「首輪」と「ハーネス」の安全性の違い
昔から犬をつなぐアイテムとして使われているのが首輪です。頭からすぽっとかぶせることができたり、あるいはアクセサリーのようにつけっぱなしにしておく飼い主さんもいたり、お手軽なアイテムですよね。
近年では首輪のほかに、「ハーネス(胴輪)」を利用する飼い主さんも増えています。
そこで今回は、それぞれのアイテムを使うメリットと、使用する際の注意点を考えてみましょう。
1.「首輪」を使うメリットと注意点
首輪を利用する一番のメリットは、装着のしやすさと、散歩中での飼い主さんからの意思の伝えやすさでしょう。屋外でのトレーニングの際、胴についているハーネスでは伝わりにくい指示でも、首輪ならすぐ伝わります。
また、飼い主の義務として、飼い犬には狂犬病の予防接種時に配布される注射済票や畜犬登録をした際の鑑札を付けなければいけません。犬が常時つけていられるものと考えると、首輪に装着しておくのが適していると言えるでしょう。
ただし、首輪はまさに「首」についているため、飼い主、犬がそれぞれ力を込めてしまった場合、犬の首に大きな負荷がかかってしまいます。首の関節にトラブルがある犬や、呼吸器系の器官が弱い犬、短頭種の犬は避けたほうが良いと言われています。
また、骨が細い小型犬の場合、はずみで引っ張ってしまって骨が折れるといった事故もあるため首輪を避けたほうが良いと言われています。
もちろんしつけの際にも「首輪を引っ張って言うことを聞かせる」のはNGです。
2.「ハーネス」を使うメリットと注意点
ハーネスの一番のメリットは、胸に装着されるためリードを引っ張った時の力が上半身全体に分散されることです。そのため、首の一点で支える首輪とは異なり、体への負担はごく少ないと言われています。
また、胴体を支える構造になっているため呼吸器が弱い犬でも首や気道に負荷をかけずにつなぐことができますし、足腰が弱くなったシニア犬の歩行を補助するための取っ手が付いているタイプもあるため、用途が幅広いとも言えるのがメリットでしょうか。
ハーネスを使う際の注意点と言えば「指示が伝わりにくい」ことです。
特に、引っ張り癖のある犬の場合、胸に引っ張る負荷がかかっていても気が付かずに、どんどん引き続けてしまうことがあります。大型犬の場合この傾向が顕著で、犬が気付かないうちに飼い主が引きずられている、ということもあります。
また、ハーネスは胴体に装着するため、後ずさりしたり首をかがめたりすると抜けてしまうリスクもあります。
特に胴が長いタイプの小型犬はハーネスが抜けやすいので注意が必要です。小型犬のハーネスはデザイン重視のものが多く、骨や首が細いタイプの子の場合簡単に抜けてしまうことがあるので、選ぶ際はしっかりした構造のものを選んでください。
まとめ
今回は、犬にとって「首輪」と「ハーネス」のどちらが安全か、という点でメリットや注意点を解説しました。
「首輪」も「ハーネス」も、どちらも犬の体を考えたメーカーさんのものを、正しく適切な方法で利用すれば安全かとは思います。
しかし、犬の体格や性格によっては、いずれかを利用したほうがより安全となる可能性もあるようです。
鑑札や迷子札などのつけやすさ・落としにくさから首輪を装着し、散歩時の負荷を軽減するためにハーネスを利用する、というように、状況に合わせて上手に使い分けできるとよいですね。