里親になるために
里親募集
通常、里親になると決めた場合には保護施設に行きます。イギリスでも日本と同じように沢山のチャリティ団体が里親募集を行っており、施設では問題となる行動や今後家族で暮らすことに向けてのトレーニングがされ、犬たちは新しい飼い主さんが現れるのを待っています。
また最近ではインターネットのクラシファイド(募集広告媒体)等でも里親募集をしています。
どのような状況から来た犬が多いの?
基本的に子犬はとても少なく、飼い主さんの他界により面倒を見てくれる人を失った犬、そして引っ越しや面倒を見る時間がない等の理由により捨てられた犬、虐待された犬などです。
このような扱いを受けていい犬などいません。
里親になるための条件
以下はある保護施設の譲渡申込書の項目です。
住む場所について
家は持家もしくは賃貸なのか
庭は安全か、逃げる場所はある?
家族について
家族、子供は何歳?
訪問者は多い?どのくらいの頻度で訪問者があるのか。訪問者で動物を連れてくる人はいる?
他犬はいる?去勢済み?その他の動物は?
生活習慣について
どのくらいの時間、犬に運動させることができる
あなた自身は活動的?
犬を一人にする時間はどのくらい?
引っ越しの予定もしくは休暇でホリデーに行く予定は?
経験について
トレーニングの経験、トレーニングすることに問題がない?
条件に合った犬を紹介
この他に飼い主にとっての理想の犬の条件が聞かれます。
項目はかなり細かいように思えますが、実際は面接と訪問により飼い主さんの環境と理想に合った犬を紹介してくれるため、譲渡の厳しさはないといいます。
またウェブサイトには犬の写真のほかに犬の性格や好ましい環境条件が記載されています。
ある犬は...
ある犬の性格・環境条件
1.ほかに犬がいても問題無し2.トレーニング必要
3.1日に2時間の運動必要
4.子供のいない環境が好ましい
5.静かな家を好む
6.遊ぶの大好き、かまってもらうの大好き!
でした。運動や環境について記載は時間の短縮とぴったりの子を探せる嬉しい情報ですね。
犬の譲渡の手続き
犬を飼えるのかどうか
まずは施設を訪れて気に入った犬がいる場合には施設の人から「犬の性格」や「犬にとっての好ましい環境」等のアドバイスを聞き、飼い主に再度検討してもらいます。
家を訪問
次に施設の人が犬を実際に飼う家に来て確認です。家の大きさ、塀の高さや庭、安全の確認と犬の寝場所まで隅々見ます。
「これから塀を変更する。」などという場合、その工事が終わるまで里親の手続きはできません。
犬の最終チェック
施設側が譲渡することを決めたら、獣医により最終チェックをして引渡し日程が渡されます。必ず全ての犬がマイクロチップ、ワクチン、去勢をして譲渡されます。
料金
里親料金はチャリティ団体ドッグズトラストの場合で 120ポンド(約16,800円)です。
RSPCAのサービス
RSPCA(動物保護団体)では新しい飼い主さんを少しでも助けるために譲渡から6週間の保険料金無償や、飼い主さんが万が一病気やけがにあった場合に無料で犬を預かるサービスを提供しています。
また数週間後にはボランティアが家を再度訪れ、近況と問題の確認をしてくれます。
保護施設から迎えるの理由
なぜブリーダーからではなく保護施設から譲ってもらうことを決めたのか、散歩中の保護犬を持つ飼い主さんたちにお話を伺ってみました。
「2度目のチャンスを与えてあげたかった」
「自分も歳を取ってきたから子犬ではなく成犬か老犬を希望した」
「ブリーダーの子犬にはすぐに飼い主が現れるでしょ、だから私は施設の犬を飼うことに決めたの。施設の犬たちには飼い主(自分)が必要だから」
「よその国でシャンプーの実験に使われた犬を救いたかった。なかには6年間も動物実験をされている子もいた」
「持病により長生きはできないと言われた犬だが、そんなことは関係なく譲ってもらった。残りの人生は幸せになるべき。次回飼うときも絶対保護犬って決めてる」
公園で会う半数以上の犬が保護施設出身です。”普通のことをしただけ”という感じで答えてくれる飼い主さんの寛大さに嬉しい気持ちとなると同時に、保護施設にはまだまだ沢山の子がいるという状況にとても複雑です。
まとめ
いかがでしたか。イギリスでの犬を飼うというとき里親になるという選択は一般的です。
過去に辛い思いをした子でも、たくさんの愛情をそそげば必ず素敵なパートナーになることに間違いはありません。そしてせっかく里親になったのにやっぱり飼えなくなったなどの理由で、今後の里親になる条件のハードルを上げてしまうことのないように犬を飼うひとりひとりが責任を持った行動をしなければいけませんね。
すべての子に1日も早く最後まで一緒にいてくれる素敵な飼い主さんが現れてほしいものです。
ユーザーのコメント
女性 匿名
外には犬達の免許証が貼ってあり、各犬のプロフィールが書いてありました。誕生日がわかっている子が意外にも多く驚きました。それだけ飼い犬やショップの売れ残りの子が引き取られているのではないでしょうか。
スタッフの方が代わる代わる散歩に連れて行き、室内は清潔に保ってありました。
中には入らず外観から見ただけですが、快適に過ごせているようでした。
今の子は老犬です。
もしも次に飼うなら保護施設の子にしたいですが、室内環境などかなりハードルが高いのでうちは駄目そうです。
うちの子と同じくショップの売れ残りの子になるかもしれません。
愛犬と楽しい毎日を過ごしているので、これからも沢山散歩をしたり出かけたりして後悔のないようにしたいです。
50代以上 女性 匿名
ただイギリスの保護団体では里子に出されても、その後のフォローもあり良いですね。
日本では里親料金(飼育・医療費など)のみで長期休暇もくしは入院した場合のフォローなんてない。
厳しい条件はあまり変わりませんけど住宅事情が違うので日本で同じ事をすると中型犬以上を飼えるお宅がどれだけいるのでしょう。