ポメラニアンを里親に迎える前の心構え
ポメラニアンを里親として迎えることは、新しい家族の一員としてその命に最後まで責任を持つ覚悟を決めることです。
保護犬には、以前の飼育環境が不明であったり、心に傷を負っていたりするなど、それぞれに異なる背景があります。
ペットショップで子犬を迎えるのとは異なり、成犬であるケースも多く、すぐには心を開いてくれないかもしれません。新しい環境や家族に慣れるまでには時間が必要です。焦らず、その子の個性とペースを受け入れ、愛情を持って気長に寄り添う姿勢が何よりも大切になります。
また、日々の食事やケア、病気や怪我の際の医療費など、生涯にわたって必要となる経済的な負担と、散歩やコミュニケーションに費やす時間的な余裕も不可欠です。
これらの責任をすべて受け止めた上で、終生飼養、つまり命を終えるまで家族として愛し続ける覚悟を持って迎える必要があります。
ポメラニアンとは?里親として迎える前に犬種の特徴を再確認
犬種の成り立ちや歴史
ポメラニアンのルーツは、ドイツとポーランドの国境にまたがるポメラニア地方にあります。その祖先は大型のジャーマン・スピッツなどスピッツ系の犬でした。
当時は牧羊犬や番犬として活躍していましたが、18世紀以降、特にイギリスのヴィクトリア女王が小型のポメラニアンを愛好したことから小型化が進み、世界中で愛玩犬としての人気を確立しました。
活発で勇敢な大型犬の気質を、小さな体に受け継いでいるのがポメラニアンの魅力の一つです。
体の特徴
ポメラニアンは、ふわふわで豊富な被毛が特徴的な小型犬です。体重は1.8kgから3.5kg程度が一般的です。その美しい毛並みは、硬いトップコート(上毛)と柔らかいアンダーコート(下毛)の二層構造になっている「ダブルコート」です。このため、換毛期には抜け毛が多く、日々のブラッシングが欠かせません。
また、体が小さい分、骨が細く華奢なため、高い所からの飛び降りなどには注意が必要です。特に膝のお皿の骨がずれてしまう「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」は、トイ・プードルやチワワといった他の小型犬同様、ポメラニアンにも起こりやすいとされる疾患の一つです。
性格
ポメラニアンは、明るく活発で、好奇心旺盛な性格をしています。飼い主に対しては非常に忠実で愛情深く、一緒に遊ぶことを好みます。その一方で、祖先が番犬であった名残から警戒心が強く、知らない人や物音に対して吠えやすい一面もあります。
しかし、非常に賢く物覚えが良いため、子犬の頃からの社会化としつけを適切に行うことで、良い家庭犬となります。
自立心も持ち合わせているため、過度に甘やかすのではなく、信頼関係に基づいた毅然とした態度で接することが大切です。
飼いやすさ
ポメラニアンは体が小さいため、日本の住環境であるマンションなどの集合住宅でも飼育しやすい犬種です。
必要な運動量も他の犬種に比べて多い方ではありませんが、好奇心を満たし、ストレスを発散させるために毎日の散歩は欠かせません。
飼育の上で最も手間がかかるのは被毛のケアです。美しい被毛を保ち、皮膚病を防ぐためには、毎日のブラッシングが必須となります。
また、警戒心の強さからくる吠えの問題については、根気強いしつけでコントロールする必要があります。骨が細いため、室内での転倒や落下事故にも十分な配慮が求められます。
ポメラニアンの里親になるには?迎えるための方法と条件
迎える方法
ポメラニアンを里親として迎えるには、主に二つの方法があります。一つは、動物保護団体やNPO法人が運営するウェブサイトや、定期的に開催される譲渡会で探す方法です。これらの団体では、保護された犬たちが新しい家族を待っています。
もう一つは、各自治体の保健所や動物愛護センターから直接譲渡を受ける方法です。どちらの場合も、申し込み後にアンケートの提出、スタッフとの面談、犬との面会(お見合い)といった手順を踏むのが一般的です。
その後、多くの場合で「トライアル期間」が設けられます。これは、実際に犬を自宅に迎えて一定期間一緒に暮らし、お互いの相性を確認するためのお試し期間のことです。
迎えるための条件
