犬が血便だった時の対処法

犬が血便だった時の対処法

犬の「元気」はウンチにでるということをご存知ですか。人間でもお医者様にいくと「検便」というのをされますが、あれであなたの消化器系の様子はばっちり分かってしまうのですから、犬の場合もウンチの様子は健康のバロメーターなのです。今日はウンチのことから「血便」まで、大切なお話しをします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の血便について

ウンチがすべてを物語る

「顏色を伺う」という言葉があります。

これは相手の様子を確かめるという意味ですが、犬の場合顔では「顏色」は分かりません。しかし、表情などで元気かどうかは分かります。

そして犬の健康状態を知る手っ取り早い手掛かりは、ズバリうんちです。そう、ウンチは「元気のバロメーター」なのです。

ですから、散歩のときにいつも拾っているウンチは、すぐポイと捨てないでじっと眺める習慣をつけましょう。

あなたの愛犬の健康のバロメーターだと思えば、ウンチをじっと眺め、観察するのは苦ではないと思います。

もしも血便だったら~ウンチの色~

愛犬のウンチに血が混じっている状態、それはドキッとします。

血便を見た際に慌てふためき、病院へ直行するのも良いのですが、ここは少し落ち着いて血の色を確かめてみてください。そして血便の状態がどのようなものか勉強しておくことをお勸めします。

犬の血便に混じる血は、色が赤いか黒っぽいか。などで原因から治療まで、まるで違う話になります。

できるだけ難しい言葉は扱わずに、色によってどう違うのかお話しをます。

その前に、犬がごはんを食べてからウンチをするまで、食べ物はどこをどう通っていくかを考えてみてください。

まず口に入って、噛んで胃に、胃から十二指腸を通って小腸へ、そこからグルっと大腸を通って直腸から肛門へ。

この食べ物の旅路をしっかり頭に入れてから次を読んでください。

ちなみに、健康なウンチのデータを採るとこんな具合です。ご参考までにご覧下さい。

  • 硬さ:ティッシュで掴んでも崩れない硬さ
  • 色:茶色~こげ茶色
  • におい:食べ物を変えていなければ、いつもと同じ臭い
  • 回数:食事の回数+1回程度
  • 量:食べた量より少ないくらい

血の色が赤い

ウンチに付いている血が赤い、ということは血が赤い状態の時にウンチについた、ということです。

ウンチの外側にぐるりと赤い血がついている時は、ウンチが固まった後で周りについた。ということです。
「まだ血がついたばかり」ということが分かります。

つまり、ウンチの旅路が終わりに近づいた直腸から肛門へかけての何かの傷から出た血がついた。と考えていいのです。

つまり、うんちに付いている血が赤い場合、恐らく大腸~直腸~肛門あたりに出血があるということです。

それでは、うんちに付いている血は赤いが、ウンチ全体に赤みがある、というのはどういうことでしょう。旅路をお話しを思い浮かべてください。

食べ物が消化されて、栄養素は全部吸収されたしまった後、だんだん固まってくる途中になにか傷があったら、その出血がウンチに練りこまれてしまったのではないか?

うんち全体に赤みのある血便はおそらく小腸を通過したウンチに混ざったものに違いありません。

血色が黒い

では、黒い血というのは何故できるでしょうか。ここで消化ということを考えてみましょう。

口に入った食べ物はまず歯で咀嚼(そしゃく)します。つまり噛み砕くということですね。

咀嚼された食べ物が胃に入ると胃酸や消化酵素が働いてドロドロな状態になります。

この消化酵素の働く際、体のどこかに出血があると、血の色が黒っぽく変わってきます。

ウンチが黒いということは、この時点で血が混じってしまった、ということを意味するわけです。

つまり、消化吸收の早い段階で、すでに出血があるという証拠になるわけですね。

出血の原因を突き詰めるお医者様にとっては、赤い血の段階のほうが黒い血よりは診断が容易な為、結論として黒い血便は厄介だ。ということになるのです。

犬の血便について

観察と対策

ウンチ周囲の血便


肛門近くの出血が原因の血便は、多くの場合便秘で排便時についた傷が原因です。

他には、肛門嚢の炎症や腫瘍、肛門周囲瘻、肛門狭窄、会陰ヘルニア、直腸脱など、難しい疾病が考えられます。

会陰ヘルニアは雄の老犬に多く、去勢手術をしておけば心配ないと言われます。

また、肛門狭窄などは、様々な原因から肛門が狭くなっている状態ですが、肛門が切れたり、繰り返す便秘や下痢、肛門周囲への感染などが原因になります。下痢や便秘の慢性化を防ぐ予防を日頃から心がけることが大切です。

