チルネコデルエトナの特徴
大きさ(体重・体高)
- 体高:オス46〜56cm、メス42~46cm
- 体重:オス10〜12kg、メス8~10kg
- 分類:中型犬
チルネコデルエトナは、イタリアを原産とするサイトハウンド犬種です。主にシチリア島のエトナ山周辺で猟犬として活躍していますが、日本での知名度は高くありません。
「シチリアン・グレイハウンド」という別名もありますが、「チルネコ・デル・エトナ」との呼び方がより一般的です。
外見はエジプト原産の「チズム」という犬種によく似ており、一説によるとチズムがチルネコデルエトナの先祖であったとも言われます。また、兄弟犬種である「ファラオ・ハウンド」とも似た見た目をしています。
うさぎやキジ、ヤマウズラを狩る猟犬として重宝されていますが、番犬や家庭犬としても扱いやすい犬種です。サイトハウンドの中では珍しく、吠え声の少ない犬種とも言われます。
被毛(毛色・毛質)
- 毛質:スムースコート
- 毛色の種類:タンアンドホワイト
チルネコデルエトナは、特徴的な被毛も魅力のひとつです。毛は非常に短く、スムースコートに分類されます。もともと暑い地域で暮らしていた犬種のため、寒さには強くありません。
毛色は、タンをベースに白い差し毛が入ります。頭部や胸にホワイトが入ったもの、脚や尾先にホワイトの入ったものが通常であり、ケンネルクラブの規定でもこれが正式なカラーとなっています。
基本的には綺麗な琥珀色の被毛ですが、やや明るい毛と暗い毛がミックスされたタンの色は許容範囲内です。
体の特徴
チルネコデルエトナは、起伏の激しいエトナ山の斜面を軽快にジャンプしながら狩猟していた犬種です。そのため体はほっそりとスリムで、なおかつ筋肉質であることが特徴です。
中型犬としては小さめの体ですが、これは暑い気候と食糧不足に適応するために進化したためと言われています。
マズル、首、脚、胴、尾は長めで、耳は三角形の立ち耳です。また、古代のマズルの形状を持つことも特徴と言えるでしょう。目は小さく奥にくぼんでおり、瞳は被毛と同じ琥珀色です。
視覚、聴覚、嗅覚ともによく発達していますが、中でも嗅覚は非常に優れています。これは、ニオイを嗅ぎながら小動物を狩っていた影響と考えられます。
チルネコデルエトナの性格
- 明るく朗らか
- 主人家族に従順
- 独立心旺盛で賢い
チルネコデルエトナは、基本的には明るく愛情深い性格です。主人家族によく懐き、なでられたり褒められることを好みます。家族以外には愛嬌を振りまきませんが、決して攻撃的ではありません。
すべての猟犬の特性とも言えますが、大胆な行動が多く、俊敏でアクレッシブな性格です。用心深さや意思の強さからは、チルネコデルエトナの賢さが垣間見えることでしょう。
独立心旺盛で、訓練がよく入る犬種としても知られています。また、過酷な環境で狩猟をしていたため、小さな体からは想像できないほどタフな一面があります。
チルネコデルエトナの歴史
3000年程前、フェニキア人と呼ばれる民族は、アフリカと地中海を行き来していました。その過程で、古代エジプト原産のチズムという犬種をシチリアに持ち込み、そのまま定住。
環境に応じて進化をし、現在の「チルネコデルエトナ」となったとの説が有力です。古代シチリアの銅貨には、チルネコデルエトナと似た犬種が刻印されています。
1900年代には絶滅の危機にさらされましたが、島民による保護活動によって危機を回避しています。その後1952年にFCI公認犬種として登録され、イタリア国外にも広く知られるようになりました。
現在はヨーロッパ各地で飼育されていますが、シチリア島以外では似た外見の「ファラオハウンド」が依然として人気です。
チルネコデルエトナの価格相場
チルネコデルエトナの価格相場は、15万円から20万円です。中型の日本犬である「四国犬」の相場が15万円から20万円。人気の高い「ウェルシュコーギーペンブローク」も同じ価格相場ですので、中型犬としては平均的な価格と言えるでしょう。
