犬は何歳から『介護』が必要になるの?愛犬が高齢になったらすべきケアの基本とは

犬は何歳から『介護』が必要になるの?愛犬が高齢になったらすべきケアの基本とは

愛犬の介護は、いつから、何をすれば良いのでしょうか?本記事では、犬が高齢期に入る目安や介護が必要になるサイン、そして今からできる基本的なケア方法を解説します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬の高齢期とは?「介護」が必要になる年齢の目安

老犬の柴犬

何歳からシニア期?

犬のシニア期に入る年齢は、その体の大きさ(犬種)によって異なります。一般的に、体の小さな犬種ほど長生きする傾向があるため、高齢期に入るのが遅めです。

具体的には、小型犬(チワワ、トイプードルなど)は7〜9歳頃、中型犬(柴犬、コーギーなど)は6〜8歳頃、そして大型犬(ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバーなど)は5〜7歳頃からシニア期に入ると言われています。

これはあくまで目安であり、個体差や普段の健康状態、生活環境によって変動します。愛犬の年齢がこれらの目安に近づいたら、シニア期に向けた健康管理やケアを意識し始めることが大切です。

介護が必要になる具体的なサイン

犬に介護が必要になるサインは、身体的・精神的な変化として現れます。まず、視力や聴力の低下により、壁にぶつかったり、呼んでも反応しなくなったりします。認知機能の低下が見られると、夜鳴きや徘徊、トイレの失敗、ボーッとする時間が増えることがあるようです。

また、筋力や関節の衰えから、散歩を嫌がったり、段差の上り下りが困難になったり、足がもつれるようになることも。食欲や飲水量の変化、睡眠時間の昼夜逆転、排泄のコントロールが難しくなる失禁なども重要なサインです。

これらの変化は、愛犬が自力での生活が難しくなり、飼い主さんのサポートを必要としている証拠なので、見逃さないようにしましょう。

愛犬が高齢になったら、今からすべき「介護」の基本

犬のケアをする女性

食事と栄養管理

高齢犬の食事は、消化しやすく、低カロリーで良質なタンパク質を含む高齢犬向けフードに切り替えるのが基本です。消化機能の低下に合わせて、1日の食事量を少量ずつ複数回に分けたり、ドライフードをぬるま湯でふやかしたりする工夫も有効です。

また、脱水症状を防ぐために常に新鮮な水を置くとともに、ウェットフードや犬用スープなどで水分補給を促しましょう。関節ケアや認知症予防に役立つサプリメントの活用も、獣医師と相談しながら検討してください。

排泄のケア

高齢になると排泄のコントロールが難しくなることがあります。愛犬が安心して排泄できるよう、トイレの段差をなくし、広いスペースを確保してあげましょう。自力での排泄が困難な場合は、抱きかかえてサポートしたり、おむつやマナーベルトの利用も検討します。

排泄後は、皮膚炎を防ぐために汚れた部分を優しく拭き取り、清潔に保つことが重要です。定期的なシャンプーも、愛犬の快適さを維持するために必要になります。

歩行・移動のサポート

筋力や関節の衰えが見られたら、歩行・移動のサポートが必要です。室内では、滑りやすいフローリングにカーペットやマットを敷いて転倒を防ぎましょう。階段や段差の移動には、スロープを設置したり、補助ハーネスや車椅子などの介護用品を活用するのも有効です。

獣医師の指導のもと、優しくマッサージやストレッチを行うことで、血行促進や関節の柔軟性維持にも繋がります。無理のない範囲で散歩を継続し、適度な運動を心がけましょう。

口腔ケア

高齢犬は、歯周病などの口腔トラブルを抱えやすくなります。日々の歯磨きを継続し、歯垢や歯石の蓄積を防ぐことが重要です。歯磨きが難しい場合は、歯磨きガムやデンタルジェルなどのデンタルケア製品を活用するのも良いでしょう。

定期的に愛犬の口内をチェックし、歯茎の炎症や出血、口臭、腫瘍などの異常がないか確認してください。早期に発見することで、治療の選択肢が広がり、愛犬の苦痛を軽減できます。

清潔ケアと被毛の手入れ

体を清潔に保つことは、高齢犬の快適さと皮膚の健康のために非常に重要です。毎日のブラッシングは、毛玉を防ぎ、血行を促進するだけでなく、皮膚病やしこりなどの異常を早期に発見する機会にもなります。

シャンプーは、愛犬の体力に合わせて頻度を調整し、刺激の少ない皮膚に優しい製品を選びましょう。また、伸びすぎた爪は滑りやすく、歩行に支障をきたすため、定期的な爪切りが必要です。耳の汚れもチェックし、感染症予防のために優しく掃除してあげてください。

医療ケアと健康チェック

高齢期に入ったら、病気の早期発見・早期治療のために定期的な健康診断がより一層重要になります。かかりつけの獣医師と相談し、半年に一度など、検査の頻度を増やしましょう。

日々の生活では、食欲や飲水量、排便・排尿の状態、咳や呼吸の様子、足の引きずりなど、些細な変化にも気づけるよう観察を怠らないでください。気になることがあればすぐに獣医師に相談し、専門的なアドバイスを受けることで、愛犬の健康を長く守ることができます。

介護で大切な『心構え』と『飼い主のケア』

診察される犬

愛犬の介護は、時間も労力もかかるため、焦らず、無理せず、完璧を目指さない心構えが大切です。飼い主自身の休息やストレスケアも忘れないでください。地域の動物病院やペットシッター、老犬ホームなどの介護サービスを上手に活用することも検討しましょう。

何よりも、病気や老いと向き合いながらも、愛犬とのコミュニケーションを大切にし、穏やかな時間を共に過ごすことを最優先にしてください。

まとめ

家族と犬

犬の介護は、愛犬の高齢化を受け入れ、適切なケアを継続することが重要です。シニア期のサインを見逃さず、食事や排泄、移動のサポート、医療ケアを総合的に行うことで、愛犬の身体的・精神的負担を軽減できます。

飼い主自身の心身の健康も大切にしながら、愛犬と共に穏やかで豊かな老犬ライフを送りましょう。

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