犬のナックリングとは
愛犬の歩き方に「なんだか変だな」と感じたことはありませんか?
犬のナックリングとは、足の甲を地面に擦るような歩き方をしたり、不安定な歩き方が見られる状態のことを指します。
通常、犬は肉球を使って地面に接地します。しかしナックリングが起きていると、足の甲が地面についてしまい、つまずきやすくなるのです。
歩行の途中で手首が「カクンッ」と曲がり、足の甲が地面に当たる様子は、人間が足首をグキッと捻ってしまったように見えることもあります。
犬のナックリングの原因
犬のナックリングにはさまざまな原因が考えられます。代表的なものを挙げます。
筋力の低下
運動不足や老化により筋肉が衰えると、足をしっかり持ち上げられなくなり、甲を擦るように歩いてしまうことがあります。
とくにシニア犬でよく見られる原因です。
神経障害
椎間板ヘルニアや変性性脊髄症など、末梢神経や脊髄に障害がある場合、足先の感覚が鈍くなりナックリングが起こります。
神経が圧迫されたり傷ついたりすると、つまずきやすくなるのです。
関節の異常
膝蓋骨脱臼や股関節形成不全などの関節疾患によって、姿勢や歩き方が崩れ、その結果ナックリングが起こることがあります。
脳や脊髄の病気
脳梗塞や脊髄腫瘍といった病気でも、神経の伝達がうまくいかず、足の動きを正しくコントロールできなくなることがあります。
犬のナックリングの症状
ナックリングの症状には次のようなものがあります。
- 足の甲を地面に擦るようにして歩くことがある
- 歩いている途中でつまずくことがある
- 歩いている途中でバランス(体勢)を崩すことがある
- 爪の先が摩擦によって削られている
- 立ち上がるときに足がもつれてしまう
例えば筆者の14歳の愛犬にも、老化によるナックリングの症状がよく見られます。お散歩の最中に「おっとっと…」と声をかけることが増えました。
初期であれば、多少不安定でも散歩を楽しめますが、進行すると足先を傷つけやすくなるため注意が必要です。
注意したいこと
ナックリングには「加齢に伴う筋力低下」以外にも神経や関節の病気が隠れている可能性があります。異常を感じたら、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
また歩行異常があるからと散歩を控えると、かえって筋力が低下してしまいます。短時間のお散歩を1日数回行うなど、負担を軽減しつつ運動させる工夫が大切です。
シニア犬では室内での転倒事故にも注意が必要です。滑りやすいフローリングやズレやすいマットは、滑り止め付きのラグなどに替えてあげると安心です。
さらに、足の甲を擦る歩き方をしている場合、爪が削れすぎたり皮膚が傷ついて出血することもあります。靴下や犬用シューズで保護してあげるのも効果的です。
まとめ
犬のナックリングは「足の甲を地面に擦るような歩き方」が特徴で、原因は筋力低下から神経疾患、関節異常、脳や脊髄の病気までさまざまです。
高齢だから仕方ない…と放置すると、歩行困難や怪我につながる恐れがあります。日頃から愛犬の姿勢や歩き方を観察し、異変を感じたら早めに動物病院へ相談してください。