注意が必要な「犬の危険なくしゃみ」5つ

犬のくしゃみには「単なる反射」と「病気のサイン」があります。ここでは、特に注意すべき5つのくしゃみの原因を、症状と対処法を交えて解説していきます。
1.出血を伴うくしゃみ
犬のくしゃみで血が混じる、または鮮血が出る場合は、最も注意が必要なサインです。一時的な毛細血管の損傷で起こることもありますが、異物混入や外傷、鼻腔内腫瘍といった鼻腔に異常がある可能性があります。
2.連続でくしゃみが止まらない
1回のくしゃみでは終わらず、連続して「クシュン、クシュン」と繰り返す場合、アレルギーや鼻腔の炎症、あるいは異物が引っかかっていることが考えられます。
特に短頭種(パグ、フレンチブルドッグなど)は鼻腔が狭いため、くしゃみを連発しやすい傾向があります。
3.黄色や緑色の鼻水・膿が出ている
透明ではなく、黄色や緑色の鼻水・膿が出ている場合は、細菌・ウイルス・真菌などの感染が疑われます。鼻の奥で炎症が起きており、放置すると肺や気管にまで広がることも。
4.異物を吸い込んだ後にくしゃみ
散歩後や草むらに顔を突っ込んだ後にくしゃみが止まらない場合、草の種や砂などの異物が鼻腔内に入った可能性があります。異物が奥に残ると炎症や感染を引き起こすため、絶対に自分で取り出そうとせず、動物病院で安全に除去してもらいましょう。
5.咳や苦しそうな呼吸を伴う
くしゃみと同時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音がする場合、気道や肺に異常がある可能性があります。鼻ではなく喉や気管支の炎症(ケンネルコフなど)を起こしているケースや、心臓病などが原因で呼吸が苦しくなっていることも。
くしゃみが続く場合の対処法

犬のくしゃみが数日以上続く場合、まず行うべきは「原因の見極め」と「環境の見直し」です。
くしゃみ自体は自然な防御反応ですが、長引く場合は鼻や気道で炎症や感染が起きている可能性が高く、放置すると悪化することもあります。
観察と記録で原因を特定する
まず、どんなタイミングでくしゃみが出るのかを詳しく観察しましょう。
- いつ(時間帯・場所)くしゃみが出るか
- 鼻水の色や量、片側両側どちらから出ているか
- 呼吸音、咳、涙、元気や食欲の有無
これらを記録しておくことで、動物病院での診断が非常にスムーズになります。
透明な鼻水ならアレルギーや刺激性の可能性が高いですが、黄色や緑色・血混じりの鼻水は感染や腫瘍のサイン。また、片側だけから出る鼻水も鼻腔内異物や腫瘍が疑われるため、注意が必要です。
家庭でできる環境改善とケア
室内の空気環境を整えることは、犬のくしゃみ対策の基本です。
- ハウスダストや花粉を減らすために、掃除や換気をこまめに行う
- 空気清浄機や加湿器で乾燥や刺激を防ぐ
- 芳香剤、柔軟剤、アロマオイルなど強い香りを控える
- 散歩後は濡れタオルで顔まわりを拭く
これらの小さな習慣が、鼻粘膜への刺激を減らし、くしゃみの頻度を抑える助けになります。
特に冬場や暖房使用時は乾燥しやすいため、加湿は効果的です。
病院へ行くべきサインを見逃さない
次のような症状が見られた場合は、自宅ケアでは対応が難しい段階です。できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。
- 鼻血が出る、または片側だけの鼻水が続く
- くしゃみが止まらない、悪化している
- 黄色や緑色の鼻水・膿が出ている
- 咳やゼーゼー音など、呼吸が苦しそう
- 顔の腫れ、口臭の悪化、食欲の低下
これらの症状は、感染症・腫瘍・歯根炎・異物・気道疾患など、放置すれば重症化する可能性があります。
病院では視診・触診に加えて、レントゲン・CT・内視鏡検査などで原因を特定し、必要に応じて内科的及び外科的処置が行われます。
まとめ

犬のくしゃみは、健康状態を表す小さなサインです。単なる反射のように見えても、その裏にはアレルギーや感染、歯や鼻の病気など、思いがけない原因が潜んでいることがあります。
だからこそ、「いつもと違う」と気づける観察力が、飼い主にとって最も大切です。迷ったときは、ためらわずに動物病院へ相談しましょう。あなたの気づきが、愛犬の命を守ることにつながります。



