愛犬に慢性的なストレスを感じさせている?
リンショーピング大学(スウェーデン)の動物学者、リナ・ロスさんの論文によると、犬の被毛にはストレスの証拠が残っているのだそうです。
「乾燥してパサパサしている」「体のあちこちに脱毛がある」など、愛犬の被毛が健康的ではないと感じられる場合、その原因が飼い主のストレスによる悪影響なのでは…と考えることができるのではないでしょうか。
リナ・ロスさんは、『感情面で敏感な人は神経質な傾向にあり、不安感がある人は、愛犬に慢性的なストレスを感じさせているのではないか』という仮説を立てています。
また、最も興味深く感じたのは『飼い主の不安やストレスが愛犬の被毛に悪影響を及ぼすことはあっても、愛犬が不安やストレスを感じているときに飼い主が不安を感じることはない』というものです。
飼い主がマイナス思考で常に不安を抱えた状態であると、その不安は愛犬にも悪影響を及ぼし、自信のなさからマイナス思考な犬になってしまう可能性があるのではないでしょうか。
実際犬は、飼い主の体臭のちょっとした変化にも気づくことができ、その体臭の違いから飼い主のストレスまで感じることができるのだそうです。
犬の生活は飼い主と共にあり、飼い主なしでは成立できないと言っても過言ではないほど、大部分を飼い主が占めているのです。
リナ・ロスさんは、「私たち人間が犬を理解するよりも、犬のほうが人間のことを断然よく理解している」と話しています。
私たち飼い主は、誰よりも愛犬のことを理解しているようで、実際には知らないことだらけなのかもしれません。
飼い主のストレスが犬に与える悪影響
では、飼い主のストレスが犬に与える悪影響について、ここから具体的に解説いたします。最近ストレスが…という飼い主さんはぜひ確認しておきましょう。
1.安静時の呼吸数が増える
犬が飼い主のストレスに悪影響を受けているとき、安静時の呼吸数が増えることがあります。
お散歩から帰宅した直後でもなく、室内で運動をしたわけでも暑いわけでもないのに、荒い呼吸(パンティング)をしているときは注意して様子を見守りましょう。
また、普段から安静時の呼吸数を確認しておくことが大切です。犬がリラックスしているとき、1分間に何回の呼吸があるのかを数えます。
安静時の正常な呼吸数は、小型犬が20回以下、大型犬が15回以下です。30回を超えるときは異常な呼吸数であると判断することができます。
犬の安静時の呼吸数が増える原因には、ストレスや心臓病があげられます。ストレスが原因である場合では、急性的な反応であると言えます。
2.元気と食欲が低下する
犬が飼い主のストレスに悪影響を受けているとき、元気と食欲が低下することがあります。
昨日まで元気いっぱいだったのに、今日は何だかしょんぼりしている。昨日まで食欲旺盛だったのに、今日は食べ残した(または食べない)。
もしもストレスが原因である場合、慢性的な反応としてこれらのようなことが起こることがあります。もし1週間以上も元気や食欲が低下したままである場合には、動物病院で診てもらう必要があるでしょう。
ただし、ストレスが原因であるという診断は、獣医師にも難しいのではないでしょうか。
愛犬の元気や食欲が低下するまでの自分の行動、愛犬に対する態度など、原因はないかと考えてみる必要があるかもしれません。
愛犬に直接的に向けられたものではなくても、飼い主が仕事や人間関係などによるストレスを抱えている場合、愛犬にも悪影響を及ぼしている可能性があります。
3.異常な行動をする
犬が飼い主のストレスに悪影響を受けているとき、異常な行動をすることがあります。
- しきりに体をカキカキする
- 手足の先や肉球を舐め続ける
- しっぽをカミカミする
- しきりにブルブルをする
- しきりに鼻先をペロッと舐める
- 床のニオイを嗅ぎ続ける(家中のニオイを嗅いで回る)
- しきりにあくびをする
犬の何気ない仕草や行動ですが、しきりに行うこと、いつまでも続けることなど、異常だと感じられるときは、ストレスによる異常な行動であると考えることができます。
自傷行為にも繋がることがあるため、やめさせようとしたり叱ったりするのではなく、原因から遠ざける、原因を取り除くようにしましょう。
まとめ
飼い主のストレスが犬に与える悪影響を3つ解説しました。
- 安静時の呼吸数が増える
- 元気と食欲が低下する
- 異常な行動をする
愛犬は、飼い主の行動・表情・声色をよく観察しています。飼い主の状況が自分にとって良いものであるか、悪いものであるかを判断しています。
そして、自分はどのように反応するべきなのか、どのように行動するべきなのかを学び、常に考えているのです。
愛犬は飼い主の感情やその場の雰囲気を読み取ることが得意であるがゆえに、飼い主のストレスにも悪影響を受けやすいのです。
愛犬を不安にさせないためには、飼い主が自宅の外で得たストレスは、なるべく外で発散してから帰宅したいものですね。