欧米のアニマルポリスってどんな存在?動物を守る組織を紹介!

欧米のアニマルポリスってどんな存在?動物を守る組織を紹介!

皆さんアニマルポリスをご存知ですか?アニマルポリスとは、動物虐待や飼育保育を取り締まり、場合によっては逮捕できる法的な組織です。国や組織によって多少の違いはあるものの、アニマルポリスの権限は当然の事として受け入れられています。そこで、国ごとに分けてどのような活動をしているのか見てみましょう。

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アニマルポリスとは?

アニマルポリスとは、動物虐待や劣悪な環境下で飼われている動物たちを救うための専門機関です。日本ではほとんど知られていませんが、ペット先進国のアメリカやイギリス、オランダなどでは、非常に長い歴史があります。

あなたは、もし動物虐待を見つけたらどうしますか?

警察に通報してもいいのか、保護センターや保健所に連絡するべきなのか、多くの人が迷ってしまうと思います。最悪の場合、通報をやめてしまいせっかくの救える命が救えなくなる可能性さえあります。

アニマルポリスは、そういった事態をなくすために、市民の第一連絡先となる心強い機関なのです。主な仕事内容は以下の通りです。

1.虐待の疑いや行為を発見した市民が通報できる

2.現場に出向き、飼い主を注意・教育し、被害にあった動物を保護する

3.動物虐待は犯罪であることを市民に知らせ、虐待を防ぐ

また、欧米のアニマルポリスは、状況次第では飼い主を逮捕することもできます。アニマルポリスは1匹でも多くの動物の命を救おうと、警察や動物愛護団体と協力してペットの安全を守っているのです。

アニマルポリスになるには

アニマルポリスは、海外では非常に人気の職業で、捜査員になるための専門学校もあります。難しい資格が必要な国もあり、アニマルポリスになるのは簡単ではありません。

アメリカの場合は、州によって違いますが、警察官や動物管理局の捜査員が行っています。取り締まりも大規模で、多くの逮捕者が出ることも珍しくありません。

イギリスでは、動物の専門官が活動にあたっています。警察のような逮捕権はありませんが、告訴する力があるため、獣医学や動物に関する法律、救助訓練など、資格試験の合格が必須条件です。

オランダのアニマルポリスは警察官が行っています。現在は約500人のアニマルポリスが稼働していて、必ず動物保護の指導を受けなければなりません。

日本にもアニマルポリスはあるの?

日本にもアニマルポリスはあります。ただ、海外よりも動物愛護の考え方に遅れがあり、アニマルポリスの設置もごく一部の地域だけです。

近年では動物愛護管理法が改正され、動物虐待の厳罰化が実現しています。少しづつですが、日本でも動物愛護への関心が高まってきているのは確かです。

ここでは、日本のアニマルポリスについて紹介します。

大阪のアニマルポリス

大阪市では犬猫の殺処分削減を目指し、令和元年10月に「おおさかアニマルポリス#7122」を設置しました。行政の担当部署に電話一本でつながる仕組みになっており、以前のように担当部署探しで、たらい回しにされることはありません。

業務内容は、動物虐待の早期発見・改善指導などで、現地調査や警察への情報提供も行っています。おおさかアニマルポリスは、まだまだ始まったばかりですが、小さな命を守るための取り組みであることは間違いありません。

兵庫県警のアニマルポリス

兵庫県警では、動物虐待等の専用ダイヤルとして平成26年に「アニマルポリス・ホットライン」を設置しました。警察に直接つながる唯一の方法で、動物愛護関連の法律に詳しい警察官が対応してくれます。

兵庫県内の事案のみですが、動物虐待に気づいたら迷わず相談してください。

アメリカのアニマルポリス

地球儀のアメリカに刺したピン

アメリカには大きな動物保護団体が2つあります。一つは、政府から一部の資金援助と寄付金から運営されている米国動物保護協会(HSUS)、もう一つは寄付金のみで運営されている、非営利団体の米国動物虐待防止協会(ASPCA)です。

