保護犬との出会い
実家のチワワの通院のため動物病院へ行った際、処置室を駆け回っている痩せこけたトイプードルがいました。ドクターに聞いたところ、この子はブリーダーから里親募集で預かっていると伺いました。
よく見ると、左後ろ足が浮いており、ブランブランしている状態で歩いてました。ドクターには、膝蓋骨脱臼になっていて、もう治らない、と聞きました。
しかしそんなことは気にならず、一人暮らしにも関わらず犬を飼いたかった私は、お試しで1週間一緒に生活させてもらうことにしました。
当初の生活
そのトイプードルは「サラ」と名付けました。一緒に暮らし始めると、サラの性格や今までの環境が見えてきました。
- 吠えない
- 寄ってこない
- ごはんを人がいるところで食べない
- 外を歩かない
- トイレのしつけは、されている
- 人が嫌い
当初全く吠えなかったので、声帯が取られてしまってるのではないかと心配したほどでしたが、数日後の私の帰宅時に吠えたので、安心しました。
通常の飼い犬は、飼い主に寄り添い甘えたりもしますが、サラには全くそれがなく、「単に同じ空間にいるだけ」のような状況でした。警戒心も強く、私が少し動くだけでビビり、私から離れ、ごはんも私が見てるところでは食べません。本当に人と同じ空間にいない環境で暮らしてきたのではないかと思います。散歩に連れ出しても動かずにビビってしまい、外に出してもらったことがないのではと思います。
人間を恐れるサラとの生活
まずは一緒の生活に慣れる
サラを引き取ることを決め、ふたりでの生活がスタートしました。焦らずに人間に慣れてもらうことから始めようと思い、触れ合うことはあまりせず、同じ空間にいるだけという状態で警戒心を解くことにしました。
3ヶ月程で、私に対する警戒心はなくなりました。おそらく自分に危害は加えない人なんだということが分かったのかと思います。ごはんも私の目前で食べられるようになり、私が動いても動じなくなりました。
そして、家族になる
一緒の生活に慣れてもらったら、今度は家族になれるよう、コミュニケーションを取っていきます。
ここからは積極的に触れ合い、サラには「人間は信頼できるんだ」と理解してもらいます。散歩にも連れ出し、アスファルトではなく芝生の地面を一緒に歩いて、外が気持ちいいと気づいてもらいます。
1年後ぐらいには、私に甘えるようになり、帰宅時も尻尾フリフリで喜んで、「ごはん」「散歩」などの言葉が分かるようになりました。
現在のサラとの生活
家族が増える
現在、私が結婚をしたため、サラは私の夫とも暮らしています。
夫には3ヶ月ぐらいで慣れ、今では夫の帰宅時は走り回って喜び、夫に遊んでもらうのを楽しみにしています。私には、ぬいぐるみ引っ張りあい遊びを要求するようになりました。また私がベッドで寝ていると一緒に寝たいとおねだりもします。家族に甘え、感情表現ができています。
サラの変化を目の当たりにして
サラの以前の生活環境
今思えば、サラは繁殖業者のところにいたのではないかと考えます。人間を嫌い、外を嫌い、警戒心が強くいました。
トイレシートでトイレができたのは、以前からトイレシートにトイレをしていたからに過ぎず、痩せこけていたのは十分なごはんの量を与えてもらってなかったのだと思います。引き取ったときすでに1歳8ヶ月でしたが、避妊手術もされておらず、もしかしたら出産を経験している可能性があるのではと思います。
サラを迎えて
サラと暮らす月日で学んだこと、それは保護犬がどんな生活をしていたとしても、必ず犬本来の性格を取り戻してくれるということです。根気よく一歩一歩焦らずに接していけば、必ず分かってくれます。
まとめ
サラのように繁殖業者から出され命があるのは、ごくわずかだと聞きます。多くは、繁殖犬として使えなくなった後捨てられたり殺されたりする方が多いようです。またサラの膝蓋骨脱臼も乱繁殖により生み出されてしまったのではないかと考えます。とても悲しい現実です。そのような現実がなくなるように、犬を飼う際は、保護犬という選択肢もぜひ検討してみてください。