1.白内障

症状
白内障は、眼球内でレンズの役割を果たす水晶体が白く濁る眼疾患です。
レンズが濁ることで、視力が低下したり見えにくさを感じたりするようになり、進行すると失明してしまうこともあります。
痛みなどの自覚症状は基本的にありませんが、見えにくくなることで物にぶつかったりつまずいたりするようになってしまいます。
治療法
白内障によって濁ってしまった水晶体を元に戻すことはできません。
そのため、白内障を発症したことに気づいたら、すぐに治療を開始して進行を遅らせることが大切です。
軽度の状態では、点眼薬や内服薬を使って進行を防ぎます。状態に合わせてしっかりと治療に取り組むことで、寿命を全うするまで視力を維持できることもあります。
また、遺伝性など若年のうちに白内障を発症した場合、全身麻酔を施したうえで人工レンズを入れる手術で対応することも検討できます。
原因や予防法
白内障には、遺伝性が強いとされる先天性のものと、加齢や疾患が要因となる後天性のものがあります。
先天性白内障の場合は予防がむずかしいため、異変に気づいた段階ですぐに動物病院を受診するようにしましょう。
後天性白内障のひとつである老年性白内障は加齢や紫外線が影響するとされていて、健康体でも多くの犬が発症します。そのほかにも、怪我や病気が原因で白内障を発症することもあります。
2.緑内障

症状
緑内障とは、眼球内の眼房水が溜まって眼圧が上がってしまうことで、痛みや神経障害を引き起こす眼疾患です。
眼圧が上がると視神経が圧迫されて、視野が欠けたり失明したりしてしまいます。
慢性緑内障の初期段階では、充血や違和感が起こり、目をしょぼつかせたりこすったりする様子が見られることがありますが、気がつけないことも多くあります。
また、急性緑内障の場合は、突然眼圧が上昇して激しい痛みを引き起こし、数日のうちに失明してしまう可能性があります。
治療法
緑内障によってダメージを受けた視神経は回復することがないため、失われた視野も戻りません。
そのため、白内障と同様に緑内障の発症がわかったら、できるだけ早く治療を開始して進行を防ぐ必要があります。
眼圧を下げるために溜まった眼房水を抜いたり、視力を維持するための点眼薬や痛みを抑えるための内服薬などが処方されたりします。
眼圧が上がっていて目に強い痛みが生じている場合などは、視力が完全に失われているようであれば眼球摘出することもあります。
原因や予防法
何の前触れもなく突然発症する急性緑内障は予防法がなく、発症した時点で迅速な対応をしなければなりません。
慢性緑内障も加齢や疾患が要因と考えられていますが、明確な原因は不明です。早期発見・早期治療が大切ですが、初期段階ではなかなか気がつきにくいため、定期的に動物病院で検診を受けるようにしましょう。
片目に症状が見られた場合は、もう片方の目も発症する可能性が高いため、予防的に点眼治療などをおこなうこともあります。
3.進行性網膜萎縮症

症状
進行性網膜萎縮症は、その名の通り網膜が萎縮することで光を感知できなくなり視力が低下する眼疾患です。
明るい場所では問題なく行動できても、薄暗い場所ではよく見えずに行動が制限されてしまうことがあります。
進行すると明るい場所でも視界が悪くなり、発症から2年程度で失明することが多いとされています。
治療法
進行性網膜萎縮症は、現状で有効な治療法が確立されていません。
網膜の変性を防ぐサプリメントやビタミンを投与して進行を遅らせる治療をすることもありますが、効果は確実ではないとされています。
原因や予防法
進行性網膜萎縮症は遺伝性が高い疾患だと考えられていて、特に以下のような犬種に多く発症が見られます。
- ミニチュアダックスフンド
- プードル
- ゴールデンレトリーバー
- ラブラドールレトリーバー
- 柴犬
- シェットランドシープドック
- アメリカンコッカースパニエル
そのため、進行性網膜萎縮症が見られる犬の繁殖はしないようにすることが大切です。
4.網膜剥離

症状
網膜剥離は、目に入ってきた光を受け取る網膜がはがれてしまう眼疾患です。
脈絡膜という部分から網膜がはがれると、視細胞に栄養が届かなくなって正常に働かなくなってしまい、視覚障害や視力低下を引き起こします。
基本的に痛みや違和感を感じることもないため、発見が遅れることも多く、治療が遅れて失明してしまうこともあります。
治療法
網膜剥離は投薬や手術によって治療が可能です。
初期の状態で発見できた場合、投薬で網膜の回復をうながします。発症の原因がほかの疾患の場合は、そちらも同時に治療をおこないます。
網膜がはがれかけていたり部分的にはがれていたりする場合、レーザー治療を施して再度固定します。
完全にはがれてしまっている場合は、硝子体手術によって網膜をつけることも可能とされています。ただし、特殊な器具を使用する高度な治療のため、眼科専門病院などでしか対応できません。
原因や予防法
網膜剥離は、白内障や緑内障など他の眼疾患をはじめ、高血圧や糖尿病などの疾患が原因となることが少なくありません。
そのほかにも、頭部への衝撃や目の外傷が原因となることもあります。海外の研究では、ヘッドシェイキング(おもちゃをくわえて激しく振り回す行動)を頻繁にする犬に多く見られるという結果も出ています。
5.水晶体脱臼

症状
眼球内のレンズである水晶体が、本来の位置からずれてしまっている状態が水晶体脱臼です。
水晶体がずれると激しい痛みや充血が起こることがありますが、無症状のことも少なくありません。
ただし、眼が白濁したり水晶体に揺れがあったりするため、見た目で異変に気がつく場合もあります。そのまま放置すると失明してしまうことが考えられます。
治療法
水晶体が前方に脱臼した場合、緑内障や角膜障害などほかの疾患を引き起こす可能性が高いため、水晶体を摘出する外科治療がおこなわれます。
ただし、水晶体を元の位置に戻せるわけではなく、ほかの疾患の発症や状態の悪化を防ぐためにおこなわれる処置です。
水晶体が後方に脱臼した場合、症状が出ないこともあるため経過観察をおこないながら、前方脱臼を予防するために点眼などの内科治療が施されます。
原因や予防法
遺伝性や先天性の水晶体脱臼の予防は、残念ながらむずかしいと考えられています。テリアやプードル、ボーダー・コリー、ミニチュア・シュナウザーなどの好発犬種の場合は、定期的に眼科の検査を受けておくと安心です。
白内障や緑内障、外傷などが原因の続発性水晶体脱臼の場合は、すぐに検査と適切な治療を始める必要があります。
水晶体脱臼が起こると眼球の異常だけでなく、物にぶつかったりふらついて歩いたりする様子が見られるようになるため、異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ

犬が失明する要因には、事故や病気、加齢など様々なものが考えられます。
遺伝性疾患や突発的な事故など予防することがむずかしいものもありますが、なかには早期発見・早期治療をすることで失明を防げる場合もあります。
目の状態だけでなく、日頃から愛犬の体や行動には十分注意を払い、少しでも異変を感じたら動物病院に相談するようにしましょう。



