犬の熱中症『初期症状』5選 命に関わる危険な状態とは?日頃からできる対策まで

犬の熱中症『初期症状』5選 命に関わる危険な状態とは?日頃からできる対策まで

犬にとって熱中症は、命に関わる危険な病気です。愛犬を熱中症から守るためには、その初期症状と予防策を知っておくことが大切です。この記事では、犬の熱中症の初期症状と命に関わる危険な状態、そして日頃からできる対策についてご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬の熱中症の初期症状5選

暑そうにパンティングするイングリッシュブルドッグ

犬は人間のように全身で汗をかくことができず、体温調節が苦手なため、人間よりも熱中症になりやすいです。また、犬が熱中症を発症すると、短時間で命に関わる危険な状態に陥ることもあるため、初期段階で気づき、早期に対応することが大切です。

では、犬の熱中症の初期症状とはどのようなものなのでしょうか?ここでは、犬の熱中症の初期症状を5つご紹介します。

1.パンティング

犬は暑さを感じると、体温を下げるために舌を出してハァハァと荒い息をします。これは『パンティング』と呼ばれる体温調節の正常な反応で、運動後などによく見られます。しかし、気温が高い日に苦しそうにパンティングをしていて、なかなかおさまらない場合は、熱中症の初期症状かもしれません。

2.歯茎の充血

健康な犬の歯茎は薄いピンク色をしていますが、熱中症になると体温の上昇によって血管が拡張し、歯茎が赤く充血することがあります。この充血は歯茎だけでなく、舌や目の結膜にも見られます。

歯茎の充血に気づくためには、普段の愛犬の歯茎の色を把握しておくことが大切です。

3.よだれの増加

犬が熱中症になると、よだれの量が増えることもあります。普段はよだれをあまり垂らさない愛犬が、だらだらとよだれを垂らしているときは注意が必要です。特に、パンティングをしながら大量のよだれを垂らしている場合は、熱中症の初期症状である可能性が高いと考えられます。

4.体が熱くなる

犬の平熱は37℃〜39℃と人間よりも高いですが、熱中症になると40℃を超えるため、体を触ると熱く感じます。脇の下や内股などを触ってみて、いつもより熱いと感じる場合は、熱中症になっている可能性があります。

普段から愛犬の脇の下や内股に手を当てて、平熱時の温かさを覚えておくと、異常に早く気づくことができるでしょう。

5.落ち着かずにうろうろする

熱中症の初期段階では、犬が落ち着きをなくし、うろうろと歩き回る様子が見られることがあります。熱中症の発症による体の不快感や異常を感じて不安になり、このような行動を取ると考えられます。また、熱中症になると体が熱くなるため、涼しい場所を求めてうろうろすることもあるでしょう。

命に関わる犬の熱中症の危険な状態は?

床でぐったりする白い犬

熱中症の初期症状を見逃してしまうと、状態が悪化し、次のような重篤な症状が見られます。

  • 意識障害
  • けいれん発作
  • 嘔吐や下痢
  • 歯茎が青紫色になる(チアノーゼ)
  • 吐血、下血、血尿

これらの症状は、犬の命に関わる危険な状態です。

犬の熱中症は、発症から90分以内に治療を開始しないと、死亡のリスクが高まると言われています。前述の初期症状や重篤な症状が見られたら、すぐに応急処置を行い、動物病院を受診してください。

熱中症の応急処置とは、体を冷やして体温を下げることです。全身に常温の水をかけたり、濡らしたタオルで体を包んだりして、涼しい場所で風を送り冷却しましょう。

なお、氷や冷水、アイスバッグなどで急激に体を冷やすと、末梢血管が収縮して放熱しにくくなり、逆効果となるおそれがあります。体を冷やす際は、常温の水を使いましょう。

日頃からできる犬の熱中症対策は?

水分補給するテリア系の犬

犬の熱中症は、発症してしまうと重篤な状態に陥る可能性があるため、予防が何よりも大切です。適切な対策を講じることで、熱中症のリスクを大幅に減らすことができます。ここからは、日頃からできる犬の熱中症対策を5つご紹介します。

1.涼しい時間帯に散歩する

夏場の日中のアスファルトは、かなり高温となります。地面に近いところを歩く犬は、その高温に直接さらされることになり、熱中症のリスクが高まります。

また、熱い地面で肉球を火傷するリスクもあることから、夏場の散歩は、早朝や日没後など、涼しい時間帯を選んで行うことが大切です。具体的には、早朝は5〜6時台、日没後は21時以降が望ましいです。

涼しく感じても、散歩へ行く前は必ず地面を手で触り、熱くないことを確認しましょう。日没後もしばらく地面が熱いことがあるため、注意が必要です。

2.車内に置いていかない

エンジンを切った夏場の車内は、窓を少し開けていてもあっという間に高温になります。そのため、短時間でも犬を車内に置いていくのは非常に危険です。

「エンジンをかけたままなら大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、停車中はエアコンの効きが悪くなることがあり、車内の温度が上昇する可能性があります。車を離れる際は、必ず愛犬を同伴しましょう。

もし車内に置いていくことが想定されるのであれば、愛犬は無理に連れて行かず、自宅でお留守番させるようにしてください。

3.いつでも水が飲めるようにする

水分補給は、熱中症対策の基本です。喉が乾いたらすぐに水が飲めるように、室内の複数箇所に水を置くとよいでしょう。夏場は水が腐りやすいため、水入れはなるべく涼しい場所に置き、こまめに水を入れ替えるようにしてください。

また、散歩などの外出時にも必ず水を携帯し、こまめに水分補給をすることが大切です。

4.室内の温湿度管理をする

高温多湿な環境は熱中症の要因となり、室内でも油断は禁物です。愛犬が過ごす室内は、エアコンを活用して、常に快適な温度と湿度を保つ必要があります。愛犬だけでお留守番をさせるときも、必ずエアコンをつけて出かけましょう。

一般的に、夏場の犬にとって快適な温度は24〜26℃くらい、湿度は50%前後とされていますが、犬種や個体差によって異なる場合があります。愛犬の様子を見ながら調整しましょう。

5.冷却グッズを活用する

大理石ボードやクールマット、クールネックバンド、クールウェアなど、犬用の冷却グッズは豊富にあります。こうしたグッズを上手に活用することも、熱中症対策として有効です。ただし、体の冷やし過ぎに注意しましょう。

また、愛犬が嫌がらない冷却グッズを選ぶことも大切です。無理に使うとストレスになることもあるため、愛犬の様子を見ながら取り入れてください。

まとめ

クールネックバンドを着けたフレンチブルドッグ

犬の熱中症は、命に関わる危険な状態に陥ることがあります。ご紹介した初期症状にいち早く気づき、重篤化する前に適切な対応を取ることが非常に重要です。

そして何より大切なのは、熱中症にならないように予防することです。日頃からできる対策をしっかり行い、愛犬を熱中症から守ってあげましょう。それができるのは、飼い主であるあなただけです。

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