犬の精神疾患とは?どんな種類があるの?

犬の精神疾患とは、脳や神経、心理的ストレスが関係して、行動や感情に以前とは違う異常が現れる状態を指します。
ただし、人間の精神疾患と完全に同じ症状が現れるのではなく、犬の場合は「問題行動」や「行動異常」として現れることが多いのが特徴です。
代表的な種類には、次のようなものがあります。
不安障害
犬の精神疾患の中でも比較的多く見られる症状です。
- 留守番中にパニックになる
- 飼い主が見えなくなると鳴き続ける
- 雷や花火に極端な恐怖を示す
こうした症状が現れている場合、不安障害の可能性も疑われます。ただし、一時的に不安を感じているだけの場合もあるので、精神疾患なのか、一時的な不安なのかを見極めることが大切です。
分離不安
近年、飼い主の在宅時間に変化が現れています。在宅勤務や在宅ワークが増えたことにより、犬たちが飼い主への依存を強めている傾向が見られるのです。
- 破壊行動
- 過剰な吠え(遠吠え)
- 粗相の増加
こうした症状が増加傾向にある場合、また飼い主の姿が見えなくなると毎回、問題行動を頻発している場合は、分離不安を発症している可能性が疑われます。
強迫性障害(常同行動)
強迫性障害とは、同じ行動を執拗に繰り返す症状です。
例えば、以下のような行動が挙げられます。
- 自分の尻尾を追い続ける
- 前足や体の同じ部位を舐め続ける
- 同じ場所を目的なく長時間歩き回る
全く同じ行動を、異常とも思えるほど長時間繰り返す行動が特徴です。時には、飼い主が呼びかけても耳を傾けず、同じ行動を繰り返し続けることもあります。
認知機能不全症候群
シニア犬で見られることが多く、人間の認知症に似た病気が「認知機能不全症候群」です。
認知機能不全症候群になると、
- 夜鳴き
- 昼夜逆転
- 徘徊
- 名前を呼んでも反応しない
などの症状が現れるケースが多く、飼い主の生活にも支障が出てしまうケースも見られます。
先天性の脳や神経の異常
まれに先天性の異常によって、
- 学習能力の低下
- 極端に興奮しやすい
- 攻撃性が強い
といった特徴が見られるケースもあります。
「生まれつきの性格」と思われていたものが、実は先天性の問題だったということもあるので、もしも「ずっと攻撃性が改善されない」と悩んでいる場合は、一度、動物病院に相談してみるのも1つの手段です。
犬の精神疾患で見られる主な症状とは?

精神疾患や行動異常が疑われる犬には、いくつか共通する症状が見られます。
急に性格が変わる
穏やかだった犬が突然、怒りっぽくなったり噛みつこうとしたり、反対に人を避けるようになったり、同じ場所から動かなくなったりする場合は注意が必要です。
精神疾患を患うと、こうした性格が急変するといった異常が現れやすく、今まで一緒に暮らしていた飼い主を困惑させることも珍しくありません。
同じ行動を延々と繰り返す
犬は多少の癖を持つことがありますが、もしも同じ行動が数十分以上続いたり、やめさせてもすぐに再開してしまう場合は異常行動の可能性があります。
また、飼い主が声をかけても反応せず、同じ行動を繰り返している場合も異常です。ストレスを落ち着かせようと必死になっていることが窺えるので、一度病院に相談してみると良いでしょう。
異常な食欲変化
精神疾患を患っている犬は、食欲にも大きな変化が現れがちです。
犬によって、ご飯をまったく食べなくなったり、反対に常に食べ物を探している様子を見せたりといった変化が見られます。こうした明らかにおかしな変化は、精神的な問題や病気が関係していることがあるので気をつけましょう。
過剰な吠えや遠吠え
特に理由が思いつかないのに、夜中に吠え続けたり一人になると鳴き続けるといった症状は、分離不安や不安障害といった精神疾患が疑われます。
「ただ寂しがりなだけかな」と放置していると、愛犬に強いストレスがかかり続けることになり、体調不良や元気消失など、症状が悪化する恐れもあるので注意してください。
元気がなく無気力になる
今まで、他の犬や人と交流することに抵抗感がなかったり、大好きだった犬が、ある時期から突然、人や他の犬との交流を避けたり、散歩を嫌がったりする場合も注意してください。
これは、精神疾患の犬に見られる「無気力」状態です。何もする気が起きないほど、精神的に疲労が溜まったり、気分が落ち込んでいることが考えられます。
今すぐ病院を受診すべき症状と判断方法

精神疾患を疑う前に、まずは身体の病気の可能性を除外することが重要です。
実際には、
- 脳腫瘍
- てんかん
- 甲状腺疾患
- 慢性的な痛み
などが原因で行動異常が起こるケースもあります。
もしも以下のような症状が現れている場合は、精神疾患ではなく、神経疾患の可能性が疑われます。
- 意識障害
- けいれん
- 突然の攻撃行動
- 歩行異常
- 失神
また、問題行動が数週間以上続いていたり、日常生活に支障が出ている状態、あるいは飼い主がコントロールできない場合も速やかに受診してください。
診察時には、いつから始まったか、どのような症状が現れているのか、さらにその時の様子を動画に撮れるなら撮影しておくと、より獣医師さんが正確に診断しやすくなります。
犬の精神疾患の治療方法と家庭でできるサポート

精神疾患と診断された場合でも、適切な治療によって改善が期待できる可能性は大いにあります。
環境改善
まず重要なのは、ストレス原因を減らすことです。
例えば、
- 留守番時間を見直す
- 安心できる居場所を作る
- 適度な運動を取り入れる
- 毎日愛犬とだけ向き合う時間を作る
上記を取り入れるだけでも、少しずつ改善することがあります。
行動療法
専門家の指導のもと、問題行動の修正や不安の軽減を目指す『行動療法』が勧められることもあります。
近年では犬の行動診療科を設けている病院も増えているため、「もしかして精神疾患かも?」と思ったら、いつものかかりつけの動物病院だけでなく、行動診療科を設けている動物病院にも連れて行ってみましょう。
投薬治療
症状が重い場合は、抗不安薬や抗うつ薬などを投与することもあります。
ただし、薬だけに頼るのではなく、環境改善と併用することが求められるので、まずは環境を見直したり、接し方を見直してから検討すべきでしょう。
飼い主が気をつけたいこと
愛犬が問題行動を起こしたとき、たとえ叱っても改善につながらないケースが多いです。
特に、精神的な問題を抱える犬は、不安や恐怖から問題行動を起こしていることも少なくありません。
そのため、叱って余計に恐怖や不安を与えるのではなく、
- 安心できる環境を作る
- 成功体験を増やす
- 無理に行動を止めようとしない
- 飼い主に愛されていると実感を持たせる
以上のポイントを見直すことが大切です。
まとめ

犬の精神疾患は決して珍しいものではありません。不安障害や分離不安、強迫性障害など、さまざまな種類が存在します。しかし、中には脳の病気や神経疾患、内科疾患が隠れているケースもあるので、「様子がおかしい」と感じたら早めに病院へ相談しましょう。