譲渡を受けるための条件は、団体や自治体によって異なりますが、共通して求められるのは犬を生涯にわたって幸せにできる環境と覚悟があるかという点です。
具体的には、安定した収入があり、犬の飼育にかかる費用を問題なく負担できる経済力、ペットの飼育が許可されている住居であることの証明、そして家族全員が犬を迎えることに同意していることが基本的な条件となります。
また、犬の留守番時間が長くなりすぎないことや、単身者や高齢者の場合は、万が一の際に犬の世話を引き継いでくれる後見人がいることを条件とする場合もあります。これらの条件は、犬が二度と手放されることのないように設けられています。
ポメラニアンを里親で迎える前の準備
ポメラニアンを家族として迎えることが決まったら、安心して暮らせる環境と必要な物品を事前に準備しておく必要があります。これは、犬がスムーズに新しい生活に慣れるために非常に重要です。
生活環境の整備
まず、ポメラニアンが落ち着いて休めるパーソナルスペースとして、ケージやサークル、そして居心地の良いベッドを用意しましょう。
フローリングなどの滑りやすい床は、足腰に負担をかけ、骨折の原因にもなりかねません。カーペットやペット用のマットを敷いて、滑らないように対策することが大切です。
また、電気コードや小さな小物など、犬が口にしてしまうと危険なものは、事前に片付けておきましょう。
日用品の準備
日々の生活に欠かせない、ドッグフードとフードを入れる食器、給水器も必要です。保護される前に食べていたフードがわかる場合は、同じものを用意すると環境の変化によるストレスを軽減できます。トイレトレーとペットシーツも必需品です。散歩に必要な首輪やハーネス、リードは、体に合ったサイズのものを選びましょう。
また、ポメラニアンの美しい被毛を保つためのブラシやコーム、爪切りといったケア用品、そして遊びながらコミュニケーションをとるためのおもちゃも揃えておくと良いでしょう。
迎える前の心構え
物品の準備だけでなく、家族内での心構えも重要です。食事や散歩、しつけの担当など、飼育に関するルールを家族全員で話し合い、一貫した態度で接することができるようにしておきましょう。
また、万が一の病気や怪我に備えて、自宅の近くで信頼できるかかりつけの動物病院を見つけておくことも、迎える前の大切な準備の一つです。
ポメラニアンを迎える際におすすめの里親サイト
ポメラニアンの里親を探す際には、信頼できる情報源から探すことが重要です。ここでは、多くの利用者がいる代表的な里親募集サイトを紹介します。
anifare(アニフェア)
anifareは、全国の動物病院が協力している里親募集サイトです。保護犬の健康状態を獣医師がしっかりとチェックし、基本的なメディカルケアを施した上で譲渡されるという大きな特徴があります。サイト上で健康診断書やワクチン証明書を確認できるため、安心して新しい家族を迎える準備ができます。
OMUSUBI(おむすび)
OMUSUBIは、独自の審査基準をクリアした信頼できる動物保護団体のみが登録されている里親募集プラットフォームです。
サイトの利用者は、迎えるにあたっての思いやライフスタイルに関する審査を受ける必要があり、ミスマッチの少ない譲渡を目指しています。犬種や年齢だけでなく、性格や個性から探せる機能も充実しています。
ペットのおうち
ペットのおうちは、月間利用者数が非常に多く、日本最大級の里親募集情報サイトです。個人、団体を問わず多くの里親募集情報が掲載されており、地域や犬種、年齢など詳細な条件で検索することができます。情報量が豊富なため、希望するポメラニアンに出会える可能性が高いサイトの一つです。
まとめ
ポメラニアンを里親として迎えることは、その愛らしい姿の裏にある背景を理解し、生涯にわたる幸せを約束するということです。
保護されたポメラニアンは、それぞれが異なる過去を持ち、新しい環境に慣れるまでには時間と忍耐が必要かもしれません。しかし、心を開いてくれた時の喜びは、何物にも代えがたい宝物となるでしょう。
犬種としての特性を正しく理解し、必要な準備と覚悟を持って、愛情深い家族として迎え入れてください。この記事で得た知識が、あなたと未来の家族であるポメラニアンとの素晴らしい出会いの一助となることを願っています。