ビアデッドコリー|性格やしつけ、飼い方、寿命、価格まで徹底解説

ビアデッドコリー|性格やしつけ、飼い方、寿命、価格まで徹底解説

ビアデッドコリーの飼い方を徹底解説。陽気な性格や賢さを活かすしつけのコツ、気になる寿命や価格、大変な被毛のお手入れまで網羅。初心者や子供のいるご家庭で迎える前に知りたい情報が満載です。

ビアデッドコリーはどんな犬種?

芝生の上に立つビアデッドコリー

  • 英名:Bearded Collie(ビアデッドコリー)
  • 原産地:イギリス(スコットランド)
  • 犬種グループ:牧羊犬・牧畜犬(FCI・JKC分類)
  • 体高:オス53~56cm、メス51~53cm
  • 体重:18~27kg程度(中型~大型犬)
  • 平均寿命:12~14歳前後
  • 性格の傾向:陽気、社交的、賢い、飼い主に忠実
  • 被毛の特徴:ダブルコートで長毛

ビアデッドコリーは、その英語名(Bearded Collie)が示す通り、顎ひげを蓄えたような特徴的な外見が印象的な牧羊犬です。イギリスのスコットランドを原産地とし、牧畜を管理する役割を長年担ってきました。日本ではまだ珍しい犬種ですが、その陽気で愛らしい見た目から少しずつ人気が広がりつつあります。

スコットランドで牧羊犬として誕生

ビアデッドコリーのルーツは16世紀頃までさかのぼります。スコットランドへポーランドから持ち込まれた「ポリッシュ・ローランド・シープドッグ」が、地元の牧羊犬と交配を繰り返し、厳しい気候や地形に適した現在の姿へと発展しました。特に、寒冷な気候に対応した厚いダブルコートは、羊の群れを誘導し守るために大いに役立ちました。

日本では希少な犬種

日本国内において、ビアデッドコリーの知名度や飼育数は他の犬種に比べて高くありません。ジャパンケネルクラブ(JKC)の2024年度統計では、ビアデッドコリーの年間登録頭数は約30頭にとどまり、ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーなどの人気犬種に比べて大幅に少ない状況です。街中での遭遇機会は非常に稀ですが、SNSなどを通じてその魅力が徐々に認知されてきています。

国際的には「牧羊犬・牧畜犬」に分類

国際畜犬連盟(FCI)およびジャパンケネルクラブ(JKC)の犬種グループ分類では、ビアデッドコリーは「牧羊犬・牧畜犬グループ」に属しています。このグループは家畜の誘導や管理に特化した特性を持つ犬種で構成されており、ビアデッドコリーも高い知能や機敏さ、優れた持久力を備えています。

名前の由来は「口ひげのあるコリー(Bearded Collie)」

ビアデッドコリーの最大の特徴である口周りの豊かな被毛は、まるで顎ひげを生やしているかのような外見から「Bearded(口ひげのある)」と名付けられました。この特徴的な容姿は、彼らを世界中の犬好きから親しまれる存在にしています。

明るくフレンドリーな性格が人気を支える

日本での飼育頭数はまだ少ないものの、愛犬家の間では陽気で人懐っこい性格が評判となっています。家族と密接にコミュニケーションを取り、積極的に活動を共にする姿勢は、家庭犬として理想的な資質とされています。その一方で、高い運動欲求や被毛のケアの手間がかかる点から、飼育を検討する際は十分な準備と覚悟が求められます。

ビアデッドコリーの特徴

4頭並んで座る毛色の違うビアデッドコリー

ビアデッドコリーは、牧羊犬としての歴史を背景に、耐久力と機敏さを備えた中型〜大型犬です。最大の特徴ともいえる豊かな被毛や、バランスのとれた体型について詳しく解説します。

平均的な体高・体重

ジャパンケネルクラブ(JKC)が定める犬種標準では、ビアデッドコリーの理想的な体高はオスが53~56cm、メスが51~53cmとされています。体重には明確な規定はありませんが、一般的に18~27kg程度が標準的です。ただし、個体差や骨格の違いによって多少の変動があります。

