同時に複数頭を迎えるメリット・デメリット
メリット
同時に複数頭を迎え入れる場合、多くは兄妹であったり、それまで同じ環境で仲良く育ってきていることが多いでしょう。そのため、2頭の相性はあまり問題にならないことが大きなメリットだと言えます。
最初から仲の良い犬同士で遊ぶことができるため、必要以上に飼い主さんご家族を警戒することも少なく、慣れやすい可能性もあるでしょう。
デメリット
犬は比較的しつけがしやすいと言われています。それでも、犬を1頭きちんとしつけようとすると、かなりの労力と根気が必要です。それをいきなり同時に2頭しつけなければならないため、その苦労は並大抵のことではありません。
また、必要経費が最初から高くなるということもデメリットの一つと考えられます。クレート、寝床、ハーネス、リード、食器などの日用品の他、健康診断、避妊・去勢手術、ワクチン接種費用などの医療費も頭数分必要になります。
異なるタイミングで2頭目以降を迎えるメリット・デメリット
メリット
よく聞くのが、「先住犬が2頭目にルールを教えてくれるのでしつけが楽だった」という声です。犬は、仲間の真似をしていろいろなことを学ぶ習性があるため、先住犬をしっかりとしつけていれば、2頭目以降のしつけは少し楽になる可能性があります。
また、シニア期手前で少し元気がなくなってきた先住犬が、新たに迎えた若い犬の刺激を受けて元気になったという声もよく聞きます。そこまで顕著ではなくても、2頭目以降を迎えたことで、先住犬の活動量が若干増えるという傾向はあるようです。
デメリット
異なるタイミングの最大のデメリットは、犬同士の相性が悪くて仲良くなれない可能性があるという点です。実際、タイミングをずらして多頭飼いを始めた飼い主さんの体験談として、犬同士がなかなか仲良くならずに手を焼いたという声がよく聞かれます。
仲良くなるまでの期間は、年単位で考えた方が良いかもしれません。また、どうしても仲良くなれない場合は、住環境や食事時間、散歩の時間などをずらし、隔離した環境で世話をすることが必要になるかもしれません。
多頭飼いで愛犬たちに不幸な思いをさせないための注意点
先住犬の性格により多頭飼いの可否を事前検討する
家は、すでに先住犬の縄張りです。飼い主さんやそのご家族も、すでに先住犬の家族です。そこに新しく迎え入れられる犬は、子犬だろうと成犬だろうと、よそ者です。そのため、新しい犬を受け入れられるかどうかは、先住犬の性格に大きく左右されます。
先住犬が臆病で警戒心が強い場合は、多頭飼いを諦める方が良いかもしれません。また甘えん坊で飼い主さんを独り占めしたがったり、飼い主さんを見知らぬ人から守ろうとする行動が普段から見られる場合は、多頭飼いは難しいと考えた方が良いでしょう。
性格のおおらかさや他の犬に対する友好性などは、犬種によっても傾向が異なります。先住犬の性格だけではなく、双方の犬種特性も考慮した方がうまくいく可能性が高くなるでしょう。
多頭飼いに理想的な性別・年齢差・体格差
一般的には、同性同士よりも異性同士の方がうまくいきやすいと言われています。ただしいずれの場合も、うまくいくためには避妊・去勢手術が有効です。
年齢差は、近すぎず離れすぎずが理想です。近すぎると、世話に手間のかかる時期や病気になりやすい時期が重なるため、時間的にも金銭的にも苦しくなることが多いです。また離れすぎていると、子犬のパワーにシニア犬が振り回されて、大きなストレスになるケースが多いです。一般的には、5歳前後程度離れていると良いと言われています。
小型犬と大型犬の組み合わせを否定するわけではありませんが、同程度の体格の犬である方が、力の差などによるリスクが少なく安心でしょう。
あらゆるリスクに対してシミュレーションをする
犬と暮らすには、経済的、時間的、体力的な余裕が必要です。それが多頭飼いとなれば、なおさらです。始める前に、考えうるすべてのリスクを想定し、対処できるかのシミュレーションをしておきましょう。
想定するのは、犬たちの健康面、飼い主さんの経済状況や生活の変化、飼い主さんご自身がシニア期を迎えた時の愛犬の状況などです。また大地震や浸水、火事などの災害時に、ご家族も愛犬たちも揃って安全に避難や避難生活ができることも考えましょう。
多頭飼いを始めたら愛情は平等に!
多頭飼いを始めた当初は、先住犬にヤキモチを妬かせないように、これまで通りの優先順位を守り、新しい犬は先住犬の後にすることで、先住犬への愛情が変わらないことを示しましょう。
一番大切なことは、多頭飼いをしているすべての犬に平等の愛情を注ぐことです。これまでの愛犬への愛情を100とするなら、2頭目を迎えた後はその愛情を50+50に分割するのではなく、100+100にしてください。言うほど簡単ではありませんが、飼い主さんの工夫と努力の積み重ねは、犬たちにも伝わるはずです。
個々の犬と向き合う時間を作ったり、個別にしつけを行うためにも、最初はそれぞれの犬と別々に散歩をすると良いでしょう。
個別の犬と向き合う
実際の多頭飼いで一番苦労するのは、体調不良やトイレの失敗などの見極めです。帰宅後に下痢を見つけた場合、どの子の下痢か分からない、飲み水の減り方が少ないがどの子が飲んでいないのかが分からないなどといったことが起きます。
多頭飼いになったら、これまで以上に個々の犬を細かく観察し、しっかりと向き合いましょう。また個々の様子を識別するための工夫も必要になります。
まとめ
多頭飼いを始めるタイミングは、同時でも別々でも、それぞれにメリットとデメリットがあります。大切なのは、いずれの場合でもデメリットをいかに克服するか、そしてタイミングとは関係なく、すべての犬たちに不幸な思いをさせないことです。
飼い主さんご家族の能力を超えない範囲であれば、多頭飼いは人も犬も豊かで楽しい生活を送れると考えます。今回ご紹介したタイミングによるメリット・デメリットや注意事項を参考に、ぜひ幸せな愛犬ライフをお送りください。