマスティフの平均寿命は7〜10年程度とされています。これは同じ大型犬種であるラブラドール・レトリバー(平均寿命12〜13歳前後)と比較するとやや短い傾向です。超大型犬は体が大きく成長スピードが速いため、細胞や関節への負担が大きく、老化が早く進むと考えられています。

もちろんこれはあくまで目安であり、遺伝的な要因や日々の健康管理、運動や食事の質によって大きく変わることがあります。特に大型犬は肥満や運動不足が健康寿命を縮めるリスクになるため、日頃から体重管理と定期的な健康診断を行うことが重要です。

愛犬が少しでも長く健康で過ごせるようにするためには、成長期からの適切な食事・運動・生活環境の整備が欠かせません。年齢を重ねるごとに消化機能や関節への負担が変化するため、ライフステージに応じたケアを意識することが、寿命を延ばすためのカギになります。

まとめ

芝生の上で隣り合ってくつろぐ2頭のブルマスティフ

ブルマスティフは家族に献身的な愛情を示し、危険から守ろうとする忠実な犬種です。しかしその大型で力強い体格や護衛犬としての強い縄張り意識から、適切な管理や一貫したしつけが欠かせません。

寿命は7〜10年程度と比較的短く、関節疾患や胃捻転、がんなど、かかりやすい病気への配慮も必要です。価格は希少性のため比較的高額で、入手には信頼できる専門ブリーダーを選ぶことが重要です。

大型犬の飼育経験と確かな知識を持つ人にとって、最良のパートナーとなりうる犬種です。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。