毛色は多くの場合ホワイトの斑が入る

ビアデッドコリーは美しいダブルコート(上毛と下毛の二層構造)を持ち、スレート(青みがかった灰色)、ブラック、ブラウン、ブルー、サンド、レディッシュフォーンなど多彩な毛色があります。多くの個体はホワイトのマーキングが入っており、子犬期から成犬に成長する過程で毛色が変化することも珍しくありません。

口周りの毛が「顎ひげ」のような顔立ち

「ビアデッド(口ひげ)」という名の通り、口周りに生えた豊かな毛がまるで顎ひげのような外見を生み出しています。目は大きく表情豊かで、知性と親しみやすさを感じさせます。頑丈でやや体長が長い体型を持ち、軽快で優雅な動きを見せるのも特徴的です。

ビアデッドコリーの寿命と長生きのコツ

ビアデッドコリーの成犬と子犬

ビアデッドコリーは、中型〜大型犬のなかでは比較的長寿な犬種とされますが、個体ごとの生活環境や健康管理によって寿命は大きく左右されます。日々のケアや健康管理のポイントを解説します。

平均寿命は12~14歳

ビアデッドコリーの平均的な寿命は約12~14歳前後とされ、一般的な中・大型犬の平均寿命(10~13歳:JAVMA獣医学報告2020年)よりも長めです。ただし、これはあくまでも平均値であり、生活習慣や健康管理次第で変動することがあります。

寿命を伸ばすためには

ビアデッドコリーが健康で長生きするためには、適正体重の維持が大切です。特に肥満は関節や心臓に負担をかけ、さまざまな病気のリスクを高めます。

日々の食事管理と適度な運動を徹底するとともに、年に1回の動物病院での健康診断を受けることが推奨されます。特に股関節形成不全や進行性網膜萎縮症など、この犬種がかかりやすい遺伝性疾患の早期発見に努めることも欠かせません。

安定した生活環境を整えることも大切

ビアデッドコリーは感受性が豊かな犬種であるため、ストレスの少ない穏やかな家庭環境を提供することが重要です。十分な運動とコミュニケーションを確保し、精神的にも肉体的にも満たされた生活を送ることで、健康寿命を延ばすことが可能になります。

ビアデッドコリーの性格

小型犬と遊ぶビアデッドコリー

ビアデッドコリーは人と協力して牧羊作業をしてきた歴史を持つ犬種です。そのため、非常にフレンドリーで愛情深く、飼い主に忠実な性格を持っています。一方で、高い知性とエネルギーを持つため、飼い主側にしっかりとした関わり方や接し方が求められます。

陽気で社交的、初対面でも人懐っこい

ビアデッドコリーは基本的に明るくフレンドリーで、人や他の動物に対して積極的に交流を図ろうとします。初対面の人に対しても警戒心は少なく、すぐに打ち解けてしまう傾向があります。ただ、愛情表現が強く興奮しやすいため、適切なトレーニングで落ち着いた行動を促す必要があります。

賢く物覚えが良い反面、退屈を感じやすい

非常に知能が高く学習能力に優れていることから、複雑なトリックや高度な指示を覚えることも可能です。しかし、この賢さゆえに、単調な日々や刺激のない環境にいると退屈を感じ、いたずらや問題行動を起こしやすくなります。日常的に遊びや知的刺激を与え、常に好奇心を満たしてあげることが重要です。

一人ぼっちは苦手で分離不安になりやすい

飼い主や家族と強い絆を築くため、孤独な時間が長くなると強いストレスを感じる犬種です。長時間の留守番が頻繁にある家庭には適していません。家族の誰かが常に一緒にいる環境や、定期的に犬と過ごす時間を多く作れる環境が望ましいでしょう。

子どもや他のペットと良好な関係を築きやすい

おおらかで穏やかな性格により、子どもや他の犬・ペットとも良好な関係を築けます。ただし、遊び好きで力強いため、小さな子どもと接する際には十分注意が必要です。犬と子ども双方に正しい接し方を教え、大人が見守る中で交流させるよう心がけましょう。