これらいずれも警察と同様に、捜査権、逮捕権があり、州によっては捜査員は、銃や手錠を携帯するのを許され、ニューヨーク市ではこの捜査舞台が、ペット虐待や飼育放棄をしている飼い主を捜査し、場合によっては逮捕してペットを保護する活動をしています。一般市民からの通報を受けて、動物虐待やネグレクトなどに対する捜査を警察と協力して行い、最悪の場合はその場で逮捕する権限も有しています。

散歩をさせない、短い鎖でいつもつながれているなど、動物を適正に飼わないものも虐待とみなしています。 州によって法律もさまざまですが、罰則なども細かく決められており、リードをつけずに散歩していると100ドル、虐待がひどい時には、禁固刑も用意されているのです。その他、救助活動、災害対応、移動式獣医などの活動をしており、5つの動物ケアセンターを通じて、毎年何千もの動物や野生動物をケアしています。

アニマルポリスは人気の職業

アメリカには、捜査員になりたくて就職するための学校や、アニマルポリスになりたい人たちのために、専門学校が存在するほど、人気の職業です。志望者数が多く、合格できる学生が少数なことからも、一般市民の動物に対する意識が高いことがよく分かります。

アニマルポリスの歴史

犬を保護している人

米国動物保護協会(HSUS)は、1954年に設立された米国最大の動物愛護団体であり、アニマルレスキューチームのスタッフが市民からの通報を受けて、虐待された動物を保護しています。

現在、苦痛や恐怖を与えるような動物の利用全般に反対しており、工場型の畜産、動物同士を戦わせる事、毛皮の取引、劣悪な環境下で大量に繁殖させるブリーダー、野生動物への虐待などの改善を求める運動を行っています。

米国動物虐待防止協会(ASPCA)は、1866年にヘンリーバーグによって設立された、北アメリカの最初の愛護協会であり、約150年間にもおよぶ、アニマルポリスとしての歴史と経験を持つ機関です。その経験を生かし、警察官に動物に関する指導を行っています。

しかし2014年、ASPCAは調査を行っているが、動物虐待の取り締まりはニューヨーク市警察が引き継ぎ、ASPCAの部門を閉鎖しました。そして新たに保護された犬のために、ASPCAはリハビリ施設を開設しました。

アニマルポリスに保護された犬たち

犬にキスをする人

保護されたばかりの時は、ケガや病気の状態でやってきますので、まずは体調改善に専念します。体調改善後は里親さんと暮らせるように、犬の心や行動面でのリハビリを始めます。

ひどい虐待を受けた犬は、心の傷が簡単には癒えず、人への恐怖心で襲ってしまうこともあります。そうなると、せっかく保護されたとしても、殺処分という悲しい結末になることもあります。悲しい結果にならないよう、スタッフが付きっきりでリハビリをして、心も体も健康にして新しい里親さんと暮らせるように手助けします。

ロサンゼルスには公的なアニマルポリスがあります。ロス市警や動物管理局の捜査員でなどで構成され、ニューヨークと同じように、逮捕権や操作権を持っており、ペットを守る任務に就いています。

動物も人間と同じように感情もありますし、血も通っている同じ生き物です。一度飼ったなら、最期まで責任をもって育ててください。

イギリスのアニマルポリス

イギリスの街並

イギリスのアニマルポリスは、歴史が古く、警察ができる年よりも早い1824年に設立されています。もとは、鞭で打たれて体を壊す馬や、酷使されて死んでしまう牛が多かったことから、ロンドンの貴族がポケットマネーで捜査員を雇ったのが始まりでした。

現在は英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)という称号を受け、発展を遂げて現在に至ります。

RSPCAには、インスペクターといわれる動物専門官がいます。警察と同等の権限はありませんが、告訴は可能なので、法律の勉強が必要です。そのため、イギリスのアニマルポリスになるには、動物に関しての法律を学ぶ他、獣医学の基礎や、災害時に動物を助けるための訓練を受けなければならず、狭き門だと言われています。

オランダのアニマルポリス

オランダの国旗

動物保護について指導を受けたアニマルポリスの警察官と、愛護団体が共に活動を行っています。現在500人の動物警察が稼働しています。国営の動物救急サービス、国営動物警察が設置され、その他緊急ダイヤル114も設置され、24時間体制で通報することができます。

住民からの通報を詳しく聞いた愛護団体が、緊急性が無いものとあるものを判断し、高いと判断された場合には、動物愛護団体とアニマルポリスが、現場へ向かいます。動物虐待だと判断された場合はその場で逮捕されて、犬は保護されます。

