犬から人にうつる『人獣共通感染症』4つ 重症化を防ぐために気をつけるべきこととは?

犬から人にうつる『人獣共通感染症』4つ 重症化を防ぐために気をつけるべきこととは?

この記事では、犬から人にうつる「人獣共通感染症」をご紹介します。重症化を防ぐために気をつけるべきことも解説しますので、参考にしてください。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬から人にうつる「人獣共通感染症」

女性の鼻を舐める犬

犬から人へ、人から犬へうつる感染症のことを『人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう)』といいます。

人獣共通感染症のなかには命にかかわる重篤な症状を起こすものもあるため、正しい知識をつけて予防することが大切です。

ここでは代表的な「人獣共通感染症」をご紹介しますので、チェックしてください。

1.狂犬病

「狂犬病」は、日本で最も有名な人獣共通感染症だといえるでしょう。

狂犬病は犬や猫、キツネなどの哺乳類や鳥類といった恒温動物に感染する病気で、犬から人への感染は噛まれることで発生することが多いようです。

感染初期は発熱や嘔吐など風邪のような症状があらわれますが、進行すると以下のような症状があらわれます。

  • 幻覚
  • けいれん
  • 精神錯乱
  • 麻痺
  • 恐水症
  • 意識障害
  • 呼吸障害

狂犬病は発症すると治療法がなく、最終的には呼吸困難によって死に至る恐ろしい病です。

しかし、狂犬病は予防ワクチンを接種することで防ぐことができます。

日本では飼育している犬に狂犬病ワクチンを年に一度打つことが、法律で義務づけられています。愛犬の為にも、毎年必ず打つようにしましょう。

2.パスツレラ病

「パスツレラ病」は、犬に引っ掻かれたり噛まれたりして傷口から菌が入ることで感染します。

感染した場合、あらわれる症状は主に以下のとおりです。

  • 傷口の腫れ
  • 蜂窩織炎
  • 関節炎
  • 肺炎
  • 敗血症
  • 髄膜炎

パスツレラ病はさまざまな炎症を引き起こし、重症化すると敗血症や髄膜炎といった重い全身症状になることもあります。

パスツレラ病を防ぐためには、ペットと触れ合ったあとの石鹸での手洗いが有効です。高齢者や持病がある方などは特に重症化しやすいため、犬や猫と触れ合う際は特に注意しましょう。

3.レプトスピラ症

「レプトスピラ症」は、感染している犬の尿に触れることで人間にうつる病気です。尿で汚染された土や水も感染源となります。

初期症状は発熱や頭痛、悪寒など風邪のような症状に加え、目の充血などです。症状が進行すると黄疸や腎障害が起き、適切な治療がされない場合は死に至るケースも少なくありません。

「動物と接触したら手を洗う」「レプトスピラ症が流行っている地域では水遊びをしない」などが予防法になります。

4.回虫症

「回虫症」は寄生虫が原因で起きる病気で、感染している犬の便に含まれた回虫の卵に触れることで人にもうつることがあります。

人に感染した場合は以下のような症状があらわれます。

  • 発熱
  • 腹痛
  • 下痢
  • 吐き気
  • 腸閉塞
  • 栄養障害

犬の回虫症は寄生虫予防薬を適切に飲ませることで予防できますので、動物病院で薬を処方してもらうようにしましょう。飼い主は犬の便を放置せず適切に処理し、作業した後は手洗いを徹底するようにしてください。

人獣共通感染症の重症化を防ぐために気をつけるべきこと

注射される子犬

人獣共通感染症は、まず犬にワクチンや予防薬を正しく使って予防しなくてはいけません。特に狂犬病は一度発症すると治療法がありませんから、ワクチンで予防を行うことが何よりも大切です。

万が一、狂犬病に感染している可能性がある犬に噛まれた場合は、発症前にワクチンを接種するようにしましょう。

見た目が健康な犬でもウイルスや菌を保有していることがありますので、もし噛まれたり引っ掻かれてしまった場合は医療機関へ相談するようにしてください。大したことがないと放置していると症状が悪化してしまうことがあります。

人獣共通感染症は傷を負ってすぐに適切な治療を行えば悪化しないことがほとんどです。心配な時は一度医療機関へ問い合わせてみましょう。

まとめ

手を噛もうとするチワワ

今回は、「人獣共通感染症」について解説しました。

感染症を防ぐためには、犬とキスなど過度のスキンシップを控える、触れ合った後は手を洗うなど基本的な予防をすることが大切です。

予防薬やワクチンも必ず行うようにし、愛犬と自分どちらの健康も守るようにしましょう。

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