そもそもトライアル期間とは?
里親になるためには、まず最初に保健所などの審査を通過しなければいけません。この時点でほとんどの人が通過できず、里親になる事ができないことが多いのですが、条件に当てはまり、審査を通過しても、その後のトライアル期間を経て里親となれないことも珍しくありません。
そもそもトライアル期間というのは、1週間~1ヶ月程度の期間を設け、実際に自宅で里親となる予定の犬と暮らすお試し期間のことです。
トライアル期間で発生する必要な物に関する費用は、基本的には自己負担の所が多いため、このトライアル期間中に基本的にどのくらい費用がかかるのかを把握することも可能です。中にはトライアル期間中に病気や怪我をした場合も自己負担となる施設や団体もあります。
このように「本当に犬を家族として迎えるために、何が必要なのか、どれだけ大変なのか」という点を確かめることができるトライアル期間を経て、「この家族になら任せられる」と判断され、初めて本当の家族として迎えることができるのです。
トライアル期間にチェックすべき6つのこと
では、具体的にトライアル期間でチェックすべき事とは、どのような点が挙げられるのでしょうか。これから保護犬の里親になろうと考えている方は、これらの点に問題が無いかどうかをトライアル期間中にしっかりと確認するようにしましょう。
①保護犬と先住犬・家族との相性
まずは家族との相性が良いかどうかを確かめましょう。犬と人間の間にも相性が存在します。多くの保護犬は辛い経験をしたことがあるため、懐く人と懐かない人がいることも珍しくはないのです。
もちろん、最初は懐かなくても根気強く、少しずつ慣れてくれる子が多いですので、重要なのは慣れてくれるまで、我慢強くコミュニケーションをとり続けることができるかどうかです。
最初は家族に警戒心があって当たり前と考え、次にある特定の家族に懐き、自分には懐かなくても我慢をし、懐いてくれるまで根気強く頑張ることができるかを自分に問いかけてみてください。
さらに人間だけではありません。もしも既に他に犬や猫を飼っていた場合、その先住犬、あるいは先住猫との相性を確かめるのも重要です。相性が悪かった場合、どちらにも負荷がかかってしまいますので、残念ですが今回は諦めるべきでしょう。既に飼っている子、そして新しく来る予定の保護犬のどちらも不幸にしてしまっては、本末転倒です。
もちろん、最初から仲良くなれるということはありませんので、1週間ほど根気強く様子を見ましょう。この時、無理矢理仲良くさせようとするのではなく、本人達に任せて仲良くなれるかどうかを様子見することが重要です。
②保護犬の問題行為
保護犬の中には、過去に飼われていた時の問題行動が原因で捨てられてしまったという子も中にはいます。もちろん、それは以前の飼い主がしっかりとしつけをしてあげなかったということも原因です。
トライアル期間中に問題行動が見られた場合、「このくらいならばなんとかなるんじゃない?」と安易な気持ちで飼うことを決めるのは止めましょう。なぜならば、実際に里親になり一緒に長期間暮らすことで、耐えられなくなってしまうということがあるからです。
問題行動の代表例としては、無駄吠えや家族に攻撃する、そして家の中をぐちゃぐちゃにしてしまう、等が挙げられます。本来ならばしっかりと躾をすることでこれらの問題行動は解決することができますが、自分の力で解決ができるとはっきりと確信できないのであれば、悲劇を再び引き起こしてしまいかねませんので、潔く手を引くべきなのです。
自分でトレーニングをすることが難しいとしても、近くにしつけの方法を学べたり相談できる施設がある、または一緒に訪れることのできるしつけ教室があるのであれば、そちらに行き、しつけをすることができるかどうかを確かめに行くと良いでしょう。
③保護犬としっかり向き合う時間
そして保護犬としっかりと向き合う時間があるかどうかも大切です。向き合う時間というのは、スキンシップをとったり、十分なお世話をする時間があるかどうかという意味です。
まず大型犬であれば、毎日朝晩2回、30分~1時間程度の散歩が必要になります。さらにそれだけでは運動不足になってしまう可能性もありますし、スキンシップ不足にもなってしまうので、一緒におもちゃを使って遊ぶことも大切です。
そしてごはんやトイレ、水、様々な基本的なお世話もしなければならない上、病気を患ったり怪我をしてしまった場合には病院にも連れて行く必要があります。
そのため、これらすべてができるかどうかという時間の余裕はもちろん、犬に十分なケア(お世話)をしてあげる体力があるかも考えておく必要があります。
