犬の『QOL』を高めるためにできること5つ 生活の質を上げるべき理由や環境づくりのコツ

犬の『QOL』を高めるためにできること5つ 生活の質を上げるべき理由や環境づくりのコツ

あなたは、愛犬のQOL(Quality of Life)を意識していますか?犬が心身ともに豊かで幸福に過ごすためには、QOL、つまり生活の質を高めることが非常に重要です。この記事では、犬のQOLを上げるべき理由やそのためにできること、そして環境づくりのコツをご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬のQOLを上げるべき理由は?

笑顔のポメラニアン

QOLとは「Quality of Life」の略で、日本語では「生活の質」と表現され、犬の身体的な健康だけでなく、精神的な満足度や幸福度も含めた概念です。犬のQOLを高めることによって、さまざまなメリットがもたらされます。ここでは、犬のQOLを上げるべき理由を3つご紹介します。

1.問題行動が起こりにくくなる

無駄吠えや噛みつき、破壊行動といった犬の問題行動の多くは、欲求不満やストレスが原因で起こります。

QOLの高い状態とは、身体的、精神的欲求が満たされ、ストレスが少ない状態です。そのため、犬のQOLを上げることで、問題行動は自然と起こりにくくなり、犬も飼い主も快適に暮らせるようになるでしょう。

2.健康維持や長生きにつながる

慢性的なストレスや不安は、犬の免疫力を低下させ、病気になるリスクを高めてしまいます。QOLを向上させることは、犬の精神的な安定につながるため、ストレスや不安が軽減されるでしょう。これにより、免疫力が高まります。

また、QOLを意識する飼い主は、愛犬の小さな変化にも気づきやすいものです。その気づきが病気の早期発見や早期治療につながり、愛犬の長生きに大きく貢献します。

3.飼い主との関係が深まる

愛犬のQOLを向上させるには、愛犬をよく観察し、何が好きで何が嫌いか、また何が快適で何が不快かを理解する必要があります。それらを理解したうえで、愛犬が求めることを満たす努力をしなくてはなりません。

このように自分のことを理解し、欲求を満たそうとしてくれる飼い主に対し、愛犬は信頼感や安心感を抱き、それがより強い絆を生み出します。つまり、愛犬のQOLを上げることは、飼い主との良好な関係が深まることにもつながるのです。

犬のQOLを高めるためにできること5つ

引っ張りっこをするボーダーコリー

犬のQOLを高めるためには、心と体の両方を満たすことが大切です。そのために飼い主にできることは、多岐にわたります。ここからは、犬のQOLを高めるためにできることを5つご紹介します。

1.適切な食事と適度な運動

健康な体は、犬のQOLを高めます。犬の健康維持には、適切な食事と適度な運動が欠かせません。

食事は、愛犬の年齢や犬種、体質に合ったフードを選び、適量を守って与えることが大切です。適度な運動は、運動不足を解消して肥満を予防するだけでなく、筋力維持やストレス解消にも役立ちます。毎日の散歩や遊びを通して、十分に体を動かす習慣をつけましょう。

2.安心して過ごせる環境を整える

犬にとって安心して過ごせる環境は、精神的なQOLを高めるうえで非常に重要です。

まずは、静かで落ち着ける場所にクレートや犬用ベッドなどの寝床を設置してあげましょう。また、犬はきれい好きであるため、寝床やトイレを清潔に保つことも重要です。部屋もこまめに掃除しましょう。さらに、室内を犬にとって快適な温度と湿度に調整することも欠かせません。

3.適切な健康管理とケア

定期的な健康診断や予防接種、そして歯磨きやブラッシングなどの日々のケアは、病気の早期発見や予防に役立ち、犬の健康寿命を延ばします。長く健康でいられることは、犬のQOLを高めます。犬のQOLを高めるうえで、適切な健康管理とケアは欠かせないのです。

もし病気や高齢によって犬が痛みを抱えてしまった場合は、その痛みを軽減するケアをしてあげることが、QOL向上につながります。

4.スキンシップやコミュニケーションを大切にする

優しく撫でたり、声をかけたりするなど、飼い主とのスキンシップやコミュニケーションは、犬に安心感や満足感をもたらします。それによって犬は精神的に満たされ、QOLが高まります。

信頼関係を深めるためにも、日々のスキンシップやコミュニケーションの時間を大切にしましょう。ただし、過度なスキンシップやコミュニケーションは、かえって犬のストレスになり、QOLを下げてしまう可能性があります。しつこくしないように注意しましょう。

5.狩猟本能を満たす

犬はもともとは狩猟動物であり、その本能が今も残されています。狩猟本能は、日常生活の中で「探索したい」「追いかけたい」「噛みたい」といった欲求として表れます。これらの欲求が満たされないと、ストレスが溜まり、QOLが低下してしまうかもしれません。

そこで、遊びを通してこれらの欲求を満たすのがおすすめです。例えば、隠されたおやつを探す「宝探し」は探索したい欲求を満たし、投げたボールなどを持ってこさせる「もってこい」は追いかけたい欲求を満たしてくれます。また、ロープなどを引っ張り合う「引っ張りっこ」では噛みたい欲求を満たすことができます。

こうした遊びを通じて狩猟本能が満たされることでストレスが軽減され、QOLが高まるでしょう。

犬のQOLを上げるための環境づくりのコツは?

犬用ベッドのそばに立つ柴犬

犬のQOLを上げるうえで、環境づくりは非常に重要です。犬がより快適で安心して暮らせるように環境を整えることで、QOLがぐっと上がります。ここでは、犬のQOLを上げるための環境づくりのコツを2つご紹介します。

1.犬目線でチェックする

犬のQOLを上げるための環境づくりをする際には、犬の目線で家の中の快適性や安全性をチェックすることが大切です。

寝床は人の行き来や騒音の少ない場所にあるか、床は滑りやすくないか、届く場所に誤食の危険があるものはないか、電気コードは噛めないようになっているかなどを、犬目線で確認しましょう。

また、人には快適に感じる室温でも犬にはそうではないことがあります。犬にとって快適な温度の目安は、夏は24〜26℃、冬は18〜22℃です。愛犬が暑がったり寒がったりしていないかを観察し、必要に応じて調整してあげましょう。

2.シニア期が近づいたら環境を見直す

犬も年齢を重ねると、視力や聴力、筋力などが低下してきます。その結果、これまでの環境では快適性や安全性に問題が生じ、QOLが低下する可能性があります。

そのため、愛犬にシニア期が近づいたら、シニア犬にとって快適で安全な環境か見直してみましょう。

シニア犬になると足腰が弱くなるため、コルクマットなどを敷いて床を滑りにくくしたり、スロープなどを設置して段差をなくしたりすることが必須です。

また、老化で認知機能が衰えると、隙間に入り込んで出られなくなってしまうことがあるため、隙間を埋める工夫も必要です。さらに、視力が低下すると物にぶつかりやすくなるため、家具の角にはコーナーガードをつけましょう。

年齢に応じた環境改善は、犬のQOLを守るうえで不可欠です。

まとめ

人の手に前足を乗せて見つめるジャックラッセルテリア

犬のQOL(生活の質)を高めることは、問題行動の抑制、健康維持や長生き、飼い主との関係の深化につながります。ぜひ、今回ご紹介した犬のQOLを高めるためにできることや、環境づくりのコツを参考に、愛犬のQOLの向上に努めてあげてください。

さあ、愛犬の幸せのために、まずは今日できることから実践していきましょう。

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