犬は吐くことが多い動物
犬が吐く行為はよくあることです。その吐くことが、空腹や食べ過ぎなどの自然現象が原因であれば問題はないのですが、中に病的なものが隠れていることもあります。
そこで、隠された病気を早期発見できるようにまとめてみました。犬が本能で隠そうとする痛みとは違い、「吐く」という行為は、日常生活で飼い主が気づきやすい行動の一つなので、犬の嘔吐に関する情報は持っておくべき知識だと思います。
犬が吐く行為には種類がある
- 吐出(としゅつ)
- 嘔吐(おうと)
- 嚥下困難、嚥下障害(えんげしょうがい)
一言で「犬が吐く」といっても、その吐き方や状態で対応も変わってきます。吐出といわれるものは、犬が吐き出だしたものには未消化のものが多く、それをもう一度食べてしまう行動をとることがあります。
嘔吐といわれるものは、病気が原因で吐き出だしたものを指し、消化されているものも未消化なものもあります。その場合は、もう一度食べようという行動をしません。
嚥下障害は、遺伝的な何らかの疾患や筋力の衰えからなどから飲み込むことが難しい場合に吐き出すことを指します。特徴として、食べ物が胃腸に届く間に異常が起こるため、咳き込むような様子が見られます。
犬が吐く原因と危険な症状
犬が吐く原因の中には重大な病気が潜んでいる場合もあるので注意が必要です。以下では、食べ過ぎや空腹などの一時的な自然現象なのか、環境の変化などによるストレスからくるものなのか、隠れた病気のシグナルなのかを見てきます。
生理現象・自然現象的な原因
- 食べ過ぎ
- 空腹
- 不安感
- 乗り物酔い
- 吐出(としゅつ)
- 雑草を食べた
病気が原因の可能性がある危険な症状
- 下痢や熱が併発している
- 犬の吐瀉物に血が混じっている
- 嘔吐が止まらずに何度も吐いている
- 吐いた後にぐったりとしている
犬の嘔吐を引き起こす病気
- 中毒症状
- ウイルス性腸炎
- 細菌性腸炎
- 寄生虫症
- 胃腸疾患
- 肝疾患
- 膵炎
- 腹膜炎
- 腎不全
- 感染症(パルボウイルスなど)
苦しみながら吐いてしまったり、吐こうとしても、なかなか吐くことができなかったりする場合は、胃捻転など胃に問題がある場合が多いです。食べ物を飲み込めずに吐いてしまう場合は、食道やのどのあたりに異常がみられる場合があります。
また、血便や下痢を伴いながら、吐いてしまう場合は、パルボウイルス感染症や激しい胃腸炎などの可能性が考えられるので、早急に動物病院へ行きましょう。痙攣をしながら、吐いてしまうときは、中毒症状が考えられます。
また、子犬の場合は、胃腸が成長しきってないので、吐きやすいですが、お腹がパンパンに張ってしまい(異常な膨れ具合)吐いたものに、糸状の虫が入っていると、犬回虫症(いぬかいちゅうしょう)の疑いがあります。母体感染している可能性も考えられるので、母犬や兄弟犬がいたら、早急に動物病院で検査をして治療をしましょう。
犬が吐くときの対処方法や応急処置
何らかの異物誤飲で吐いたときの対処法
犬は拾い食いをよくしてしまいます。自宅内でしたら、犬が届かない所に片付けられますが、お散歩やお出かけ先では、何が道端におちているか分からないものです。犬が咳をしていたり、よだれの量が多かったりしたときは、異物が喉のあたりに詰まっているかもしれません。
食道に物が詰まっているものが食べ物などの消化できるものとわかっている場合は少しずつ水を飲ませる方法が効果的です。
それ以外の場合は、犬の頭を下にしてぶら下げるようにして、背中をたたいてみてください。舌の色が普段と異なる場合は気管に入っている可能性があります。この場合、窒息してしまう可能性があり、緊急事態であることが多いです。早急に病院へ連絡の上急行しましょう。
紐状態の物を誤飲した場合は大変危険ですので、飼い主の判断で勝手に吐かせたりはしないでください。紐が絡まったり、異物が胃や腸の中にとどまったりすると大変ですので、必ず動物病院へ行ってください。
タバコや薬品を口にして吐いたときの対処法
犬がタバコや除草剤などを口にしてしまったら、それが少量でも激しい中毒症状を起こしてしまうことが少なくありません。嘔吐、下痢、痙攣が起こり、呼吸がおかしくなってきます。
見た目では異常がなくても、体内では中毒症状が進行していきます。もし吐いたものがあれば、それを持ってすぐに動物病院へ行きましょう。もし症状が出ていなくても、早急に動物病院に行って診察を受けてください。
