犬の『視力』は犬種ごとに違うって本当?種類別の傾向や人間との見え方の違いも解説

犬の『視力』は犬種ごとに違うって本当?種類別の傾向や人間との見え方の違いも解説

犬の視力には犬種ごとの違いがあります。狩猟本能に基づいた進化に違いがあるためです。犬の目と人間の目とでは見え方にどのような違いがあるのか解説します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬の視力は犬種ごとに違うの?

犬の目元のアップ

犬の視力は0.1~0.5程度であるとされていますが、細かいものを識別する能力は低く、ものをはっきりと見ることはできていないのではないかと考えられています。

また、視力や見え方は犬種によって異なるとされており、ものを見ることが得意な犬種もいれば、ものを見ることが苦手な犬種もいると考えられています。

低い視力でも生活することにほとんど支障がないのは、犬が視力だけでなく、嗅覚や聴覚を総合的に使って認識しているからです。

見たものだけでなく、ニオイや音によって、状況を正確に把握することができます。

犬種ごとに視力に違いがある理由

犬種ごとに視力に違いがあるのは、「頭蓋骨の形」と「目の位置」に違いがあるからです。

ボーダーコリーのような「長頭種」の場合では、目の位置が顔の両側にあり、視野が広いため、遠くにある動くものを捉える能力を持っています。また、動体視力にも優れています。

ブルドッグのような「短頭種」の場合では、目の位置が正面を向いていることによって、立体視することが得意で、ものを近距離で認識する能力が高い傾向にあります。

短頭種には目が突出している犬種が多く、視野が狭いという特徴があります。また、目のトラブルが起きやすい傾向にあります。

犬種ごとに視力に違いがある理由として、狩猟本能に基づき進化してきたためである、とも言えるのではないかと思います。

ポインターやセッターといった犬種の場合では、獲物を見つけたとき、その位置をハンターに知らせるのが役割であり、遠くのものを見る能力に優れていたと考えられます。

水辺で働くレトリバー種の場合では、遠視の傾向にあるということが研究によって示されています。遠視の特徴は、遠くのものは見えやすく、近くのものは見えにくいということです。

犬と人間との見え方の違い

人間と犬の目のアップ

タペタムの有無

犬の目には「タペタム」と呼ばれる反射層が存在します。人間にはタペタムは存在しません。犬はタペタムによって、光を効率的に活用することができるため、暗い中でも小さな光を使ってものを見ることができます。

色の見え方

錐体細胞によって色を感じることができますが、人間の目では「赤・青・緑」の3色を感じることができ、犬の目では「青・黄」の2色を感じることができます。

このため、人間の目で見ている色の世界と、犬の目で見ている色の世界は大きく違うのではないかと考えられています。

たとえば、人間の目では赤色のボールを「赤色のボール」として見ることができますが、犬の目では赤色のボールを「茶色のボール」「灰色のボール」として見ている可能性があります。

犬の目では「青・黄」の2色を感じることができるため、芝生や土の地面でボール遊びをするときは、青色のボールや黄色のボールであると認識しやすいかと思います。

赤色のボールや緑色のボールであると、芝生や土の色との識別ができず、ボールを見失ってしまう可能性があります。

動体視力

犬は人間よりもはるかに優れた動体視力を持っており、ほんのわずかな動きも敏感に察知することができます。

人間が1秒間に60回程度の映像を認識することができるのに対して、犬は1秒間に75回程度の映像を認識することができるとされています。

まとめ

柴犬の顔のアップ

犬の視力や犬種ごとの違い、傾向、犬と人間との見え方の違いを解説しました。

犬種ごとに視力に違いがあるのは、頭蓋骨の形に違いがあること、目の位置に違いがあること、狩猟本能に基づいた進化に違いがあることが主な理由です。

犬の目と人間の目とでは、犬の目に存在するタペタムが人間の目には存在しない、人間の目で認識できる色は3色で犬の目では2色であるなどの違いがあります。

犬も高齢になると視力が衰えます。白内障や緑内障になることがあります。愛犬にも動物病院での定期的な視力検査を受けるようにしましょう。

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