身体障碍者補助犬とは
盲導犬
こちらは知っている方が多いかもしれません。何らかの理由によって視覚を失ったり極度に視力が弱まったりした人が公道を通行するときに、安全・快適に目的地まで誘導するために訓練された犬のことですね。盲導犬の仕事は利用者が行きたいときに、行きたい場所へ行くために、歩いていく方向にある道路上(または頭上)の障害を避けたり段差や角の存在を教えたりすることです。
盲導犬は道路交通法によって日本で一番古くから認められている補助犬で、身体障碍者補助犬法によって仕事中は盲導犬であることを示す胴輪式のハーネスを付けることが決まっています。
介助犬
介助犬とは何らかの理由で手や足、または体が動かなくなってしまった、肢体不自由者の方の手足となって日常生活の手助けをするために訓練された犬です。その仕事内容は落ちたものを拾ったり、指示したものを持って来たり、ドアの開け閉めをしたり、衣類を脱ぐ手伝いをしたりと多岐にわたります。
身体を動かすことが困難になってしまうと、落としたものを拾ったり、遠くのものを持って来たり、エレベーターのボタンに手を伸ばしたりといったことがとても大変です。介助犬の仕事の多くは、こういった手の動きの補助となります。
またその他にも、立ち上がりや起き上がり、体位の変換といった、ダイナミックな動きをする介助も使用者の指示によって行います。
更に万が一使用者が車いすやベッドから落ちて動けなくなってしまったときなどに、携帯電話を手元まで持ってきてくれたり、自宅に設置した緊急通報システムのスイッチを押したりすることで、使用者の命を助ける働きもします。
聴導犬
こちらはやや馴染みが薄い補助犬かもしれません。
私たちは日ごろ、様々な音に囲まれて過ごしています。何気ない音楽や話し声以外にも、電話の呼び出し音やドアのチャイム、子どもの泣き声、やかんの笛の音、車のクラクションや警報の音、時計のアラーム、窓口の呼び出し音など、聞こえないと不便や危険を感じるものも多いのです。
このような生活をしていくうえで必要な音を聞き分け、音がした時に教えたり音源まで誘導したりするお仕事をしているのが聴導犬です。吠えても使用者には聞こえないため前足や鼻先でのタッチは目の前でお知らせのポーズをするなど、声以外のいろいろな動作で使用者へ音を知らせます。
こんな重要な仕事をしている聴導犬ですが、日本ではまだ認知度が低く育成団体も充実しているとは言い難いため、2018年3月現在で全国でも68頭しか登録されていません。
補助犬に向いている犬種
まず全体に順応性が高い犬が補助犬に向いていると言えます。人や他の動物(お散歩中の犬など)に威圧感を与えることがなく、更に好奇心旺盛で訓練に積極的な子が多く選ばれています。
また訓練と言っても彼らにとってはトレーナーとの遊びの一環のようなものなので、あとは遊びに対するオンとオフの切り替えが上手な子が向いていると言えるでしょう。
このような点から、盲導犬や介助犬では特にラブラドールレトリバーや、ラブとゴールデンレトリバーのミックスなどの犬種が選ばれています。補助犬の世話は使用者が行うことが原則ですので、目や身体が不自由でも比較的被毛のお手入れがしやすい短毛の犬種が良いようです。また介助が主な仕事になるため、ある程度の体の大きさも必要です。
聴導犬については少々事情が異なります。遊びが好きで順応性があるのはもちろんなのですが、パートナーとなる使用者の生活環境やニーズに合わせた小型犬から大型犬までさまざまな犬種が選ばれます。音に過敏すぎないことも重要ですね。
補助犬が人に与える効果
補助犬と共に暮らすことによる使用者の大きなメリットは、何と言っても補助犬が行う機能的なサポートによって使用者の気持ちが前向きに、ポジティブになることでしょう。
見えない不安、動けない不便、聞こえない緊張感などから、補助犬がサポートしてくれる安心感によって気持ちがポジティブになり、結果として行動範囲が広がったり犬を連れていることで他者とのコミュニケーションが増加したりと、使用者の生活を豊かにする効果が期待されています。
また飼い主として世話をすることで自信がついたり、パートナーがいることによる孤独感が解消されたせいか積極的になれ、新しいことにチャレンジできるようになったという方も多いようです。
更に家族にとっても補助犬が常に使用者のそばにいるということは、きっと大きな安心感がありますよね。それまで使用者を一人にさせたくなくて外出やお仕事を控えていた家族も、補助犬がそばにいてくれることから不安が解消され家庭生活がスムーズになったというお話もあります。
まとめ
いかがでしょうか。
全国に数多くいるとは言えない補助犬ですが、彼らはこのようなお仕事をしています。
街中で見かけたときはお仕事中ですので、応援の気持ちをもってそっと見守ってあげてくださいね。