警察犬ってどんな活動をするの?
警察犬は、主に警察の手助けをするアシスタントのような役割を仕事としています。そのため、警察犬単体で出動することはなく、パートナーとなる警察犬訓練士と共に行動することになります。
また、犬の主な仕事のすべては、犬の優れた嗅覚を活かした仕事が選ばれています。その警察犬の活動は、主に4つに分けられます。
1.跡追及犬
まず警察犬の主な仕事内容の1つとして、跡追及という仕事が挙げられます。これは事件現場に犯人が残した遺留品の匂いを嗅ぎ、その匂いを元に犯人の居場所や手がかりを追いかけるという仕事です。
この仕事は犯人を見つけるだけでなく、行方不明となった人々の持ち物の匂いを嗅ぐことで、行方不明者を見つける仕事もします。
よく行方不明になった人を見つけるために警察犬が出動している様子がニュースで目撃されますが、これを行っている警察犬が「跡追及犬」です。
2.気選別犬
続いて「気選別犬」です。こちらは犯人の匂いを嗅ぎ足取りを追うという「跡追及犬」とは少々違い、既に逮捕された容疑者と現場に残された遺留品との匂いが一致するかどうかを確かめる仕事を行う警察犬です。いわば、捕まえた人を犯人と特定するかどうかを判断するジャッジ犬です。
ここで「気選別犬」が正しいジャッジを行い、匂いが一致した場合は、それが証拠となり、裁判で有利に働くことがあります。それほど警察犬というのは信頼されているのです。
3.威警犬
この「威警犬」は、主にパトロールに同行することが活動の1つです。威嚇の「威」の文字をとった警察犬であることから、これから犯罪を犯そうとする不審者に対して威嚇の意味を持つ役割を担っているのです。
実はこの威警犬が一緒にパトロールへ同行することで、犯罪を犯そうとする犯人はリスクを恐れ、犯罪を防ぐことにも繋がっています。また、不審者を見つけると威警犬は不審者に向かっていき、足に噛みつくなど逮捕にも一役買ってくれる勇敢な警察犬なのです。
しかし、威嚇の役割を担わなくてはいけないという意味から、この威警犬に選ばれる犬種は限られてきます。いるだけで「怖い」と思わせるようなシェパード犬種などが選ばれることが多いようです。
4.麻薬探知犬
こちらもニュースで見たことがあるという方もいると思います。麻薬捜査において犯人が本当に麻薬を持っているかどうかを匂いで判別し、見極めてくれるのが麻薬探知犬です。近年、日本でも麻薬に関する事件が非常に多く、大活躍している警察犬の仕事の1つです。
街中での捜査に協力することも多い麻薬探知犬ですが、空港の税関などでも活躍する警察犬です。荷物から麻薬の匂いを少しでも嗅ぎ取れば、その荷物に対して吠え、税関職員に知らせます。
警察犬はどのような訓練を行っているのか
続いて警察犬はどのような訓練を行っているのかについてご紹介します。ここまで警察犬の活動の種類について紹介してきましたが、これを見るだけでも非常に厳しい訓練をしているのではと思いますよね。しかし、意外にも警察犬のトレーニングは警察犬訓練士による様々な「遊び」によって行われているのです。
最初の3ヶ月は通常トレーニング
まず警察犬になる犬として選ばれた後、3ヶ月間は警察犬としてのトレーニングではなく、通常家庭でも行われるようなトレーニングをします。例えば、トイレトレーニングやパートナーとの絆を深めるためのトレーニングなどです。
しかし、普通の一般家庭の犬と違う点は、もう1つ犬の本能的な欲求を最大限に活かすトレーニングや集中力を高めるトレーニングをさせるという点です。
犬の本能的な欲求というのは、本来犬が持つ「匂いを嗅ぐ」という本能や、獲物を追いかけるという「狩猟本能」のことを指します。これらを高めることで、後々警察犬としての活躍に繋がるのです。
服従訓練
こちらは6ヶ月を過ぎた後、正式に警察犬の卵としての素質があるとされた場合にのみ引き続き行われる訓練です。しかし、こちらも一般家庭の中であっても行われることのあるトレーニングです。
基本動作と呼ばれる「待て」や「伏せ」「お座り」といった動作をしっかりパートナーが言ったとおりに行うという訓練です。基本動作であれば、一般家庭であってもしつけている家庭は非常に多いですよね。
しかし、1点違うところがあります。それは障害物を飛び越えるといった特別な訓練が加えられている点です。やはり、犯人を追う場合や、災害現場に派遣された場合など、障害物を越える訓練というのは非常に重要です。そのために、ここで訓練されるのです。
とうとう特別な訓練へ!
