犬が亡くなるかもしれない「口腔内の病気」6選

1.口腔がん(悪性腫瘍)
お口の中にできる「がん」は、非常に進行が早いのが特徴です。最初は小さなデキモノに見えても、あっという間に大きくなり、あごの骨を溶かしたり、肺などの他の臓器へ転移したりすることがあります。
見た目ではただの腫れに見えることも多いため、発見が遅れると手遅れになるケースも少なくありません。特に悪性黒色腫(メラノーマ)などは色が黒いことが多く、汚れと見間違えやすいので、日頃から口の中の色をよく観察しておくことが、愛犬の命を救う第一歩となります。
2.重度の歯周病
歯周病は、ただ歯が抜けるだけの病気ではありません。歯ぐきで増えたバイ菌が血管に入り込み、血の流れに乗って心臓、肝臓、腎臓といった大切な臓器にまで到達してしまいます。これにより、内臓の機能が低下し、全身の健康を著しく損なう恐れがあるのです。
また、歯ぐきの炎症がひどくなると強い痛みでご飯が食べられなくなり、体力が落ちて衰弱してしまうこともあります。「年だから口が臭いのは当たり前」と思わず、歯周病の可能性があることを忘れないようにしましょう。
3.歯根膿瘍(しこんのうよう)
歯の根っこにバイ菌が入り込み、そこに膿が溜まってしまう病気です。溜まった膿が行き場を失うと、周囲の骨を溶かし、目の下や頬の皮膚を突き破って外側に穴が開いてしまうことがあります。
ひどい場合には、炎症が目や脳の近くまで広がり、命に危険が及ぶことも。顔が腫れている、目の下に傷があるといった症状が出たときは、すでにかなり進行しているサインです。
激しい痛みを伴うため、愛犬が顔を触られるのを嫌がるようになったら、すぐにこの病気を疑う必要があります。
4.顎骨壊死(がっこつえし)
歯周病や感染症が悪化しすぎて、あごの骨そのものが腐ってしまう状態です。骨がもろくなるため、少しの衝撃や、固いものを噛んだ拍子にあごの骨がパキッと折れてしまう「病理的骨折」を引き起こすこともあります。
一度骨が壊死してしまうと、元の健康な状態に戻すのは非常に難しく、食事を摂ることが困難になり、急激に衰弱する原因となります。
お口の不衛生を放置することは、愛犬の顔の形を変え、生きるための食事さえ奪ってしまう可能性があるということを忘れてはいけません。
5.唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)
唾液を作る組織が傷つくことで、唾液が正しい場所に流れず、喉や舌の下などに溜まって袋状に腫れ上がる病気です。この袋がどんどん大きくなると、喉を圧迫して息ができなくなる「呼吸困難」を引き起こす恐れがあります。
また、溜まった唾液にバイ菌が感染して高熱が出ることも。首のあたりや喉元が不自然に膨らんでいるのを見つけたら、一刻を争う事態かもしれません。単なる太りすぎやむくみと勘違いせず、首周りのスキンシップを通じて違和感がないか確かめましょう。
6.口腔内異物による敗血症
お散歩中にくわえた木くずや、おもちゃの破片などが口の中に刺さり、そこからバイ菌が全身に回ってしまうケースです。犬の口の中は血管が豊富なので、小さな傷口からでも菌が入りやすく、全身で炎症が起きる「敗血症」という命に関わる状態に陥ることがあります。
刺さった直後は元気に見えても、数日後に急激にぐったりしたり、熱が出たりするのが怖い点です。異変に気づいた時には、菌が全身を巡って手遅れになることもあるため、愛犬が口にするものには細心の注意を払う必要があります。
飼い主が毎日チェックすべきポイント

まず最初にチェックしたいのは「ニオイ」です。食べ物のニオイとは違う、生臭い、または何かが腐ったような嫌な臭いがしたら、それはお口の中でバイ菌が増えている証拠です。
次に「色と形」を観察しましょう。歯ぐきが真っ赤になっていないか、ピンク色ではない黒い塊や、左右非対称の腫れがないかを確認してください。
最後に「しぐさ」です。急に片側だけで噛むようになったり、口を前足で何度もこすったり、よだれが急に増えたりするのは、痛みや違和感があるサインです。
今日からできる愛犬のための「お口のケア」

いきなり歯ブラシを使うのは、初めての飼い主にも愛犬にもハードルが高いものです。まずは、リラックスしている時に口の周りや唇を優しく触ることから始めて、徐々に慣らしていきましょう。
慣れてきたら、指に巻いて使う「歯みがきシート」で歯の表面を拭くだけでも効果があります。また、飲み水に混ぜるだけの液体ケア用品や、噛むことで汚れを落とすガムなど、無理なく続けられる道具を上手に活用してください。
大切なのは完璧を目指すことではなく、毎日続けて異変にすぐ気づける習慣を持つことです。
まとめ

お口の病気は、飼い主が一番早く気づいてあげられる場所です。毎日のケアやスキンシップを通じて異変を察知できれば、病気が深刻になる前に救うことができます。
「たかが口臭」と放置せず、愛情を持って向き合うことが、愛犬と長く一緒に過ごすためのポイントです。少しでも不安を感じたら、すぐに獣医師に相談しましょうね。



