恐怖心を抱いている犬のサイン5選

犬が恐怖を感じると、行動や目の表情、耳や尻尾の動きなどに気持ちがあらわれます。飼い主さんがそのサインを見逃さずに気づけるかどうかが、犬の安心感を左右するといっても過言ではありません。ここではよく見る5つのサインを紹介します。サインを知り、愛犬の気持ちを汲み取れるようになりましょう。
1.体を低くして尻尾を下げる
犬が恐怖や不安を感じたときの行動として、いちばんに思い浮かぶのが、体を低くして、股の間に尻尾を挟んだ姿勢ではないでしょうか。
この姿勢は、自分を小さく見せて「私は無害です」「攻撃するつもりはありません」とアピールするための回避行動または、服従的な気持ちのあらわれでもあります。脅威から身を守りたい、またはその場から逃げ出したいという強い本能的な反応です。
犬がこの姿勢を取っている場合は、極度の不安やストレスを感じている可能性が高いでしょう。
2.逃げる・隠れる
犬は強い恐怖心を抱くと、その場から逃げ出そうとしたり、物陰や家具の裏など狭くて暗い場所に隠れようとしたりすることがあります。これは自分にとって危険だと感じた状況から距離を置こうとする防衛反応のひとつです。
雷や花火の音、見知らぬ人やほかの犬との遭遇など、具体的な対象に強い恐怖を感じた際に見られることが多いサインです。
このようなとき、犬は安心できる場所に身を隠すことで、不安を和らげ、安全を確保しようとします。
3.ブルブルと震える
犬が恐怖心を抱くと、体全体が細かく震えることがあります。これは、寒さや興奮による震えとは異なり、強い不安やストレスを感じたときに起きる身体的なサインです。恐怖や不安を感じて、自律神経が過剰に反応し、筋肉が硬直することで起こります。
特に、動物病院での診察や慣れない場所、大きな物音など、犬にとってネガティブな経験と結びついた状況で起こりやすいです。
犬が恐怖や不安で震えるのは、極限的な状態と言えます。できるだけ早く安心できる場所に移動するなどして、犬を落ち着かせてあげましょう。
4.攻撃的になる
犬の攻撃的な行動は、必ずしも怒りだけが原因ではありません。強い恐怖心からくる究極の防御反応としてあらわれることも多いでしょう。
例えば、窮地に立たされたときに「これ以上近づくな!」という警告の意味で、唸る、歯をむき出す、吠える、噛みつくといった行動を取ります。これも、自分の身を守るための防衛反応の一種です。
身体を触られることや自分のテリトリーに侵入されることに恐怖を感じる犬に見られることが多く、無視して近づくと攻撃に転じることも少なくありません。
5.小さな音にも神経質になる
恐怖心を抱いている犬は、周囲の環境に対する警戒心が強まります。すると、通常であれば気にしないような小さな生活音やかすかな物音に対しても過剰に反応し、ビクッとしたり、吠えたり、耳を向けて固まったりすることがあります。
これは、犬が周囲の環境に不安や緊張を感じ、常に警戒している状態です。この状態が続くと、犬は心身ともに疲れ、落ち着きを失いやすくなります。安心して過ごせるよう、落ち着かせる工夫が必要です。
犬が怖がりになる原因と落ち着かせるコツ

犬が怖がりな性格になる背景には、遺伝や環境、過去の経験などが関係しています。
例えば、子犬のころに人や音、場所などさまざまな刺激に慣れる機会が少ないと、はじめての経験に不安を感じやすくなります。また、過去に叩かれたり、大声を出されたりして怖かったという経験があると、それに似た状況で強く反応してしまう犬もいます。
飼い主さんは「なぜこの子は怖がるのか」を理解し、そのうえで適切にサポートしてあげることが大切です。
まずは、恐怖の対象から安心できる距離を保ち、静かな声で話しかけることからはじめましょう。そして、楽しいと思えることをたくさん経験させてあげてください。おやつを使ってポジティブな印象を与えるのも有効です。
まとめ

犬が恐怖心を抱いたときに見せるサインは、決してわがままや問題行動ではありません。犬にとっては、飼い主さんに助けを求めるSOSです。
震える、逃げる、吠える、そのどれもが「怖い」という気持ちの表現です。
飼い主さんは犬のペースに合わせ、安心できる環境と穏やかな対応を心がけましょう。焦らず、時間をかけて「この世界は安全だ」と教えてあげることが、怖がりな犬にとって安心感につながります。



