犬が吠え続ける理由とは?
犬が吠え続けるのには、さまざまな理由があります。意味もなく吠えているように見えても、実は何かを伝えようとしていることがほとんどです。
ここでは、犬が吠える代表的な理由を紹介します。
1.警戒しているから
宅配便が来たときや、家の前を知らない人や犬が通ったときなど、「見知らぬ存在」に対して吠える犬は多くいます。これは「警戒吠え」と呼ばれる行動です。
犬の祖先は番犬として人間の家を守ってきました。その名残から、現代の犬も「自分の縄張りを守ろう」とする本能で、警戒して吠えるのです。
2.知らないものだらけだから
外の世界に慣れていない犬は、知らない人や車、犬などが近づくと「何をされるかわからない」という不安から吠えることがあります。
特に、あまり外に出たことのない子犬や、保護されたばかりの犬などに多く見られる傾向です。昔は外飼いの犬が多く、行動範囲が限られていたため、こうした警戒心が強くなったとも言われています。
3.怖い経験をしたから
過去に他の犬に吠えられたり、飼い主に厳しく叱られたりした経験があると、犬はその出来事を覚えています。
たとえば、以前に怖い思いをした場所に近づいたときや、似た犬を見たときなどに、当時の恐怖を思い出して吠えることがあります。
4.空腹だから
早朝や夕方など、決まった時間に吠える犬は、「お腹がすいた」と訴えている可能性があります。
とくに成長期の子犬は空腹になりやすく、人間の赤ちゃんが泣いて要求するのと同じように、吠えて飼い主に伝えようとするのです。
5.かまってほしいから
「遊んでほしい」「ひとりがさみしい」といった気持ちで吠える犬もいます。過去に吠えたら飼い主が来てくれた経験があると、吠えることで人を呼ぶクセ(吠え癖)がついてしまうこともあります。
甘えん坊の性格の犬や、飼い主への依存心が強い犬、また過去に置き去りにされた経験のある保護犬などによく見られます。
犬の吠え癖を直す方法
犬の「吠える」行動を完全になくすことはできませんが、理由を理解し、状況に応じて対策を取ることで、無駄吠えは減らすことができます。ここでは具体的な改善策を紹介します。
外の世界に触れる
外に出る機会が少なかった犬は、少しずつ外の景色やニオイ、音に触れさせてあげましょう。
いきなり人混みに連れて行くのではなく、まずは人通りの多い場所を遠くから見せることからスタート。外の世界に慣れていけば、警戒心が和らぎ、無駄吠えも減っていきます。
他の人や犬と交流する
子犬の「社会化期(生後3~14週)」には、他の人や犬と触れ合うことで社会性が身に付きます。この時期を過ぎても、できるだけ人や犬と接する機会を作ることが大切です。
抱っこ散歩で人に慣れさせたり、知人に家に来てもらったりして、少しずつ「外の世界は怖くない」と教えていきましょう。
苦手な状況から遠ざける
怖い経験をした場所や苦手な犬など、明確な「苦手のもと」がある場合は、無理に近づけないようにしましょう。
無理に慣れさせようとすると、逆にストレスになり、散歩嫌いや信頼関係の悪化につながることもあります。時間を置いて忘れたころに再チャレンジするのがベストです。
食事の時間・量を変える
空腹による吠えが見られる場合は、1回の量を増やすよりも回数を増やすのがおすすめです。
たとえば、朝・夕の2回から、朝・昼・夕の3回に分けることで血糖値の安定にもつながり、肥満防止にも効果があります。
散歩の時間を増やす・充実させる
単に距離を歩くだけでは、犬にとっては不十分です。ニオイを嗅いだり、さまざまな感触を足裏で感じたりすることで、犬の「満足度」は高まります。
アスファルトだけでなく、土・芝生・坂道など変化のあるコースを取り入れて、散歩の時間をより充実させましょう。
退屈させない
寂しさや退屈から吠えている場合は、「できるだけひとりにさせない」ことも重要な対策になります。
可能であれば職場に連れて行く、看板犬として一緒に過ごす、犬の幼稚園に預ける、知人にお願いするなど、留守番の時間を減らす工夫をしてみましょう。
まとめ
犬にまったく吠えさせないことは不可能です。吠えることは犬にとっての「おしゃべり」であり、何かを伝えようとする大切なサインなのです。
吠える理由には、警戒・不安・空腹・寂しさなどさまざまな背景があります。そのサインを見逃さず、飼い主が気づいてあげることで、犬のストレスを減らし、人と犬のより良い共生が可能になります。