二足歩行する犬たち…可愛いじゃ済まされない危険性も
犬は喜んだり興奮したりしたとき、稀に後ろ足だけで立ち上がり、そのまま前進する人間の『二足歩行』のような行動を見せることがあります。
一見すると可愛らしい行動に見えますが、本来四足歩行する犬にとって、二足歩行は不自然な動きであり、体に大きな負担をかけている行為です。
本来、犬は前肢に6〜7割の重心をかけている
本来、四足歩行の犬たちは、重心を前肢に6〜7割、後肢に3〜4割かけて行動しています。基本的には前に重心を置いて生活するのが自然な動きなので、後ろ足にほぼ100%の重心を置く二足歩行は、明らかに過剰な負担をかけている行動と言えるでしょう。
この二足歩行を長年続けていると、少しずつ後ろ半身に負担が蓄積され、やがて愛犬の健康に悪影響をもたらす恐れもあります。普段から二足歩行癖や飛びつき癖のある犬は、この癖を改善させ、飼い主が1つの芸としてやらせている場合は今すぐにやめましょう。
犬に『二足歩行』をさせる危険性とは
犬に二足歩行させることで、どのような危険性や悪影響が懸念されるのか、飼い主として把握しておきましょう。
関節に負担をかけて関節炎になってしまう
二足歩行することで後ろ足の関節に強い負担がかかります。歩くたびに関節が強く擦れるなどの負担がかかっているため、関節炎になってしまう恐れもあるでしょう。
関節炎になると、足に痛みを感じて歩くことを嫌がるようになったり、いつもとは明らかに様子が違う歩き方を見せたりします。少しでも違和感を覚える様子を見せたときは、かかりつけの動物病院で診察や検査を受けてください。
後ろ足に重心がかかり脱臼や骨折の危険性
後ろ足に通常とは比べ物にならないほどの重心がかかる二足歩行では、脱臼や骨折などの危険性も懸念されます。
特に後ろ足の膝部分にある膝蓋骨への負担が大きく、この部分が脱臼してしまう犬は多くいます。小型犬は体重が軽く負担がかかりにくいと考えられていますが、それでも少しずつ負担は蓄積しているので気をつけてください。
腰に負担がかかり椎間板ヘルニアになってしまう
犬にとって二足歩行している時の体をピンと真っ直ぐ縦に立てている姿勢は非常に不自然な状態です。そのため、足だけでなく腰や背中にも負担がかかり、最悪の場合、椎間板ヘルニアになってしまうことも。
椎間板ヘルニアは、歩き方に違和感が出たり、麻痺や排尿障害などの重度の症状が出ることもあります。生活が困難になる症状なので、二足歩行が危険な状態をもたらすことを覚えておきましょう。
将来的に足を引きずるなどの後遺症が出る恐れも
上記で紹介したような症状を伴うことで、将来的に後遺症が残ってしまう恐れも懸念されます。椎間板ヘルニアなどの特定の症状が出ていなくても、二足歩行させるたびに足腰に負担はかかっています。
若いうちは大きな問題が生じなくとも、年老いてからその蓄積が一気に悪影響をもたらし、歩行困難や麻痺といった症状を引き起こすこともあるので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたか。愛犬に少しでも健康的に長生きしてもらうためにも、さまざまな健康への悪影響が懸念される二足歩行は今すぐにやめさせるべきです。二足歩行をし始めたら「お座り」などのコマンド指示で座らせて、二足歩行をしないよう少しずつ習慣づけていきましょう。