ポメラニアンの平均寿命は何歳?長生きの秘訣から病気、食事まで解説

ポメラニアンの平均寿命は何歳?長生きの秘訣から病気、食事まで解説

ポメラニアンの平均寿命は12~16歳。愛犬に一日でも長く、元気に過ごしてほしい飼い主様へ。この記事では、寿命を人間の年齢に換算する早見表、かかりやすい病気と予防法、食事管理や生活習慣など、ポメラニアンを長生きさせる秘訣を詳しく解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

ポメラニアンの平均寿命は何歳?

幸せそうな表情を浮かべているポメラニアンのアップ

ポメラニアンの平均寿命は12~16歳とされています。小型犬は一般的に体が小さいほど長生きすると言われていますが、ポメラニアンもその例外ではありません。

アニコム損保が毎年公表している最新の「家庭どうぶつ白書2024」によると、犬全体の平均寿命は14.5歳、小型犬の平均寿命は14.7歳で、ポメラニアンの平均寿命はこれらの平均値と比較しても長寿な部類に入ります。

長寿の理由としては、体が小さいため心臓や関節への負担が比較的少なく、病気に適切な対応をすることで健康寿命が延びやすいことが挙げられます。

ただし、ポメラニアンには遺伝的にかかりやすい疾患があり、健康に過ごすためには病気予防や生活習慣の工夫も必要です。

ギネス記録に登録された最長寿命は?

2025年時点では、ギネス世界記録に公式登録されたポメラニアン単犬種の最長寿命は確認されていませんが、世界には平均寿命を大きく超え、20歳以上まで長生きしたポメラニアンが多数報告されています。

これらの例からも、適切なケア次第で大幅に寿命を延ばせる可能性があることがわかります。

ティーカップサイズは寿命が短い傾向にある

近年人気の高いティーカップポメラニアンは、小さく可愛らしい外見が魅力的ですが、体が極端に小さいために一般的なサイズのポメラニアンよりも寿命が短くなる傾向があります。

極端な小型化は骨格や内臓器官に負担をかけやすく、生涯を通じて健康リスクが高まります。そのため、ティーカップサイズをお迎えする場合には、信頼できるブリーダーを選び、健康状態を事前に十分確認することが大切です。

ポメラニアンの寿命を人間の年齢に換算すると?

人間と手を繋いで座っているポメラニアン

ポメラニアンの年齢を人間の年齢に換算すると、愛犬がどのライフステージにいるかが把握しやすくなります。一般的に小型犬は、最初の1〜2年間で急速に成長し、その後はゆるやかに歳を重ねていくと考えられています。

ここでは、ポメラニアンの実年齢と人間の年齢の対応関係を一覧にまとめました。

ポメラニアンの年齢早見表(人間換算)

以下の早見表は、小型犬の成長速度をもとに、ポメラニアンの年齢を人間の年齢に換算したものです。なお換算の根拠は、アメリカ獣医師会(AVMA)が提唱する「小型犬の年齢換算法(2019年版)」に準じています。

ポメラニアンの年齢 人間に換算した年齢
2ヶ月 3歳
6ヶ月 9歳
1歳 15歳
2歳 24歳(成人相当)
3歳 28歳
5歳 36歳
7歳 44歳(シニア期突入)
10歳 56歳
13歳 68歳
16歳 80歳(長寿)

ライフステージごとの特徴を理解して適切なケアを

ポメラニアンのライフステージは、大きく「子犬期(成長期)」「成犬期(成熟期)」「老犬期(シニア期)」の3つに分けられます。各段階で必要なケアや注意点も異なるため、愛犬が今どのステージにいるかを正しく理解して、適切な健康管理に役立ててください。

ポメラニアンがかかりやすい病気

聴診器の隣で伏せているポメラニアン

ポメラニアンは活発で元気な犬種ですが、小型犬特有の体質や遺伝的要因から、いくつか注意すべき病気があります。飼い主がこれらの病気についてあらかじめ知識を持ち、早期発見と予防を心がけることで、愛犬の健康維持につながります。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、後ろ足の膝のお皿が正常な位置から外れる病気です。

