犬の認知症が進んだときの症状5つ
1.生活が昼夜逆転する
犬の認知症の症状として、多く見られるもののひとつが「昼夜逆転」です。
認知症を発症すると、体内時計が乱れてしまい、生活リズムが不安定になったり昼夜逆転してしまったりすることがあります。
昼間にぐっすり眠ることで、夜に目が冴えてしまって夜中に眠れなくなってしまうのです。
完全に昼夜逆転する前に、夜なかなか眠らなくなったり、眠りが浅くなったりする様子が見られることもあるとされています。
2.夜鳴きや無駄吠えをする
犬が認知症になることで、吠えることが増えるケースもあります。
特に生活が昼夜逆転してしまった犬は、夜鳴きすることが多く、飼い主さんを悩ませることもあるでしょう。
夜、部屋の中が暗くなり飼い主さんが寝静まると不安になってしまい、それが原因で夜鳴きする犬も多くいます。
それ以外にも、年齢を重ねると様々な感覚が衰えることで、不安を感じやすくなって吠えることが増える傾向があります。
3.徘徊をする
犬の認知症が進むとよく見られる行動のひとつが、「徘徊や旋回」です。
これは、家の中など狭い場所を目的もなくウロウロ歩き回ったり、同じ場所をグルグル回ったりする行動を言います。
認知機能が低下することで空間認識能力にも影響が出て、同じ場所を歩き続けるようになってしまうのです。
また、狭い空間に入り込んでしまって抜けられなくなったり、後ろ方向に下がれなくなったりすることもあります。
認知症によって徘徊や旋回をするようになると、その行動自体を止めることは難しいと考えられています。犬が怪我をすることのないように、安全な生活環境を整えてあげましょう。
4.無気力・無関心になる
年齢を重ねた愛犬が、とてもおとなしくなったと感じる飼い主さんは少なくありません。
確かに老犬は、大好きだったおもちゃやおやつに興味を持たなくなったり、飼い主さんに対する反応も鈍くなったりすることがあります。
単純に体力が衰えておとなしくなっている場合もありますが、認知機能の低下が原因となっていることも考えられます。
視覚や聴覚、そして認知機能が低下することで、周囲の刺激や状況への反応が鈍くなります。
5.攻撃的になる
認知症を発症すると、元気だった犬がうそのようにおとなしくなってしまうことがありますが、それとは逆の様子が見られることもあります。
穏やかだった犬が、攻撃的になって吠えたり噛んだりするようになることも珍しくありません。
これは認知機能の低下によって不安を感じやすくなったことで、自分を守るために攻撃的になってしまっていると考えられます。
認知症が進んだ犬のトラブルと対処法
犬の認知症は、現段階では認知症を予防・改善する効果があると認められている医薬品はありません。
抗不安薬や抗うつ薬、鎮静剤などによって対処療法をおこなうことはあるものの、認知症そのものを薬だけで治療することはできないとされています。
また、海外では初期段階の認知症に対して薬が用いられることもありますが、基本的に日本では使用されていません。
そのため、犬の認知症に対しては、生活リズムや生活環境を見直すことで、進行を遅らせたりストレスを軽減したりすることが必要です。
昼夜逆転をしてしまっている場合は、できるだけ日中の活動量を増やして、夜眠りやすいようにしてあげましょう。
徘徊や旋回行動が見られるときは、犬の生活スペースを制限し、壁や柱にぶつからないようにマットで保護するなどして安全を確保してください。
また、夜鳴きなどが原因で飼い主さん自身が睡眠不足に陥ってしまった場合や近所迷惑になっている場合は、獣医師に相談して軽い睡眠薬や鎮静薬を処方してもらうことも考えてみてください。
まとめ
犬の平均寿命が伸びている中で、認知症や介護の問題も増えてきています。
認知症を完全に予防することはむずかしいと思いますが、若い頃からしっかりと運動や脳トレになるような遊びをさせたり、食事にサプリメントを取り入れたりしてみるといいでしょう。
認知症を発症した場合は、生活環境を整えつつ、犬がリラックスして過ごせるようにサポートしてあげてください。