犬の散歩は思った以上にきついですし、大型犬になれば引っ張られてしまい転んでしまうということも珍しくありません。もちろん、しつけをすることで改善することはできますが、最初にやって来た内はこのくらいは想定の範囲内に入れておくべきでしょう。
これらを許容できるかどうかをしっかりと見極め、簡単な気持ちで里親にならないようにしましょう。
④保護犬の健康状態
そしてトライアル期間中は一緒に暮らすだけではなく、自己負担でもしっかりと健康診断を受けさせたり、レントゲンを撮ってもらうことで、健康状態のチェックをするようにしましょう。
実は保護施設などでは精密な検査を行われていることが少ないのです。そのため、正確な健康状態を知ることができず、譲渡後に「実は病気があった」という事実が発覚し困惑してしまうというケースも見られます。
なぜ精密な検査をされていないのかといいますと、精密な検査をすべての犬にすることになれば、コストがとてもかかってしまいますし、人員確保も大変です。それほど保護される犬や猫が多いということなのです。
もちろん、保護施設のスタッフさん達はすべての子達の健康を保ってあげたいという思いはもっているでしょうが、現実的には難しいのです。
そのため、トライアル期間中に検査を受け、病気があるのか無いのか、発見された場合にはどれくらいの治療費がかかるのかなどをしっかりと聞き、それを考慮した上で家族に迎え入れるかどうかを判断しましょう。
⑤保護犬を養う経済力
そしてとても重要な点は金銭面です。なんだか一気にシビアな話になりますが、これはとても重要ですので、しっかりと家族間で話し合う必要があります。
まず、犬をお世話するために何が必要なのか、そして月々にどれくらい費用がかかるのかを見積もりましょう。これは多めに見積もるようにするべきです。例えば最初に食べていたドッグフードがアレルギー発覚により食べることができなくなり、代わりに高いノンアレルギー食品(ドッグフード)に変えなければいけない、ということも起こる可能性があるからです。
さらに犬をペット保険に加入させることも必要ですので、どのくらいの費用がかかるのかを調べることも忘れないのでください。この保険に入っていなければ、いざ病気を患った際、全額負担となってしまいます。
この病気を患った際にかかる費用ですが、こちらも非常に高額です。特に定期的に通院しなければいけない病気や重い病気、さらには怪我による手術なども発見次第、すぐに処置しなければ行けません。その際にしっかりと支払うことができるのかもシビアな目で確認する必要があります。
そして平均2~3ヶ月に1度はトリミングサロンに連れて行かなければ行けません。多くなってしまった毛をカットしてもらい、体を清潔に保つことも重要ですので、カットにかかるお金も調べましょう。
これらすべてを総合して、1年間にどれくらいお金がかかるのか、そして病気や怪我の際にかかる費用を払うことができるのかを検討した上で、里親になるか諦めるかを考えましょう。
⑥最期まで家族として責任を持って過ごす
以上のことを踏まえた上で、保護犬の最期の時まで、しっかりと愛情を持って育て、看取ってあげることができるかどうかという点が1番重要です。
今まで悲しい出来事、辛い出来事を経験してきた保護犬たちだからこそ、今度こそは幸せな暮らしをさせてあげなければいけません。しっかりと本当の意味での愛情を注いであげる必要があるのです。
保護犬はもちろんのこと、他の犬であっても家族として迎える際には、「家族」となりますので、何か家庭の事情があるからといって簡単に手放すことは許されないのです。家庭の事情であれば、犬もその家庭の一員なのですから。
ここまでのチェックすべき点を見て、すべてを確実にクリアでき、尚且つ最期までたくさんの愛情を注いであげられるという確信があるのであれば、ぜひ里親になり、保護犬に新しい幸せな暮らしを与えてあげてくださいね!
まとめ
いかがでしたでしょうか。里親になるためのトライアル期間というのは、保護犬との相性をチェックするのはもちろん、今後の生活を考えた上でするべきことがたくさんあります。
保護犬を迎えるということは簡単な気持ちで受けるべきではありません。しかし、今回ご紹介したチェック点をすべてしっかりと行うことができ、最期まで可愛がることができるのであれば、ぜひとも里親として幸せな暮らしを送らせてあげてください。
多くの保護犬が、優しい里親さんの救いの手をいつも待っているのです。里親になる事を考えている方は、トライアル期間をただ一緒に過ごすのでは無く、有意義な期間となるよう心得ておきましょう。