犬の恐れや攻撃に関する遺伝子の関係性が明らかに!

犬の恐れや攻撃に関する遺伝子の関係性が明らかに!

犬の性格の恐れや攻撃と遺伝子の関係性について、アメリカのペンシルバニア大学で開発された、『C-BARQ』と言う犬の気質や犬の行動解析システムを使用した研究について紹介します。

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犬の性格と遺伝子の研究について

伏せするポメラニアン

心の病気と呼ばれる精神障害の中には、人と犬に共通して自然発症すると考えられている病気があります。
例えば、強迫性障害では人間とドーベルマンでは同じような脳内の異常が研究によって確認され、この研究でドーベルマンの強迫性障害の発症リスクを高める遺伝子も確認されています。
人よりも先に精神障害を高める遺伝子が犬の研究によって明らかにされており、そして、犬の性格の傾向に及ぼす遺伝的要因も少しずつですが、研究によって明らかにされてきています。
犬も人間と同じように、個体の性格は遺伝的要因と環境による要因が半分ずつ影響する事が考えられています。
この様に性格の傾向を作り出している、環境と遺伝的要因の相互作用の研究が行われています。

吠えるこげ茶の犬

犬の恐れや攻撃と遺伝子との関係性

うなる犬

今回の犬の恐れや攻撃性と遺伝子との関係性の研究は、アメリカのペンシルバニア大学で開発された、『C-BARQ』と言う犬の気質や犬の行動解析システムを使用して研究されました。

この『C-BARQ』では、犬の恐れや攻撃に関係する行動を、以下、
「飼い主への攻撃(支配性による攻撃)」
「見知らぬ人への攻撃(恐怖による攻撃)
「馴染みのある犬への攻撃」
「見知らぬ犬への攻撃」
「見知らぬ人への恐怖」
「見知らぬ犬への恐怖」
「分離不安」
「接触過敏性」
「非社会的恐怖(生き物ではない対象に示す恐怖や不安)」
の、9つに定義しています。

この研究ではおよそ100犬種1000頭の犬達の遺伝子多型(※)を解析したそうです。

※遺伝子多型とは、遺伝子を構成している各DNAの配列の個体差の事。

これまでに体のサイズを小さくするのに関係する遺伝子として『IGF1』と『HMGA2』という二つの遺伝子の多型が研究で明らかにされていましたが、更に今回の研究で、この『IGF1』と『HMGA2』が、分離不安、接触過敏性、飼い主への攻撃、馴染みのある犬への攻撃と関連性があることが分かりました。
また、18番染色体上の『GNST3』から『CD36』遺伝子の間の領域と、X 染色体上の『IGSF1』遺伝子の近くの領域に存在する多型が、接触過敏性、非社会的恐怖、見知らぬ犬と見知らぬ人への攻撃性と恐怖に関連していることも示されています。

残念ながら、遺伝子多型が体内の働きや性格形成にどのようにして影響を及ぼしているのかというメカニズムまでは明らかにされていませんが、研究者たちは今回の研究で明らかになった、犬の恐れや攻撃と遺伝子の関係性の研究が、人の不安障害や行動障害、攻撃性にも関連すると考え、今後も研究を続けていくそうです。

悪戯した犬

またこの研究では、犬の性格を決めるのは、両親の持つ性格形成に関わる遺伝的な要因や、犬が普段生活をしている環境であると指摘しています。
遺伝的要因と環境要因が半分ずつ関わっているならば、犬の心の健康のために普段私達に何かできることがあるのではないかと、この研究結果を見ながら考えてしまいました。

犬達は、運動不足でもストレスを感じて、攻撃的になってしまう可能性もあります。
体の健康もそうですが、当然心の健康も重要なものです。
普段の生活で、何が愛犬にとっての不安やストレスになっているのかを考え、それらをを取り除く方法やしつけをし直してみるのも、犬達の健康維持のためにも大切な事です。

犬の心の病気を理解し、予防する

犬の主な心の病気として上げられているのが、「分離不安」、「常同障害」、「恐怖症」、「うつ病」です。
「分離不安」とは、犬が愛着を感じている対象のものから離されることで強い不安を感じてしまい、様々な問題行動を起こしてしまう事です。
留守番時等に症状が現れる事が多いというのはご存知の方も多いのではないでしょうか。

「常同障害」とは、不安障害の1つで、主な症状としては、足を舐める、尻尾を追いかける等の行動や、何にもしなくなるという行動が見られるそうです。
一時的ですぐに行動が改善された場合は問題が無いそうですが、持続的にストレスをためてしまうと、異常行動がどんどんエスカレートしてしまうそうです。

「恐怖症」とは、雷や花火などの大きな音やドライブや特定の場所に対し、犬が吠える、震える、呼吸が粗くなる等の過剰な恐怖反応をする事です。
この病気は、最近犬達の間で増加している心の病気なので、犬の普段の行動をよく観察して、心の病気にならない様に気を付けてあげましょう。

さいごに

遺伝子についての研究はこれから更に色んな事が判明してくるとは思いますが、どういった遺伝子の傾向があるにせよ、愛犬の性格や行動については、普段の生活の中で形成されていく部分も大きいということが研究でも分かってきているので、私たち飼い主がそのことをしっかりと考えて愛犬に対して接して行きたいですね。

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