犬がしていたら『危険な嘔吐』5選 愛犬が吐いてしまう原因や考えられる病気まで

犬がしていたら『危険な嘔吐』5選 愛犬が吐いてしまう原因や考えられる病気まで

愛犬が突然吐くと、不安になる飼い主さんは多いでしょう。犬は比較的吐きやすい動物ですが、中には緊急性の高い「危険な嘔吐」もあるため、正しい見極めが大切です。この記事では、犬がしていたら危険な嘔吐をはじめ、吐く原因や考えられる病気までご紹介します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬がしていたら危険な嘔吐5選

吐きそうなロットワイラー

犬が吐いたあと、ケロッとして元気な場合は様子見で済むことが多いです。一方で、「いつものこと」と見過ごすと、手遅れになりかねない危険な嘔吐もあります。

そのため、愛犬が嘔吐した際は、それが緊急性の低いものか、高いものかを正しく見極めることが、愛犬の命を守るうえで非常に重要です。ここでは、犬がしていたら危険な嘔吐を5つご紹介します。

1.何度も繰り返し吐く

犬が何度も繰り返し吐くのは危険です。頻回な嘔吐は脱水症状を引き起こし、体力も消耗させてしまいます。特に、もともと体力が乏しい子犬や老犬、持病がある犬は、急激に状態が悪化するおそれがあります。

重篤な病気のサインである可能性もあるため、何度も繰り返し吐く場合は動物病院を受診しましょう。

2.血が混じっている

嘔吐物に鮮血や、コーヒーのかすのような茶褐色または黒っぽい色のものが混じっている場合は、上部消化管(食道、胃、十二指腸)で出血している可能性が高いです。この茶褐色や黒っぽい色のものは、胃酸で酸化した血液であり、出血からある程度時間が経過していることを示しています。

嘔吐物に血が混じるのは緊急性が高いと考え、たとえ少量であっても軽視せずに、速やかに動物病院を受診してください。

3.異物が混じっている

嘔吐物におもちゃの破片、ビニール、布、紐状のものなどの異物が確認されると、飼い主さんは「吐き出したからもう安心」と考えてしまいがちです。しかし、一部を吐き出しただけで、まだ胃や腸に異物が残っているかもしれません。

その場合、腸管内で異物が詰まり、腸閉塞を起こす危険性があります。腸閉塞は緊急手術が必要となるケースが多く、放置すると腸管の壊死や穿孔(穴が開くこと)を招き、命を落とすことにもなりかねません。

嘔吐物に異物が混じっている場合は、自己判断で完結させず、動物病院でレントゲンや超音波検査を受け、胃腸に異物が残っていないかを確認することが大切です。

4.吐こうとしているのに吐けない

何度も吐こうとしているのに吐けないのは、胃拡張・胃捻転症候群(GDV)の典型的な症状です。

胃拡張・胃捻転症候群は、ガスで胃が膨らみ、ねじれる非常に緊急性の高い病気で、胸の深い大型犬(グレート・デーン、ゴールデン・レトリバー、ドーベルマンなど)に多く見られます。胃がねじれることによって血流障害が起きると、急速にショック状態に陥ります。

対応が遅れると数時間で死に至る危険があるため、吐こうとしているのに吐けない、お腹がパンパンに膨らむ、大量のよだれを垂らす、落ち着きなくウロウロするといった症状が見られたら、一刻も早く動物病院へ連れて行きましょう。

5.下痢や腹痛を伴っている

嘔吐だけでなく下痢や腹痛を伴っている場合は、重篤な病気のサインである可能性があります。

お腹を触ると嫌がったり、「お祈りのポーズ」を見せたりするのは、強い腹痛を感じているサインです。お祈りのポーズとは、前足を伸ばしてお尻を高く上げる姿勢のことで、この姿勢を取ることで内臓への圧迫を和らげていると考えられます。

嘔吐と下痢が同時に起こると、体内の水分が急速に奪われ、深刻な脱水症状を招くため非常に危険です。下痢や腹痛を伴って嘔吐している場合は、様子見をせずに動物病院を受診しましょう。

犬が吐いてしまう主な原因は?