ここまでの訓練をマスターした警察犬の卵たちは、ここから警察犬ならではの特別な訓練へ入っていきます。先ほど出てきた「跡追及犬」に必要な足跡追及訓練や、「気選別犬」に必要な臭気選別訓練、さらに「麻薬探知犬」を育む育成施設ならば、麻薬探知訓練も行われます。
これらの訓練は、先ほどに比べて遥かに高度な訓練となりますが、訓練士さんの多くは、犬が遊び感覚で楽しく訓練できるように工夫して行っています。
例えば、以前私が観たテレビ番組では、皆で高い声を出し「いいねー!」「偉いぞー!」「すごいなー!」と言うことで、犬を持ち上げ、気分をあげる事で訓練へ積極的に取り組ませるという方法を行っていました。なんだか親近感を感じるような方法ですよね!
さらにこの訓練が完了した後、この訓練を続けながら、さらに高度な訓練を行い、晴れて警察犬として任命されるのです。
警察犬の引退後
警察犬は様々な訓練を行い、私たち人間のために多くの任務を遂行し、警察犬としての犬生を送ります。しかし、いずれは私たちも仕事を辞めるように、警察犬にも引退がやって来ます。そんな引退した警察犬たちの余生は、どのように送られるのでしょうか。
パートナーと暮らす
警察犬には警察犬訓練士の中でも指導してくれるパートナーが存在します。引退後は、そのパートナーさんが引き取り、一緒に過ごすという場合が多いようです。
警察犬の場合、長い間警察犬として過ごしてきたがために、家庭犬として過ごすためのしつけができていない子も中にはいます。しかし、そうしたしつけであっても、警察犬訓練士であるパートナーさんであれば行うことができますし、何より長年のパートナーですから、その子の性格なども十分に把握しています。
また警察犬も長年連れ添ったパートナーと過ごすということで、不安もなく、ストレスを溜めずに新しい生活へと移ることができる子が多いです。
新しい飼い主の元へ
なんと引退した警察犬は、一般家庭へ里親に出されることがあるのです。これには驚きですね。頑張って警察犬として働いてくれた後は、普通の一般家庭でのんびりを余生を過ごしてもらうという労いの気持ちもあるのでしょう。
中には元々民間の家庭から警察犬になった犬もいるため、その場合には元の飼い主さんの元へ戻り、素敵な引退後ライフを送る警察犬の子たちも多いようです。
警察署の施設で過ごす
警察犬の中には直轄警察犬と言われる警察直属の警察犬が存在します。そのような警察犬は、警察組織の犬ですので、警察署の施設から出ることはありません。余生は警察署内で過ごすことになるのです。
中には警察犬としての引退後も、人間と触れ合うような仕事を新しい任務として行う子もいるようで、様々な余生の過ごし方があります。
警察犬になるには?
ここまで見てきて最後に気になる疑問点といえば、「警察犬になるにはどうしたらいいの?」という疑問点です。民間で飼われている犬の場合は、年に1~2回行われる「嘱託警察審査会」で合格した犬が選ばれます。
この嘱託警察審査会で行われる試験は非常に厳しいものですので、一般的な犬ではなかなか通ることのできない試験です。基本的な服従指示をしっかり聞けるか、障害物を飛び越えることはできるかという点はもちろんのこと、本番と同じように匂いを嗅がせ、犯人を追及するという試験なども行われます。
そのため、この嘱託警察審査会で合格するためのトレーニングスクールがあるほどなのです。このようにしっかり訓練をしなければ、審理会では合格することが難しいでしょう。
警察犬に向いてる犬種とは?
基本的に警察犬に選ばれる犬種は決まっており、ジャーマン・シェパードやボクサー犬、コリー犬、ドーベルマンやエアデール・テリア、そしてレトリバー犬種が選ばれます。
体格や体力なども審理基準に含まれるため、このような犬種が警察犬に向いてるとされています。またしっかり服従してくれるか、さらに勇敢さがあるかといった重要な点も見られます。他には2歳~10歳の間であることや、メスよりもオスの方が選ばれやすいことなども挙げられます。
しかし、この審査基準は都道府県ごとに違うものですので、都道府県によっては小型犬を採用することもあるようです。2010年には、日本で初めてトイプードルが警察犬に選ばれたことでも有名になりましたね。このように地域によって選ばれる犬種も変わりますので、調べてみると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。このように警察犬は様々な訓練を行い活動をし、引退後もその犬によって違う余生を送ります。非常に大変で厳しい世界ですが、訓練自体は楽しく行うことをモットーにしている訓練士さんも多いです。警察犬は非常に奥が深い職業と言えるでしょう。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
また、麻薬発見時のアラート(職員に知らせる)方法も吠えることはなく、アグレッシブドッグは荷物を掘る仕草をし、パッシブドッグはその場に座ります。でも、最近はアグレッシブドッグも座るよう教えているようです。
男性 パル