緊急性が低いと判断されても、通報のあった現地へ向かい、愛護団体が視察に向かいます。 動物の状態を見て、虐待のレベルを判断し、注意のみであっても、定期的に視察に入ります。また、通報者にはその後の経緯をメールで伝え、どのようになったか確認できます。

オランダ国内には殺処分場が存在しません。期限切れで殺処分されることがないので、里親が見つかるまで処分されることはなく、保護施設で過ごします。保護施設では、健康チェックや、マイクロチップの登録など、全てここでお世話をします。

アニマルポリスについてのまとめ

陽の光を背景に草原にいる白い犬の横顔

日本では、動物愛護法が改定されましたが、取り締まる執行機関がなく、法律が意味をなしていませんでしたが、兵庫県警にアニマルポリスホットラインが誕生しました。

2016年に設置し、1年で県内から137件、県外から57件、計194件相談の電話が寄せられたそうです。相談内容は、虐待が最多で実際に補導されたこともあります。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    今回記事を拝見して初めて「アニマルポリス」」という活動を知りました。日本にはまだまだ馴染みがないのだと思います。普段生活していて、虐待とまで言えなくても、犬の散歩をさせているのを一度も見ないような家があります。窓からは外を覗いたり吠えたりしていても、外のニオイを嗅げなかったり運動不足になってはストレスが相当かかっているのだと思います。
    そうした状況を確認してくれるのがきっと「アニマルポリス」なのかと思いますので、是非日本も広まってほしいです。兵庫県警に設置された「アニマルポリスホットライン」には沢山の相談があるようですので、まずはそうした窓口を増やしていく事が大事だと思いました。そして、きちんと保護をしてその犬のケアまでが出来るようにしていかなければいけないのだと思います。
  • 投稿者

    女性 ささみ

    犬を飼っている人は、みんなが犬の幸せを願っていると信じたいですが、現実はさまざまな人がいますもんね。気になる犬や飼い主がいても、どうにもできないのが今の日本だと思います。夏の暑い時期に庭につながれっぱなしの犬(屋根もない)、散歩しながら脚蹴りされている犬、見てみぬふりをしてしまう自分がいます。やはりそういう飼い主に関わってもろくなことにならないと思ってしまうからですが、きちんと取り締まってくれる機関があれば辛い思いをする犬が減ると思うのです。日本では保健所なのでしょうが、犬を取り上げるまでの権限ってあるのかな。
  • 投稿者

    女性 Chika

    世界には素晴らしい職業がありますね。アニマルポリスなんて知りませんでした!ペットを虐待している人を逮捕することができるなんて、素晴らしいと思います。ペットは言葉が話せません。また、信じられる人は飼い主さんしかいないのです。そんな状況で虐待をするなんて、普通では考えられないことです。胸が痛みました。日本でも悲しいニュースを聞くので、これからどんどんアニマルポリスが広まっていくことを願います。
  • 投稿者

    女性 べる

    アメリカにアニマルポリスのための学校があるなんて知りませんでした。動物愛護の関心の高さが日本と桁違いなんだろうなと思います。犬や猫に限らず動物虐待は許されることではありませんが、いろいろな価値観の人がいるのできっとなくならないだろうな、と悲しいですが思います。それでも動物虐待が減るように、日本でも罰則規定を厳しくしたり、一般の人の通報で行政が取り締まってくれたり、もっとシステムが充実していけばいいなと願っています。
  • 投稿者

    30代 男性 Si

    アニマルポリスの理念自体は良いと思われるが、あのシーシェパードみたいな過激派も欧米では一定の評価得ている。
    実家近辺も猪や鹿等による農業被害が深刻だが、過激動物愛護団体が捕獲用罠を壊したり箱罠にかかった獲物を逃がしたり、駆除にあたる猟師や農協関係者を集団で威嚇等々一方的で独善的活動が目立つ。
    大都市から遠征する彼らは中山間地の実態など知ろうともせず、一方的正義感を田舎に押し付ける。
    よほどしっかりした制度でないと過激な団体にお墨付きを与え、農業が基幹産業の地方は更に荒らされる。
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