赤い色が混じった血便

大腸炎が原因でこのような血便を起こす場合もありますし、異物を飲み込んでしまい腸内を傷付け、そこから出血することもあります。

この他、炎症性腸疾患、腸閉塞や腸重積など様々な原因が考えられます。

まずは、異物を飲み込むようなことはなかったか、そして着色料のきつい食べ物を与えていなかったかもチェックしてみましょう。

黒い血便

まず、口の中に出血の兆しはないか、調べてください。

歯茎に出血がある場合など、血液が消化酵素の作用で黒くなり、結果黒い血便になり発覚する事もあります。

また、血液の多いレバーを食べさせたりすることで、犬は元気(健康)なのに便が黒くなることがあります。

黒いウンチをする前に食べていたもの、歯周病などが無いかどうかを確認してください。

そのような兆しがなく、黒い血便が出た場合は動物病院へ受診してください。そして、血便をした時の状態を獣医さんへ相談してください。

黒い血便の場合は消化器系だけではなく気管や肺に病気を患っており血痰が便に混ざって起きる血便もあります。

しかし、少し混じっている程度では黒い便になることは稀かもしれません。

滅多に起こることはない黒い血便の場合は、考えられる原因を全て検査しておきましょう。

ほかの原因で起こる血便

犬を飼う人には常識ですが、初めてワンちゃんを飼うようになった方で血便を起こさせてしまう原因で多いのは「ネギ中毒」です。

犬にはネギや玉ねぎ、ニラ、ニンニクは加熱させたとしても食べさせてはいけません。

もちろん個体差があり、命に関わらない場合もあるかも知れませんが、犬の健康を損なう食べ物として最低限「ネギ属」の食べ物は与えないようにしましょう。

まとめ(日頃の心がけ)

犬の血便について

飼い主さんは日頃、犬の状態を観察するということは、血便対策でも同じことです。

口・食道・胃・小腸・大腸などに傷が出来にくいように、そして傷の修復が早くなるようにすれば、血便の予防に繋がるはずです。

例えば、乳酸菌は腸内環境を整えるのに有効で、摂取した栄養素を的確に分解し、刺激の原因になる老廃物を素早く排出するためにも、乳酸菌は毎日でも犬に食べさせたい食物です。

私の健太はビオフェルミンと乳酸菌入の食べ物が好んで食べて、血便の「け」もありませんでした。

その他、残留毒素や、腸内細菌の死骸など、有害な物質を絡め捕り、すばやく体外に排出するのに食物繊維は欠かせないし、魚油(DHA・EPA)は体内で固形化しないオイルで、消化管内では、潤滑油として働き、外的刺激を和らいでくれます。

また、当然ですがタンパク質は消化に限らず、体全ての組織を形成する大元になる成分ですから、タンパク質を多く摂取する事で、傷ついた消化器官の修復が速まり、重い出血を抑えられるかもしれません。

終わりに、私は特に消化器系の健康維持に、愛犬の健太に絶食をさせていました。

勿論何日もではなく、1日だけの絶食で体調を戻した経験が何度もあります。当然、水は欠かせません。下痢などの時、これは「特效藥」でした。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 女性 ハルのお母さん

    8才の雄シュナウザーです嘔吐をするので血液検査の結果肝臓の数値が高かったです
    そして昨日から黒い血便が出ました
    水分も食事もとれません
    心配でどうしたらいいかわからません
    不安です
  • 投稿者

    40代 女性 ぱん

    犬の健康チェックとしてウンチの硬さ、色の確認を毎日欠かさずしてます。
    わたしの愛犬は小さいころからお腹が弱くて、下痢になったり血便が出ることもありました。
    それ以来ドッグフードや日常のストレス、気温などの環境に気を使ってきました。

    このような経験から初めて血便を見た飼い主さんがびっくりして焦ってしまうのがよく分かります。血便はシニア犬だからなどではなく、若い犬でも同じです。
    もし血便が出て犬の食欲が無くなってしまった場合、早急に獣医さんに診てもらうことをおすすめします。手遅れになってからでは遅いのです。

