1.アニマルセラピー(動物介在療法と動物介在活動)とは
日本におけるアニマルセラピーは大きく「動物介在療法(Animal Assisted Therapy=AAT)」と「動物介在活動(Animal Assisted Activity=AAA)」の二つに分けられます。
【動物介在療法】
動物介在療法とは医師を中心とした看護師、理学療法士、作業療法士などの医療チームが、患者に対するリハビリテーション治療を行う際の手段のひとつです。治療計画に基づいた患者の機能強化や維持のために行う治療行為であり、動物の動きや存在を機能訓練の動機としたり手段とすることで治療効果を高めるのです。
例えばボールを投げる運動を訓練するとしても、ただ人とキャッチボールをするより可愛い犬にボールを投げて拾ってもらうほうが犬好きとしては何となく楽しくなってしまいますよね。動物介在療法を用いる強みはこのような自発性やモチベーションのアップでしょう。
動物介在療法の場合、動物と一緒に行う動きひとつひとつに治療的意味が発生します。動物のハンドラー(飼い主)は治療計画に沿った動きを行うよう動物に的確に指示できる能力が、動物にはその指示を実行する能力がそれぞれ必要です。
医療チームは薬物や機械を用いた治療と同様に、動物を介することによる治療効果の検討をしたり、治療の前後で効果を数値化するなどして結果を検討したりする必要があります。
【動物介在活動】
動物介在活動とは、多くの場合ボランティアを中心に行われている動物を介したふれあい活動を指します。こちらは医療の一環として行われるというより、動物の存在によるリラックス効果や自発性の発揮などを目的にすることが多いようです。
主に老人ホームなどの施設や、保育園、児童養護施設などに動物を連れて訪問し、動物やその飼い主とのふれあいを通じたメンタルケアを中心に行います。
施設側とボランティア団体の合意で行われるため、この活動は比較的多くの施設で採用されています。現在日本で行われているアニマルセラピーはこちらを指している場合が多いでしょう。
また、動物を介在させる活動のひとつに動物介在教育(Animal Assisted Education=AAE)というものもあります。これは獣医師や教員が中心となり、動物を介して命の大切さや動物の正しい扱い方を子供たちに学んでもらう活動です。保育園、幼稚園、小学校などで、生活や総合学習、道徳などのプログラムの一環で行っているところもあります。
2.アニマルセラピーに向いている動物
動物介在療法の場合、動物はただ大人しくなでられていれば良いわけではありません。治療者の目的に応じた動きをするため、ハンドラー(飼い主)の指示に従わなければいけない場合が多く、しつけのしやすい動物である犬が選ばれることが多くなります。
人と遊ぶことが大好きであることはもちろんですが、一般の家庭犬に比べてどうしてもストレスや疲労に晒されやすくなるため、ストレス耐性の高いタイプの犬が向いていると言えます。
動物介在活動の場合は人に抱っこされたり撫でられたりすることが好きな動物が向いています。よく現場に参加しているのは犬、猫、ウサギ、モルモットなどでしょうか。
保育園や老人施設などで活動することが多いため、大きすぎず、小さすぎず、そして毛が抜けにくい動物のほうが選ばれる場合が多いようです。
いずれの場合も人と触れ合うことが前提となるため、動物が健康であることは一番重要です。常に清潔に保て、爪の手入れやデンタルケア、健康診断がしやすい動物となるとやはり犬や猫が向いていると言えるでしょう。
3.セラピードッグになるには
動物介在療法、動物介在活動ともにセラピードッグとなるための必須資格はありません。しかし一定水準以上のしつけや訓練が出来ていることが望まれるため、活動を行う団体によっては優良家庭犬協会のグッドシチズンテストの認定が必要とされていたり、独自の認定試験を設けている場合があったりします。
欧米では飼育放棄された犬が施設で選別と訓練を受け、セラピードッグとして活躍することも多いようです。
まとめ
わずかですが動物介在療法、介在活動についてご紹介させていただきました。動物介在活動の場合は各地の愛護協会が取りまとめていることも多いので、興味があるかたはぜひ問い合わせてみてくださいね。