ビアデッドコリーの価格相場

くっつき合って座る4頭のビアデッドコリーの子犬

日本国内では飼育頭数が少ないこともあり、ビアデッドコリーの価格相場は他の中・大型犬種と比べて高めです。購入ルートや血統などの条件によって価格が大きく変動しますので、事前の情報収集が欠かせません。

ペットショップでの価格

ペットショップでビアデッドコリーを見かけることは稀ですが、流通している場合の価格帯は、40万~60万円以上が相場となっています。血統や毛色、月齢などによっても価格に幅が出ることがあります。

ブリーダー直販の相場

専門のブリーダーから直接購入する場合の相場は、35万~60万円です。信頼できるブリーダーでは親犬の健康管理や遺伝子検査などを行っているため、子犬の健康面や飼育アドバイスなどのメリットがありますが、その分価格はやや高めになる傾向があります。

他の人気の中・大型犬種より高め

参考として、日本国内で人気のあるゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーの価格相場は2025年6月現在、25万~50万円程度です。

それに比べ、ビアデッドコリーは希少性が高く入手困難であるため、やや割高になる傾向があります。購入後の飼育費用(フード代、医療費、トリミング費用)も含め、慎重に検討しましょう。

ビアデッドコリーに必要なしつけ・トレーニング

吠えるビアデッドコリー

ビアデッドコリーは非常に賢く、飼い主を喜ばせることが大好きな犬種です。その一方、知性が高いため退屈を感じやすく、頑固な一面を見せることもあります。トレーニングには根気強さと一貫性が求められますが、適切なしつけを行えば素晴らしい家庭犬となります。

子犬期の社会化が性格形成に最も重要

ビアデッドコリーは感受性が豊かであるため、子犬期の社会化トレーニングが非常に重要です。早い段階から様々な人や犬、環境音などに慣れさせておくことで、成犬になった時に落ち着きのある穏やかな犬に育ちます。ワクチンプログラムが終了したら、積極的に外に連れ出し、多様なポジティブな経験をさせてあげましょう。

知性の高さを活かした「褒めるトレーニング」が効果的

ビアデッドコリーは、力や叱責で押さえつけるタイプのしつけには向いていません。代わりに、良い行動をした時におやつや褒め言葉などで報酬を与える「陽性強化(ポジティブ・レインフォースメント)」のトレーニングが最適です。

「おすわり」「まて」といった基本コマンドから、高度なトリックやノーズワークまで幅広く教えることが可能で、彼らの知的欲求を満たし、飼い主との絆も深まります。

吠え癖や飛びつき癖は子犬の頃からの対策が必要

ビアデッドコリーは牧羊犬として、吠えることで群れを管理したり危険を知らせたりする役割を担ってきました。そのため、無駄吠えが習慣化しやすい傾向があります。

来客時やインターホンが鳴った時など、興奮して吠えやすい状況に対して落ち着いて待つ練習を、早い段階から取り入れましょう。また、人懐っこい性格から興奮して人に飛びつくことがありますが、怪我の原因にもなりかねないため、「おすわり」や「まて」で落ち着かせるトレーニングが大切です。

ビアデッドコリーに必要な運動量と遊び方

芝生の上を走る2頭のビアデッドコリー

牧羊犬として培われた豊富な体力とエネルギーを持つビアデッドコリーにとって、毎日の適切な運動量を確保することは、心身の健康管理のうえで欠かせません。運動不足はストレスや問題行動につながるため、飼い主は日々の活動計画を立てておくことが重要です。

必要とされる散歩の運動量

ビアデッドコリーの成犬は、1日に合計1~1.5時間程度の散歩が必要とされています。回数は1日2回に分けるのが一般的で、個体の体力や年齢によって調整しましょう。散歩中はただ歩くだけではなく、適度にジョギングを取り入れたり、安全な広場で自由運動をさせたりすることが推奨されます。

フリスビーやボールを使った遊びが効果的

広々とした公園やドッグランでは、ボールやフリスビーを使った遊びが非常に効果的です。こうした遊びは、ビアデッドコリーの旺盛な運動欲求を満たし、心身のリフレッシュにも繋がります。特に牧羊犬として物を追いかける本能が強いため、こうした遊びは大きな満足感を与えます。

