犬の認知症とは
犬の認知症は、人間の認知症と同様に脳神経細胞や自律神経機能が低下することによって、今までできていたことができなくなったり異常な行動が増えたりする病気です。
犬の認知症は10歳を超えたあたりから少しずつ増え、13歳〜14歳頃に急増する傾向が見られます。主な症状として、徘徊や夜鳴き、自分や家族のこと、今いる場所、無関心、無気力状態、性格の変化などが見られることが多く、戸惑う飼い主も少なくありません。
10歳を超えたあたりから少しずつ生活習慣の改善に取り組むことで、予防につながりやすいといわれているので、シニア犬の飼い主は意識的に認知症を予防する生活習慣を取り入れましょう。
犬の認知症が進行する5つの生活習慣
どのような生活習慣を続けていると、犬の認知症が進行してしまうのでしょうか。
1.毎日同じ単調な生活を送っている
毎日同じようなルーティン、同じ生活リズム、同じ行動を繰り返すような単調な生活を送っていると、脳に刺激が与えられず、認知症を進行させるリスクが高まります。
毎日ルーティンを意図的に変えてみたり、散歩するルートを変更したり、時には訪れたことのない場所へ連れて行ったり、他の犬や人と触れ合ってみるなど、新たな刺激を受けられるような生活を意識してみましょう。
2.外に出る時間が少ない
高齢犬になると、外に出してしまうと健康に悪影響なのでは、と心配する飼い主も少なくありません。しかし、外に出る時間が少ないと、受けられる刺激が減り、なおかつ日光に当たる時間減るため、認知症が進行しやすくなります。
自力で歩く距離が短くなっても構いません。難しい場合はドッグバギーなどを使い、外の空気や日光を浴びるだけでも良い刺激になります。
3.高齢だからと運動量を極端に減らしてしまう
高齢犬に激しい運動や体力を消耗し過ぎる運動を無理にさせるのは、体に負担をかけてしまいます。しかし、だからと言って全く運動をさせていないと筋力が衰え、脳の活性化の妨げにもなり、さまざまな悪影響を及ぼしかねません。
認知症のリスクも上がってしまうので、愛犬の体調や健康状態と相談しながら、適度な運動は毎日行うようにしましょう。天気の悪い日は、室内で軽く歩き回ったり、おもちゃを使って無理なく遊ぶだけでも運動になります。
4.飼い主や家族とのコミュニケーションが少ない
飼い主や家族とのコミュニケーションが少ないご家庭で暮らす犬も認知症のリスクが高まることが判明しています。飼い主や家族との遊びやスキンシップ、声かけなどは、犬の脳を活性化させる1つの要素だからです。
例えば、毎日留守番時間が長く、1匹で過ごしてばかりの犬は、外部からの刺激が全くない時間が極端に長いため、認知症のリスクが上がってしまいます。犬が高齢期に入ったら、なるべくコミュニケーションを増やすように心がけてください。
5.昼寝をさせすぎてしまう
日中に昼寝をさせすぎてしまうと、夜に眠れなくなってしまいます。特に高齢犬は日中、留守番しているときは常に寝ている犬も多いため、昼夜逆転しがちです。
昼夜逆転は認知症の症状の1つとして多くみられます。昼夜逆転することで、自律神経の乱れなどによる認知症の悪化に伴い、夜鳴きや徘徊といった行動が増えるようになることも。
犬の認知症は治療できるの?
現在、犬の認知症を治す有効な治療法は確立されていません。食事療法や薬の処方で症状の緩和を試みることはできますが、根本的な治療は難しいといわれています。
犬の認知症を未然に防いだり、これ以上症状が悪化しないようにするためには、生活習慣の改善が最も有効です。
早寝早起きを意識した生活リズムや、単調にならないよう適度な刺激を受けられるような日課を取り入れるなど、愛犬の脳を活性化させるような生活スタイルを意識してみてください。
運動に関しては健康状態を考慮する必要があるので、かかりつけの動物病院で相談することをおすすめします。
まとめ
犬の認知症は一度発症してしまうと完治することは難しいのが現状です。認知症にならないよう未然に防いだり、発症したとしても症状が進行しないよう食い止めるためにも、愛犬がシニア期に入ったら生活習慣を見直しましょう。