犬は赤ちゃん言葉と通常トーンのどっちを好む?

犬の飼い主なら誰もが共感してくださるであろう愛犬に向けた赤ちゃん言葉。外でもうっかり赤ちゃん言葉を使ってしまい、“しまった…”という瞬間は筆者にもよくあります。
実際のところ、犬は赤ちゃん言葉と通常トーンのどちらを好み、どちらで話しかけてほしいと感じているのでしょうか。
様々な研究結果をまとめてみました。
犬は赤ちゃん言葉を好む傾向にある
犬の行動学の研究や音声認識の研究では、「犬は赤ちゃん言葉のようなやわらかい話し声に強い関心を示す」としています。
リヨン大学(フランス)やエトヴェシュ・ロラーンド大学(ハンガリー)が行った研究では、飼い主または他人の声を使用し、赤ちゃん言葉または通常トーンで話しかけたときの犬の反応の違いが比較されています。
その実験結果では、赤ちゃん言葉で話しかけられた犬は、「耳を立てる」「首をかしげる」「近づいてくる」などの反応を示したそうです。
ただ単純に赤ちゃん言葉であるというだけでなく、“感情を含んだ優しい話し声であること”に敏感な反応を見せるとしています。
犬は通常トーンへの反応が弱い
犬に通常トーンで話しかけた場合では反応が弱く、一旦は視線を向けるもののスッと目を逸らしたり、離れてしまったりすることがあります。
犬の反応が弱い理由として、通常トーンでは、そこに込められた感情を読み取ることが難しいからではないかと考えられます。
通常トーンで「おいで」と呼ばれたとき、犬が来てくれなかったり無視をしたりするのは、「自分に対してあまり関心がないな」と捉えてしまうからです。
一方で、赤ちゃん言葉で「おいで」と呼ばれたとき、嬉しそうに近づいてきたり、ちょっぴり興奮したように喜んだりするのは、「自分に興味を持ってくれた」という嬉しい気持ちがあるからです。
ママが「おいで」と呼ぶと来るのに、パパが「おいで」と呼んでも来ないという違いは、声のトーンの差によるものです。
明るく高いトーンであるママに対し、冷静で低いトーンであるパパの声には、反応しづらいということです。
犬が赤ちゃん言葉を好む理由

感情が読み取りやすい
犬が赤ちゃん言葉を好むのは、感情が読み取りやすいからです。
赤ちゃん言葉には、明るい抑揚だけでなく、“笑顔”も伴います。無表情や怒った表情のまま赤ちゃん言葉で話しかけるのは難しいです。
また、赤ちゃん言葉で叱ったり怒ったりすることもないことでしょう。赤ちゃん言葉に加えて、“飼い主が笑顔である”ということからも、犬はポジティブな感情を読み取っているのです。
聴覚を刺激されやすい
犬が赤ちゃん言葉を好むのは、聴覚を刺激されやすいからです。
リズミカルで高い声は、犬の聴覚を刺激します。そのため、犬の注意を引きやすく、しつけやトレーニングにも役立つとされています。
通常トーンは単調であり、犬の注意を引くことが難しいため、指示が伝わりにくいというデメリットがあります。
まとめ

犬が赤ちゃん言葉と通常トーンのどちらを好むのか、研究結果からも理解できるのではないでしょうか。
なぜ犬は赤ちゃん言葉を好むのか、納得の研究結果が出されているかと思います。
「えらいでちゅね」「おりこうさんでしゅね」のような赤ちゃん言葉を使うことに恥ずかしさや抵抗のある飼い主もいらっしゃることでしょう。
重要なポイントは、“赤ちゃんのような話し言葉を使うこと”ではなく、「明るく優しく高いトーンで話す」ということです。
大人同士が会話をするときの言葉のままでよいので、赤ちゃんに話しかけるときのような優しい笑顔で犬にも話しかけてみてくださいね。