食事の後によく吐いてしまうときの対処法
病気以外で犬が吐く症状は、飼い主の対応で防ぐこともできます。もし、食事の後によく吐いてしまう場合は、1回の食事量を減らしてその分回数を増やすという方法があります。
空腹で吐いてしまうこともありますので、その空腹感という感覚がなくなればいいと思います。胃捻転のリスクを回避するため、食事後に激しい運動をしないことも大切です。
胃に問題があって吐いてしまうときの対処法
犬が吐く原因には、胃の蠕動(ぜんどう)運動障害がよくみられます。その病気は、主に胃捻転や胃拡張などがあります。この場合は、早急に動物病院へ行って、早期治療を行ってください。家庭内で気を付けることは、犬の食事はゆっくりと食べさせることと食後運動しないことです。
「胃捻転」とは、胃がねじれてしまう病気になります。この病気は、何らかの原因で胃が捻転し胃の中でガスが発生しまわりの臓器を圧迫したり、血流が悪くなったりすることで壊死を起こしてしまう病気です。食後の運動や転がる動作などが原因になるといわれています。
「胃拡張」とは、胃の内容物が何らかの理由で排泄できずに、胃全体が拡張してしまう病気です。胃の接合部分には、「幽門」「噴門」があります。この接合部分に問題がおきても、犬が吐くことがあります。
吐血(吐いたものに血がまじる)したときの対処法
胃の潰瘍や腫瘍など大変危険な病気があります。早急に動物病院で診てもらいましょう。また、吐いたものが黒ずんでいたりしたら、出血から時間が経過している 証拠なので大変危険な状態になっています。犬が吐いたものを動物病院に持参できるようでしたら、持っていくとよいでしょう。
中毒によって吐くときの対処法
犬は知らないうちに拾い食いをしてしまうことがあるので、何を食べたのかわからないため、確実に中毒という診断は難しくなるでしょう。犬の状態を観察して、その旨を動物病院で説明しましょう。犬に吐かせて大丈夫なもの、吐かせてはいけないものがありますので、飼い主の勝手な判断はやめて、急いで動物病院へ行きましょう。
食べ過ぎ、早食いによって犬が吐くときの対処法
これに関して問題はありませんが、何度も犬が吐いたり、ぐったりしていたりしたら、念のため動物病院へいきましょう。もしかしたら、何かの病気があるのかもしれません。早期発見で解決できることもあります。
犬の嘔吐が続いた場合は絶食・絶飲を
嘔吐が何回も続いてしまったら絶食と絶飲です。全く水を飲ませないというわけではありませんが、たくさんの水を飲ませることはやめましょう。犬が吐く回数が少なくなってきたら、少しずつ食事を食べさせてください。いきなり大量の食事が胃の中に入ったりすると、また嘔吐をぶり返してしまいますので気を付けてください。
最後に
犬が吐いてしまうことはよくあります。それは、犬は人間よりも吐きやすい生き物だからです。もともと、自分の胃の中をきれいにするために、わざと雑草を食べて吐くということをしていたと聞いたことがあります。それは自然現象なのです。
飼い主が日頃から、スキンシップを取りながら、愛犬の状態を毎日観察していくと、その吐く状態が自然現象なのか、病気の始まりなのかを見分けることができ、早期発見ができると思います。
吐く回数が多く元気がない、日常的に吐く場合は様子を見る状態ではありません。腸閉塞・膵炎や消化管の腫瘍、腎不全、肝臓疾患など命にかかわる病気の恐れがありますので、いつもと違うと思って場合は早めに受診しましょう。
かわいい愛犬を守るのは、飼い主さんです。毎日たくさんスキンシップを取りながら、愛犬の観察をしていきましょうね!
ユーザーのコメント
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20代 女性 小夏
うちの子も空腹時に嘔吐します。
胃液しか出てないのできっと空腹が原因なのだと思います・・・
それからは空腹時が長く続かないようにご飯の回数を3回に分けてあげるようにしました。
そしたら空腹時間が長くなりすぎません。
吐くことも気づけばなくなりました! -
30代 女性 きなこ
嘔吐の経験は何回かあります。
愛犬がまだパピーだった頃、夜ご飯とおやつを与えてそろそろ私たちも寝るか〜という時、ウロウロ落ち着かなくてどうやら具合が悪そう?
