犬の皮膚が伸びる理由

犬の首元や背中、頬などの皮膚を優しくつまんで引っ張ってみると、驚くほどよく伸びることがあります。
獣医さんが注射を打つとき、犬の皮膚をつまんでいるのを見たことがあるのではないでしょうか。
私も愛犬の頬や背中の皮膚をつまんで引っ張ってみたことがあるのですが、思っていたよりもずっとよく伸びるので、「これは頬袋なの?」なんて聞いてしまいました。
犬の皮膚が伸びることには、犬が生きていく上で重要な役割があります。
現代の犬にはあまり必要ない場合もありますが、野生で暮らしていた祖先から受け継がれた体の仕組みなのです。
1.母犬が子犬を運ぶため
犬の皮膚が伸びるのは、母犬が子犬を運ぶために備わった機能です。
母犬は、子犬を運ぶとき、首の後ろの方を口にくわえて運びます。とくに首の周りの皮膚は余裕があり、伸びやすいため、子犬への負担が少なくて済むのです。
母犬が子犬を安全に運ぶための本能的な行動であり、人間が子犬を移動させたいときは、皮膚をつまむのではなく、両手で抱えるようにしましょう。
2.身を守るため
犬の皮膚が伸びるのは、身を守るために備わった機能です。
犬の祖先が野生で暮らしていた頃、仲間同士での争いごともあったでしょうし、外敵との戦いもあったことでしょう。
野生動物を観察すると分かるのですが、首周辺や肩周辺の皮膚を噛むことがよくあります。致命傷になりやすい部分でもあり、息の根を止めるための手段なのです。
現代に家庭犬として暮らす犬には必要性の低い機能かもしれませんが、祖先から受け継いだ、身を守るための大事な体の機能のひとつであると言えます。
3.体を活発に動かすため

犬の皮膚が伸びるのは、体を活発に動かすために備わった機能です。
走る、飛び越える、方向転換する、伏せる、立ち上がるなど、全身を使って行動するとき、皮膚に大きな負担がかかります。
その負担を少しでも減らすため、皮膚に適度な余裕があるのです。また、皮膚が大きく伸び縮みすることによって、筋肉や関節の動きを妨げることがないのでしょう。
4.体温の調節をサポートするため
犬の皮膚が伸びるのは、体温の調節をサポートするために備わった機能です。
犬は、人間のように汗をかいて体温を調節しているのではなく、ほとんどをパンティングによって調節しています。
皮膚に適度な余裕があることによって血流を保ちやすくなったり、皮膚と被毛との間に空気の層ができることによって外気温からの影響を受けにくくなったりし、体温の調節をサポートしているのです。
犬の皮膚が伸びる病気を早期発見するためのチェック方法

皮膚無力症(エーラス・ダンロス症候群)は、皮膚のコラーゲンに異常が生じ、皮膚が過剰に伸びたり、傷つきやすくなったりする遺伝性疾患です。次のような方法でチェックすることができます。
1. 全身の皮膚がゆるみ、異常なほど伸び、たるみが目立つ
2. 軽く皮膚をぶつけただけで傷ができる
3. 擦り傷程度でも治りが遅く、傷跡が目立つ
4. 皮膚が紙のように薄く感じられる
5. 皮膚が薄く血管が透けて見える
皮膚無力症は稀な病気ですが、親犬や兄弟姉妹犬が皮膚無力症であると診断されたことがある場合、同様の症状がある場合には、遺伝する可能性があると考えておきましょう。
まとめ

犬の皮膚が伸びる理由を4つ解説しました。
- 母犬が子犬を運ぶため
- 身を守るため
- 体を活発に動かすため
- 体温の調節をサポートするため
犬の皮膚には安全に生きるための機能として余裕があり、とくに首の周辺や肩の周辺はよく伸びるという特徴があります。
異常だと感じられるほどの伸びがあり、皮膚に傷ができやすく治りにくかったり、血管が透けるほど薄く感じられたりする場合には、かかりつけの獣医師や皮膚の専門医に相談しましょう。