元気のないゴールデンレトリバー

犬の体は口から胃までが地面と平行になっており、重力に逆らわずに吐き出せる構造をしています。そのため、犬は人よりも吐きやすい動物です。では、犬が病気以外で吐くのは、どのような場合が多いのでしょうか?ここでは、犬が吐いてしまう主な原因を3つご紹介します。

1.早食い

犬が勢いよく食べた直後に、未消化のフードをそのまま吐き出すことがあります。これは嘔吐ではなく「吐出」と呼ばれるもので、フードが胃に届く前に食道から逆流する現象です。

吐出後の犬はケロッとしており、吐き出したフードをまた食べようとすることもあります。吐出の主な原因は早食いであるため、早食い防止用の食器を使用したり、1回の食事量を減らして食事回数を増やしたりすることで予防できます。

ただし、食事のたびに吐出する場合は、食道の病気が隠れている可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。

2.長時間の空腹

愛犬が朝方などに、白い泡や黄色の液体を吐いたことはありませんか?これは多くの場合、空腹が原因の嘔吐です。

空腹時間が長くなると、胃酸が過剰に分泌されたり、胆汁が胃に逆流したりすることで胃の粘膜が刺激され、嘔吐につながります。白い泡は胃液や唾液が混ざって泡立ったもので、黄色い液体は胆汁です。

空腹による嘔吐を防ぐポイントは、空腹時間を短くすることです。1日2食を3食に増やしたり、寝る前に少量のフードを与えたりするなどの工夫をしましょう。ただし、愛犬に必要な1日のカロリーを超えないように注意してください。

3.自律神経の乱れ

犬は、自律神経の乱れによって嘔吐することも少なくありません。胃腸は自律神経にコントロールされているため、自律神経が乱れると胃腸の働きが低下し、嘔吐や下痢を引き起こすことがあるのです。

犬の自律神経を乱す大きな要因のひとつがストレスです。引っ越しなどによる環境の変化や家族構成の変化、長時間の留守番、運動不足などは犬のストレスになるため注意が必要です。

犬が嘔吐する場合に考えられる病気

チョコレートのそばで横たわる犬

犬の嘔吐は、何らかの病気のサインであることがあります。特に、前述の「危険な嘔吐」をしている場合は、重篤な病気が潜んでいる可能性が高いです。ここからは、犬が嘔吐する場合に考えられる病気をご紹介します。

1.胃腸の病気

犬が嘔吐する場合にまず考えられるのは、胃腸の病気です。代表的なものとして、胃腸炎や胃潰瘍、胃腸の腫瘍、そして異物の誤飲による腸閉塞などが挙げられます。

これらの病気では、嘔吐のほかに食欲不振や下痢も同時に見られることが多いです。また、重度な胃腸炎や胃潰瘍、進行した腫瘍では、嘔吐物に血液が混じることがあります。

2.胃腸以外の内臓の病気

嘔吐は胃腸だけでなく、肝臓や膵臓、腎臓といった内臓の病気によっても引き起こされます。

特に代表的なのは急性膵炎で、嘔吐と激しい腹痛を伴い、前述の「お祈りのポーズ」をすることが多いです。急性膵炎の原因ははっきりとは分かっていませんが、脂肪分の高い食事や肥満が大きなリスク因子と考えられています。

3.中毒

チョコレートや玉ねぎ、観葉植物、人間用の薬など、犬にとって危険なものを口にした場合、中毒症状のひとつとして嘔吐が見られます。

摂取したものの種類や量にもよりますが、犬が中毒を起こすと嘔吐以外にも下痢やけいれん、呼吸困難、異常な興奮など、さまざまな症状が現れます。最悪の場合は命を落とす危険があるため、もし中毒が疑われるときは、すぐに動物病院を受診しましょう。

中毒は、飼い主さんの配慮で未然に防ぐことができます。口にすると危険なものは愛犬の届かない場所で管理する、必要に応じてペットゲートなどを設置して立ち入りを制限するといった対策を徹底しましょう。

4.感染症

犬パルボウイルス感染症や犬コロナウイルス感染症、犬ジステンパーウイルス感染症といった感染症も、嘔吐を引き起こします。また、回虫、鉤虫、鞭虫、条虫などの腸管内寄生虫の感染によって、嘔吐の症状が現れることもあります。

特に免疫力の低い子犬や老犬は、こうした感染症にかかるリスクが高く、重症化もしやすいため注意が必要です。感染症から愛犬を守るためには、定期的な混合ワクチンの接種や駆虫薬の投与が非常に重要になります。

まとめ

受診中のシベリアンハスキー

犬は吐きやすい動物であり、早食いが原因でフードを吐き出してしまったり、空腹やストレスが原因で嘔吐したりすることが少なくありません。

しかし、嘔吐はさまざまな病気の症状のひとつでもあります。もし今回ご紹介した危険な嘔吐を愛犬がしていたら、速やかに動物病院を受診してください。受診する際は、嘔吐した時間や回数、嘔吐物の色や状態のほか、元気や食欲、排便の様子を獣医師に伝えると診断に役立ちます。

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