不安になりながらも付きっきりでみていたら、さっき食べた物を戻し始めました。
それで収まると思ったのですが、立て続けに何回も吐いちゃうのでこれは病院行かなきゃと深夜の動物救急病院に駆け込みました。
レントゲンも撮ってもらいましたが、来る前に全部出しちゃったのかもう胃の中はからっぽ。
本人も疲れた様子はあるものの、吐きは収まっていました。
次の日は朝ごはん抜いて様子を見て、まだ具合が悪そうであれば掛かり付けの病院へ行ってくださいと言われました。
その後、すっかり元気を取り戻したのですが、気になるのは原因です。
フードはいつものでしたが、ペットショップでサンプルとしてもらった鶏のトサカが未消化で出てきたのでそれが原因かもしれません。
トサカは噛み切れずそのまま丸飲みしていた様で、胃がまだ発達していない子犬には負担が大き過ぎたのでしょうね…反省しました。
それからは、ガムやアキレスなど丸飲みしないように気をつけています。
成犬になってからは、朝お腹が空き過ぎて胃液を吐く事がたまにあります(胃液は黄色なのですぐわかります)
嘔吐=絶食というイメージですが、胃液を吐く場合は胃酸が出過ぎているので絶食せずヤギミルクやフードをふやかしたものを少しずつ与えます。
犬は人より嘔吐しやすいのは、雑食傾向にある人間と比べて犬は肉食寄りなので胃がそんなに強くないからなのかもしれませんね。 -
40代 女性 TIKI
我が家の愛犬はまさに今朝少し吐いてしまいました。
その後は様子をみましたが、食欲もありますし、散歩もいつも通りに行けたので大したことはないようでした。
ただ、13歳という年齢や、前日に出かけて疲労もあったのかもと色々と反省をしました。今後は、食事の面で消化の良いものを与えたり、運動面など年齢に応じた対応を心掛けたいと思います。 -
50代以上 女性 クックママ
わが家の犬も 2日続けて 夕食後吐いてしまいました。
弁膜症の薬を ご飯の時に一緒にあげているので 吐いた時には 慌てましたが…
どうやら 食べ過ぎ・早食いにて吐いてしまった様なので~
時間を空けて 回数を増やしてみたら 今日は、吐きませんでした。この方法でやってみようと思います。
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40代 女性 匿名
犬は喋る事が出来ません。当たり前の事ですが…日頃から 歩き方 寝方 食べ方色々な行動を目で見て 観察しておくべきです。少しでも おかしなぁと感じた時は 病院に行くべきです。今 深く思い感じています。飼い主?飼うというより 家族なんだから大事にしないと。小さな犬は 自己判断しない方が良いです。一病院で 駄目な時も有ります。人間で言うとセカンドオピニオン。愛犬も、そうです。時間がない なんて言わず連れて行かないと駄目です。今とても後悔です。今 小さな身体で 闘ってくれてます。早く元気になって欲しい…
当たり前の事が出来なかった 駄目ママは祈るばかり。後悔ない様愛情たっぷり与えてあげて欲しいです。 -
40代 女性 キウイ
空腹時の嘔吐と、がぶ飲み、一気食いの嘔吐、興奮しすぎての嘔吐など、うちの犬はよく嘔吐します。
動物病院へ検診に行った際に獣医さんに相談したところ、犬は良く吐く動物だから心配しないでください、と言われましたが、やはり吐こうともがいている姿は苦しそうで見ていられません。
とくに、空腹時の嘔吐は、ゴポゴポお腹の中から異様な音がして犬もなかなか吐けずに苦しそうです。
出来るだけ空腹の時間を長く作らないように気を付けていますが、うっかり夜ご飯と朝ごはんの間が空いてしまうと、朝犬の嘔吐しそうなゴポゴポした音で目が覚めます。
嘔吐した後は、いきなり食べさせるのもどうかな、とか、犬も食欲がないかもしれないし、と心配です。
そういったときには、フードにお湯をかけてふやかし、いつもより少し少なめに与えるようにしています。 -
40代 女性 ウルフ
うちも黄色い嘔吐をしていたので、ご飯をふやかして見ました。 -
40代 女性 匿名
中型犬を飼っています。
フードを与える度に吐く事があり
初めてフードを大きい袋で買い、3分の2なくなった頃でした。
原因としてはフードの酸化ではないかと…残りのフードを捨てて新しいフードを与えた所、食後の嘔吐はなくなりました。 -
40代 男性 匿名
家のチワワなのですがウンチを我慢しすぎると吐き気を催す傾向にあります。
落ち着かせてから散歩に連れて行きウンチをさせるとその後は快調になります。
監修獣医師による補足
吐いても繰り返し吐かずに元気があり、食欲もある場合は様子を見てください。
吐く回数が多く、食欲がなくなってしまった場合は早めに受診してください。
原因として、「腎不全」「肝不全」「異物誤食」「腸閉塞」「膵炎」「腹腔内の腫瘍」などが考えられます。
しかし、どれも重病で治療も長期化したり、時には予後不良のこともあります。
犬は腎不全に弱く適切な治療を早期に始めないと回復が見込めない場合もあります。口からアンモニア臭がすることもあり、口臭が強くなったという理由で来院される場合もあります。
異物誤食や腸閉塞の場合は、吐く回数も増えますが、次第に便が小さくなり最終的には出なくなります。
膵炎が起こった場合は、吐く以外に激しい腹痛を伴いますので、胸を床につけおしりを高く上げる、独特の祈りのポーズをとります。
このように、嘔吐に伴う特別な症状を知っておくことも、大切な家族であるペットを助けるためには大切です。いつもと様子が違う場合は、様子を見るよりも受診し、できるだけ早く見つけてあげましょう。