呼び戻しとは
呼び戻しとは、いわゆる「おいで」のことです。
コマンドは何を使っても構いません。「おいで」「来い」「戻れ」「COME(カム)」がよく使われます。ひとつ決め、統一して使いましょう。
コマンドを「おいで」と決めたら、ドッグランで遊んでいる愛犬に“そろそろ帰るよ~”と呼び戻したいときも「おいで」、危機が迫る愛犬を呼び戻したいときも「おいで」を使います。
普段は「おいで」を使い、緊急時は「戻れ!」「来い!」とコマンドを変えるのでは、犬を混乱させ、指示に従うことや正しく行動することができなくなってしまいます。
正直、呼び戻しは難しいしつけです。愛犬にとって都合の良いときは従うけど、都合の悪いときは従わない、ということがよく起こります。
どのような状況にあっても、100%確実に呼び戻しができることが理想です。呼び戻しは、愛犬の快適な生活と、安全と命を守るためのしつけといえます。
犬のしつけで呼び戻しが大切な理由
1.犬同士の喧嘩やトラブルを避けることができる
愛犬の呼び戻しができると、犬同士の喧嘩やトラブルを避けることができます。
楽しく遊んでいるときは見守るだけで構いませんが、遊びに夢中になりすぎてしまい、犬が興奮してきたなと感じたときは、呼び戻しを行った方がよいです。
愛犬が興奮してきたなと感じたときだけでなく、一緒に遊んでいる他犬が興奮気味であるなと感じたときにも、愛犬の呼び戻しを行いましょう。
愛犬がしつこくされているとき、愛犬が他犬にしつこくしてしまっているときにも、呼び戻しを行いましょう。
喧嘩になってしまってからでは、止めることや引き離すことが難しくなる場合があります。喧嘩になってしまう前に呼び戻しておくことが大切です。
2.交通事故に遭うことを防ぐことができる
お散歩中、首輪やハーネスが外れてしまうことがあるかもしれません。リードの金具が壊れて外れてしまうことがあるかもしれません。
飼い主がリードから手を放してしまうことがあるかもしれません。そのまま愛犬が走り出してしまってはどうでしょう。車道に飛び出し、交通事故に遭ってしまう恐れがあります。
走り出してしまった愛犬をも飼い主の元に戻すことができるのが呼び戻しのしつけです。そして、お散歩グッズに劣化が起きていないかどうか、日頃から安全点検を行うことも大切です。
3.愛犬が加害者になることを防ぐことができる
ドッグランでノーリードになり、自由に遊んでいる愛犬の元に、見知らぬ人が声をかけたり撫でたりすることがあります。
人慣れした社交的な犬であっても、見知らぬ人には警戒するものです。緊張もしますし、不安や恐怖を感じることもあります。
撫でようと伸ばした手を思わず咬んでしまうかもしれません。見知らぬ他人と交流する愛犬の表情や仕草をよく観察し、引き離した方がよいと感じたときは、呼び戻しをしましょう。
呼び戻しを習得するためのコツ
お家の中で練習する
呼び戻しの練習は、まずはお家の中で始めます。
何気ないとき、「○○、おいで」と呼びかけてみてください。飼い主の元に来ることができたら褒めます。おやつを与えてもOKです。
愛犬がリビングにいるとき、飼い主は廊下に出て「おいで」と呼びかけてみてください。これができたら、飼い主は他の部屋へ行き、また「おいで」と呼びかけてみてください。
このように少しずつ難易度を上げながら練習します。お家の中のどこから呼びかけても飼い主の元に来ることができるようになることが、お家の中で練習する最終目標です。
犬が何かに夢中になっているときに呼びかける
犬がおもちゃで遊んでいるとき、おやつのガムを噛んでいるとき、毛づくろいをしているときなど、何かに夢中になっているときに「おいで」と呼びかけてみてください。
今行っていることを中断してでも飼い主の元に来ることができたら褒めます。おやつを与えてもOKです。
「行こうかな…どうしようかな…」と、ちょっと迷ってから来ることもあるかと思いますが、飼い主の元に戻ることができたのであれば褒めてよいと思います。叱る必要はありません。
喉に詰まらせたり、消化不良を起こしたり、咳き込むなどする可能性があるため、ごはんを食べている最中、お水を飲んでいる最中は避けましょう。
まとめ
犬のしつけで呼び戻しが大切な理由を3つ解説しました。
- 犬同士の喧嘩やトラブルを避けることができる
- 交通事故に遭うことを防ぐことができる
- 愛犬が加害者になることを防ぐことができる
愛犬の健康や命が失われてからでは遅いです。後悔ばかり残ります。そのようなことがないよう、呼び戻しのしつけの大切さを理解しましょう。