サービス・ドッグとは?
皆さんは「サービス・ドッグ」と聞くとどういう犬をイメージされますか?
日本で活躍しているサービス・ドッグとして有名なのは「盲導犬」、「聴導犬」、「介助犬」などですよね。身体障害者(ユーザー)のパートナーとして働く犬として、「身体障害者補助犬法」で認定されています。
海外では犬には癒し効果や優れた嗅覚など多くの優れた能力に注目し、医療関係の現場で活躍しているサービス・ドッグたちが存在します。
日本ではまだあまり知られていないうえに活躍している頭数が少ないのですが、これから頭数を増やして活躍してほしいサービス・ドッグを紹介します。
セラピー犬
重い病気で入院中の子供達や施設にいるお年寄りなどに寄り添い、ストレス緩和など心のケアを任務とする犬です。
また「ファシリティ・ドッグ」と呼ばれる医療現場専門のサービス・ドッグも活躍しています。日本ではベイリー(神奈川)とヨギ(静岡)が活躍中なのをご存じの方もいると思います。日本にはまだこの2頭しかいません。
疾患探知犬
てんかんや糖尿病、偏頭痛などの発作を探知し、患者や周囲に知らせる訓練をされた犬です。
日本ではまだ広く知られていない存在ですが、海外では活躍の報告がいくつかあるようです。
疾患探知犬が探知する疾患の中でも、てんかんは患者の7割が小児で、睡眠中にも発作が起きるというもので、患者が小さい場合には家族は目が離せません。
しかし、人が常時一緒にいてもてんかん発作は事前の予知ができません。
そこで活躍することになったのが、『てんかん発作探知犬』です。
「てんかん発作探知犬」とは?
てんかん発作探知犬はてんかん患者と一緒に生活して常時寄り添い、発作を探知して患者や周囲の人達に知らせる犬です。
てんかん
特徴
- 乳幼児期から学童期に発症しやすく、実は一般的な病気で100人に1人の割合
- 患者の7割は小児(種類によっては成人で発症するものもある)
- 発作は人により多彩で、意識障害、けいれん(ひきつけ)、視覚、聴覚、言語に障害が出ることもある
- 合併することがある発達障害-注意欠陥多動性障害、アスペルガー症候群等
治療方法
- 抗てんかん薬(てんかんの種類にあった薬)
- 外科手術(近年進歩を遂げ、治療の選択肢に入っている)
てんかんは、正しい治療をすれば治っていく良性てんかんが多い疾患です。
てんかん発作探知のメカニズム
通常の生活を送るためには、発作をコントロールすることが重要となります。
てんかん探知犬は、てんかん発作を数十秒~数時間前に探知して患者やその家族に警告してくれるのです。また、患者がてんかん発作探知犬と生活すると安心感もあってか、患者の発作回数も不思議と減少してくるそうです。
2004年に発表された医学文献によれば、犬がてんかん発作を探知するメカニズムの仮説は3つあります。
- 発作前に現れる患者の微妙なしぐさの変化を読み取っている
- 発作前に脳内で発生する電気の変化を感知している
- 発作前に発せられる何らかの化学物質を嗅ぎ取っている
そして、てんかん探知犬と一緒に過ごすことで以下のようなメリットが生まれます。
事前準備
てんかん発作が起こる前に犬から教えられれば、薬を飲んで発作を回避したり、暴れても大丈夫なように安全な場所に移動したり、あるいは発作前後のケアをしてくれる家族や友人を呼んだりする時間の猶予ができます。
QOL(Quality of Life=生活の質)の向上
てんかん探知犬との共同生活によって患者は「いつ発作が来るのか」という不安から解放され、行動の幅がぐっと広がるというQOLの向上を享受できます。
癒し効果
犬が本来持っているセラピー能力や、触れあうことで双方に分泌される幸福感ホルモンと呼ばれるオキシトシンの効果により、てんかん患者のストレスが軽減し、ストレス依存性のてんかん発作を低減できるという二次的効果が期待できます。
てんかん発作探知犬の今後
疾患探知犬の存在の認知度が低い日本では、てんかん発作探知犬はまだ知られていないに等しいと思います。
多少認知されているアメリカでも、犬を訓練する際の高額な費用や2年という長い訓練期間、そしててんかんの再現に関する困難さがあり、てんかん患者数に対して活躍しているてんかん探知犬はまだまだ十分にはいません。
それでも、まずは日本国内でもてんかん発作探知犬の存在が認知され、発作に苦しむ患者さん達のために導入される機会が来る事を願います。今後の進展に期待しましょう。
ユーザーのコメント
30代 女性 奈々ママ
30代 女性 匿名
今の職場にてんかんの方がいるので、その人のためにも、一緒に働く者としてももっと認知度が広がり、たくさんの方が探知犬と生活できるようになればいいなと思います。