症状は軽症(グレードⅠ〜Ⅱ)では時々足を上げる程度ですが、重症(グレードⅢ〜Ⅳ)になると常に足を引きずったり、歩行が困難になったりします。滑りやすい床を避け、段差からの飛び降りを防ぐことが予防になります。

気管虚脱

気管虚脱(きかんきょだつ)は、気管が潰れて呼吸が難しくなる病気です。症状としては興奮時や飲水後に「ガーガー」といった乾いた咳が特徴で、重症の場合は呼吸困難を起こします。

肥満の予防や首への負担を避けるため、首輪ではなくハーネスを使用するとよいでしょう。軽症なら内科的な薬物療法、重症では外科的治療が必要なこともあります。

流涙症(涙やけ)

流涙症(りゅうるいしょう)は、涙が鼻へと流れる管(鼻涙管)の詰まりや先天的狭窄、アレルギーが原因で涙が溢れる病気です。目の周りが濡れた状態になり、赤茶色の「涙やけ」を引き起こします。

放置すると皮膚炎の原因になるため、日常のケアで涙をこまめに拭き取り、改善しない場合は動物病院での鼻涙管洗浄が必要になることもあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)は、甲状腺ホルモンが不足する内分泌疾患です。

中高齢のポメラニアンに多く、症状として元気がなくなり、食欲は減るのに太る、皮膚が乾燥し脱毛するなどがあります。血液検査で診断が可能で、甲状腺ホルモン補充療法が行われます。

脱毛症X(アロペシアX)

脱毛症X(だつもうしょうエックス)は、かゆみや炎症がないのに体の左右対称に被毛が抜ける原因不明の病気です。ポメラニアンに特に多いため「ポメラニアン脱毛症」とも呼ばれています。

主な仮説として性ホルモン分泌異常が挙げられます。健康に大きな影響はありませんが、皮膚が乾燥や紫外線の刺激を受けやすくなるため、適切な皮膚のケアが求められます。

病気の兆候に気づいた際は、早めに動物病院で診察を受けることが、愛犬を守る重要なポイントです。

ポメラニアンの食事で気をつけたいポイント

食器からドライフードを食べているポメラニアン

ポメラニアンは小型犬で運動量が比較的少ないため、食事管理が非常に重要です。食事内容や与え方が適切でないと、肥満や関節の病気、皮膚トラブルなどの健康問題を引き起こす可能性があります。

ここでは、ポメラニアンの健康維持や病気予防に役立つ、食事に関する大切なポイントを解説します。

年齢に合ったフード選びが健康維持につながる

ポメラニアンの健康維持には、年齢に応じた栄養素を含むフードを選ぶことが重要です。子犬期(1歳未満)は体の成長を支えるため高タンパク・高カロリーの子犬用フードを、成犬期(1~7歳頃)は栄養バランスが整った成犬用フードを与えましょう。

老犬期(7~8歳以降)は代謝や活動量が落ちるため、低カロリーで関節の健康をサポートするグルコサミンなどを含むシニア用フードが適しています。フードは必ずAAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準を満たす製品を選びましょう。

適切な食事量で肥満を予防する

ポメラニアンは肥満になりやすい犬種のひとつです。肥満は関節や心臓に大きな負担をかけ、健康寿命を縮める原因になります。

フードパッケージに記載された給与量はあくまで目安と考え、愛犬の体型に合わせて微調整が必要です。ボディコンディションスコア(BCS)で評価し、肋骨がうっすらと触れる程度の体型を維持するのが理想です。

食事回数は年齢に合わせて調整する

ポメラニアンの消化能力は年齢とともに変化します。消化器官が未発達な子犬期は、1日の必要な食事量を3~4回に分けて与えるのが理想です。

成犬以降は1日2回が一般的ですが、高齢になって消化力が低下した場合には、少量ずつ3回に分けると胃腸への負担を軽減できます。

おやつはカロリーの10%以内に抑える

愛犬とのコミュニケーションに役立つおやつも、与えすぎは肥満や栄養バランスの乱れにつながります。成犬では1日の必要カロリーの10%以内、栄養摂取が特に重要な子犬期では5%以内に抑えるのが理想です。栄養価があり、歯のケアも兼ねるデンタルガムなどを上手に活用しましょう。