室内でもできる知育遊び

運動以外にも、知能が高いビアデッドコリーには頭を使う遊びが適しています。室内では「おやつ探しゲーム」や知育玩具(コングなど)を活用し、退屈を感じさせない工夫が必要です。また、アジリティやフライボールといったドッグスポーツに挑戦することも、知的欲求を満たし飼い主との絆を強める良い方法です。

ビアデッドコリーの飼い方のポイント

ブラシを持つ人の手とビアデッドコリー

ビアデッドコリーはスコットランド地方の涼しい気候に適応した犬種のため、日本の気候や生活環境に合わせた飼育管理が必要になります。特に被毛のお手入れや暑さ対策は日常的に欠かせません。また、健康維持のための食事管理も重要です。

毎日のブラッシングが必須

ビアデッドコリーは長く密なダブルコートを持っているため、毎日のブラッシングが必要不可欠です。ブラッシングを怠るとすぐに毛玉や絡まりができ、皮膚トラブルの原因となります。

特に耳の裏側や脇の下、内股など毛玉ができやすい箇所は念入りに手入れをしましょう。定期的にプロのトリマーに任せてシャンプーやトリミングをしてもらうのも効果的です。

室内温度は常に25℃前後が理想

ビアデッドコリーはスコットランド原産で暑さに弱い犬種です。日本の蒸し暑い夏季には熱中症になりやすいため、室内ではエアコンを使い、温度を25℃前後に維持することが理想的です。散歩は早朝や夕方以降の涼しい時間帯を選び、直射日光や高温を避けるように心がけましょう。

運動量に合った食事量の調整が重要

ビアデッドコリーは運動好きで活動量が多いため、良質なタンパク質を含むドッグフードが適しています。しかし食欲が旺盛な犬種でもあるため、与え過ぎには注意が必要です。

特に運動量に応じて食事量を調整し、肥満予防に努めましょう。適正体重の維持は関節や心臓への負担を軽減し、健康寿命の延伸にもつながります。

ビアデッドコリーがかかりやすい病気と予防法

床に伏せるビアデッドコリー

ビアデッドコリーは基本的に丈夫な犬種ですが、遺伝的に注意が必要な病気がいくつかあります。特に股関節形成不全や進行性網膜萎縮症(PRA)などは事前に予防や管理を徹底することが重要です。

股関節形成不全

股関節形成不全は、股関節が正常に形成されず、痛みや歩行異常を引き起こす遺伝性疾患です。ビアデッドコリーにも比較的多く見られます。

子犬期の過度な運動を避け、成犬期には肥満予防と適度な運動量の維持を徹底することが、発症や悪化を防ぐ最大の対策です。また定期的な健康診断で早期発見にも努めましょう。

進行性網膜萎縮症(PRA)

進行性網膜萎縮症(PRA)は網膜が徐々に萎縮していき、最終的には視力を失ってしまう病気です。遺伝的要素が強いため、事前に遺伝子検査を実施することでリスクを把握できます。現在のところ治療法はないため、早期に病気の兆候を発見し、環境を整えることで犬の生活の質を維持する必要があります。

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

アジソン病は、副腎から分泌されるホルモンが不足する病気で、元気の消失や食欲不振、嘔吐や下痢などの症状が現れます。ストレスをきっかけに急激に症状が悪化することがあるため、日常的なストレス管理も重要です。早期に病気を発見し、生涯にわたり獣医師の指示に従った投薬治療を続けることが必要になります。

まとめ

2頭並んで原っぱに伏せるビアデッドコリー

ビアデッドコリーは、陽気で人懐っこく、飼い主とのコミュニケーションを楽しむ犬種です。その一方で、豊富な運動量や毎日の被毛の手入れ、暑さへの配慮など、日本の環境では注意が必要な面もあります。

また、股関節形成不全や進行性網膜萎縮症などの遺伝性疾患にも注意が必要です。家族として迎える際には、十分な運動や社会化トレーニング、健康管理を徹底し、生涯を通じて深い愛情と責任を持って接することが求められます。

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