    動物病院に行くときには、できるだけ犬の血便を持って行くといいでしょう。次の便を待たなくてもその持って行った便で検査をしてくれると思います。
    万が一血便を捨ててしまったなどで持っていけない場合には、血便の回数、日に日に悪化しているのか、便の緩さや色、血便がどのようについているか(うんちの周りに付いているのか、中に混ざっているのか)、粘膜がついているか等の詳細を説明できると役立つと思います。

    現在は愛犬の良いうんち対策として、乳酸菌は欠かせません。そのおかげか愛犬の健康を維持できていますよ。
  • 投稿者

    30代 女性 ロメインレタス

    我が家の愛犬は下痢や固いウンチのことはあっても、今まで血便が出たことはありません。シニア世代に入り、身体の不調が少しづつ出るとそんな機会も増えるのかなぁと何となく思っていましたが、けっしてそうではないことが、記事や他の方のコメントからわかりました。異物を飲み込むことが内容には十分に気をつけているつもりですが、お散歩の時などにウッカリはあるかもしれないし...(今までもあったのかもしれない)血便の原因は本当に色々考えられますね。今更で恥ずかしいのですが、より緊張感を持って、愛犬のウンチシーンに臨まなければと思いました。
    血便の(病巣から想像される)種類、色の観察の仕方もわかりやすくまとめられており、飼い主がしっかり見た上で病院にいけば、診断や治療の一助になるのなら、尚更、飼い主としてしっかりしなければと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 momo

    記事に血便の色が赤いか黒っぽいかという事が載っていましたが、確かに黒いと内臓の異変に関係してくるので注意が必要だと思いました。我が家の愛犬は昨年末に病気の治療で飲んでいたステロイドが胃を刺激して、胃炎を起こしてしまいました。その時は赤黒い血を吐いたり、タール状の真っ黒いドロドロとした便をしばらくしていました。しばらくは消化の良い犬用の流動食や胃薬の服用で症状も治まって、便の色も徐々に戻ってきましたが、あらためて毎日の便の状態は健康のバロメーターだと痛感しました。特に、シニア犬は消化力が弱まっているので、硬いものや消化の悪いものを与えずに、フードもふやかしたり工夫した方が良いと思います。もし野菜を混ぜるなら、細かくして湯がくかレンジでチンしてから混ぜた方が良いと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 シュガー

    初めて犬を飼った際に、初めて犬の血便を発見したときには悲鳴を上げておどろきました。パスタにかけるトマトソースのような真っ赤な液体に、一瞬便だとわからないくらい。血便だと思った瞬間、これは大変な病気なのではないかとパニックになりました。
    すぐさま動物病院へ犬をつれて駆け込んだのですが、動物病院の先生には犬の血便はそう珍しいことじゃないからと言われ少し安心しました。赤い血便は、大腸が原因のことが多いからまだ軽症だと言われました。
    血が黒くなった黒い血便はもっと奥の方が原因だから大変なんだそうです。
    そのときのうちの犬の血便の理由は、おそらく夏場の疲労だろうということで大事にいたりませんでしたが、あの赤い血便は衝撃的すぎて忘れられません。
  • 投稿者

    女性 コロ

    糖尿病の愛犬の時は尿をじっくり観察し、便秘気味の愛犬の時は便をしっかり観察するようにしています。水分量が足らないかどうかも判断つけられるのでとても重要なことだと思います。
    ちなみに、血便と言うのかわかりませんが、便に赤い血がついていたことはあります。便秘で硬くなった便が肛門周辺に傷をつけてしまったようです。幸い大きな病気ではなく安心しましたが、やはり健康でいてもらう為にも日々のチェックは大事です。
  • 投稿者

    女性 ゴン吉

    以前やたら赤茶色の便が続いたことがあり、血便なのかと不安になったことがあります。結論から言うと血便ではなかったのですが、原因は記事にもあるように着色料のフードでした。よく見たら白かった部分の被毛も赤っぽく変色していたので、よほど強い着色料だったのだと思います。後で見たらメイドインチャイナ。納得です。内臓に影響が出る前に止めて正解でした。今は便の状態を見ながら安全なフードをローテーションしています。
  • 投稿者

    40代 女性 さら

    血便だったことは我が家の愛犬はないですが、もし血便だった時はすぐに動物病院に行こうと思います。やっぱりうんちは健康管理をする上で重要なので毎回、毎回ただ捨てるだけでなく見るようにしています。色、硬さ、大きさなんかも見たほうがいいですね。愛犬のうんちが健康って感じのうんちだと嬉しくなります(笑)
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