健康を支える栄養素は必須脂肪酸・タウリン・亜鉛

ポメラニアンの美しい被毛や皮膚を健康に保つためには、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などの必須脂肪酸が欠かせません。

また、心臓や筋肉の健康に重要なタウリン、免疫力や皮膚の健康に役立つ亜鉛といった微量ミネラルも重要です。これらがバランスよく配合されたフードを意識的に選びましょう。

1日必要な水分量は体重1kgあたり50~60mL

十分な水分摂取は健康管理に欠かせません。特にドライフードを主食とするポメラニアンの場合、体重1kgあたり1日50~60mLの水分摂取を目安にしてください。複数箇所に新鮮な水を用意し、こまめに水を交換して清潔な状態を保つようにしましょう。

ポメラニアンを長生きさせる秘訣

飼い主に歯磨きをしてもらうポメラニアン

ポメラニアンは比較的長寿な犬種ですが、飼い主の適切なケアや日常の配慮次第で、さらに健康寿命を延ばすことが可能です。毎日の生活の中でちょっとした工夫をすることで、ポメラニアンが心身ともに健康で快適に過ごせる環境を整えましょう。

定期的な健康診断が寿命を延ばすポイント

健康なうちは症状が出にくい病気もあるため、若くて元気でも年に1回、シニア期(7~8歳以降)には半年に1回を目安に健康診断を受けましょう。血液検査や画像検査を含む定期的な診察が、病気の早期発見・早期治療につながります。

ストレスを減らす環境づくりが長寿につながる

ポメラニアンは好奇心旺盛な一方で、繊細な面も持っています。過度な騒音、頻繁な来客、家庭内での緊張状態などはストレスの原因となり、心身の健康に悪影響を与えることがあります。

愛犬が安心して休める専用の場所(クレートやベッドなど)を作り、リラックスできる環境を整えてあげましょう。

毎日のブラッシングで皮膚病を防ぐ

豊かな被毛を持つポメラニアンは、毛玉ができやすく放置すると皮膚炎の原因になります。毎日のブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、皮膚の赤みや湿疹、しこりなどを早期に発見する良い機会にもなります。日課として取り入れましょう。

毎日の歯磨きで歯周病予防と健康維持

小型犬のポメラニアンは顎が小さく歯が密集しているため、歯周病にかかりやすい傾向があります。歯周病が進行すると心臓や腎臓など全身疾患を引き起こす可能性もあるため、子犬のうちから口周りに触られることに慣れさせ、毎日の歯磨きを習慣化してください。

滑り止めや段差対策で関節の負担を軽減する

ポメラニアンは骨格が華奢なため、滑りやすいフローリングの床で転倒すると関節や骨に負担がかかります。カーペットや滑り止めマットを敷き、ソファやベッドなど段差がある場所にはステップやスロープを設置して関節への負担を軽減しましょう。

適切な運動量は1日20~30分の散歩

ポメラニアンは活発ですが、過度な運動は怪我の原因にもなります。毎日の散歩は1回あたり10~15分を2回程度、合計20~30分ほどを目安にしましょう。適切な運動は筋力維持やストレス解消につながり、健康寿命を延ばすことができます。

まとめ

芝生の上を楽しそうに歩くポメラニアン

ポメラニアンの平均寿命は12~16歳と長く、適切なケアによってさらに長生きできる可能性があります。寿命を延ばすためには、年齢やライフステージに応じた食事内容や適切な食事量、こまめな健康管理が重要です。

また、膝蓋骨脱臼や気管虚脱など、ポメラニアンが特にかかりやすい病気の予防や早期発見のため、定期的な健康診断も欠かせません。さらに日頃からストレスの少ない生活環境を整え、歯磨きやブラッシングを毎日の習慣にすることが、健康で快適な毎日を過ごすポイントとなります。

何より大切なのは、愛犬の小さな変化に気づくことです。日々愛情を持って接し、丁寧なケアを心がけることで、ポメラニアンとの幸せな暮らしを一日でも長く楽しみましょう。

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