ただし、犬の販売価格はブリーダーやショップによって差があります。より質のいい個体をブリードしているところであれば、相場を大きく上回ることもあるでしょう。
また、犬全般に言えることですが、同じ個体でも子犬期の方が高値で販売されることがほとんどです。
チルネコデルエトナを迎え入れる方法
チルネコデルエトナの国内登録犬数は、1999年~2020年までで一頭のみです。そのため、この犬種を迎え入れるのは非常に手間がかかると考えておきましょう。
国内にブリーダーがほとんどいない希少犬種の迎え入れは、海外からの輸入がメインとなります。海外のチルネコデルエトナのブリーダーをネットで検索し、コンタクトを取ることから始めます。
その際に、輸入のために必要な書類や検疫を代行してくれるサービスを利用すると便利です。その際は、犬本体の価格に加え20万~30万円ほどプラスとなります。
因みに、アメリカでもチルネコデルエトナのブリーダーはほとんどいないとされているため、原産国であるイタリアを中心に探してみるといいでしょう。
チルネコデルエトナの飼い方
チルネコデルエトナは、サイトハウンドの中では気立てが良くペットとして飼いやすいと言われています。また小さめの中型犬ですので、日本の集合住宅で飼養することも可能です。
猫との同居は概ね可能ですが、狩猟本能の影響により、うさぎや小鳥のような小型動物には強い執着を示す恐れがあります。思わぬ事故につながる場合がありますので、小さめの動物との同居は控えましょう。
運動量
狩猟犬のため必要な運動量は多く、1日30分程度の散歩が毎日必要です。普段の生活は集合住宅内でも構いませんが、近所に自由に遊べる場所があるといいでしょう。
お手入れ
短毛のため、1日1回獣毛ブラシやタオルで優しくマッサージします。寒さに弱いため、冬場や寒い地域では洋服を着せて保温しましょう。
しつけ
非常に賢いため、トレーニングは比較的スムーズにできます。無駄吠えや噛み癖などは少ない犬種ですが、家族以外とも交流できるように慣れさせておくと尚いいでしょう。
食事
一般的な中型犬用の総合栄養食を与えます。後述するかかりやすい病気を予防するため、手作り食にしてもいいでしょう。
チルネコデルエトナの寿命
チルネコデルエトナの平均寿命は、12歳~15歳です。犬の平均寿命が14歳ですので、一般的な寿命の範囲内と言えます。基本的には小型犬よりも大型犬の方が短命で、中型犬はその中間と考えていいでしょう。
因みに、ギネスに登録された犬の最高寿命は29歳。平均寿命の約2倍生きたことになります。
また、動物医療の発達やペットとの関係性の変化により、犬の寿命は年々伸びています。飼い始める際にはお別れの辛さも考えてしまいますが、適切な飼い方をすれば長く一緒にいることができるでしょう。
チルネコデルエトナがかかりやすい病気
- 皮膚疾患
- 関節疾患
チルネコデルエトナは短毛種のため、皮膚疾患にかかりやすい傾向があります。短毛種に多い症状として湿疹やフケ、脱毛などがありますが、原因は様々です。ただし、毛が短いぶん皮膚のトラブルに気が付きやすいという利点もありますよ。
また非常に活発な犬種のため、走行時に関節を傷めることがあります。特にシニア期に入ってからは関節のトラブルが出やすい傾向があるため、過剰な運動は避けるようにしましょう。
まとめ
チルネコデルエトナの特徴や飼い方について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。非常に古いルーツを持つチルネコデルエトナですが、その歴史は完全に明らかにはなっておらず、また世界的に見ても非常に頭数の少ない希少な犬種です。
古代エジプトを連想させる野性的な外観でありながら、朗らかで飼いやすい点も大きな魅力でしょう。その多くは猟犬として重宝されていますが、番犬から愛玩犬まで様々な役割をこなせる有能な犬種です。
希少種であるチルネコデルエトナを入手するのはとてもハードルが高いですが、今はネットで簡単に海外とつながれる時代です。一度家族になりチルネコデルエトナの魅力に触れれば、あなたもこの犬種に夢中になることでしょう。