犬は「お腹いっぱい」と感じるのか?
食べることが好きな犬を見ていると、「お腹いっぱいにならないのかな?」「ご飯が足りていないのかな?」と感じる飼い主さんもいると思います。
結論から言うと、犬は満腹を感じるものの、やや機能の鈍さや習性から、体に入る限り食べようとする動物だとされています。
動物の脳の視床下部には、満腹中枢と呼ばれる神経があり、食べものを食べたときに血糖値が上がることで刺激されます。それによって、食欲が抑制される信号が出されて脳が満腹感を感じます。
犬にも満腹中枢はありますが、その機能がやや鈍く、食べものを食べてから満腹感を感じるまでに少し時間がかかります。
さらに、「次の食事(獲物)がいつ得られるかわからない」という野生動物としての本能が残っている犬も少なくありません。「食べられるときにあるだけ食べる=食いだめ」の習性を持っているため、満腹感を感じていたとしても、目の前に食べものがある限り、食べ続けてしまうことが多いのです。
犬がお腹いっぱいのときに見せるサイン
ここからは、犬がお腹いっぱいのときに見せるサインについて解説します。誤ってご飯の与え過ぎはしないように、確認しておきましょう。
1.フーッとため息をつく
犬は、食後や散歩後などに「フーッ」とため息をつくことがあります。ため息というと、不満を感じているのかと考える人もいるかもしれませんが、穏やかな表情で長い息を鼻から出しているときは、多くの場合が満足感を感じていると考えられます。
満腹感や満足感を感じたときに、伏せたり横になったりすると全身がリラックスして自然と息が漏れるのです。そのまま静かにしていると、ウトウトして眠りについてしまうことも多いでしょう。
2.口まわりや前足を舐める
犬がご飯を食べ終わったあとに、自分の口のまわりを舐めたり、伏せてゆったりと前足を舐めたりするときも満腹感を感じていると考えられます。
口のまわりに残っている食べものの味や香りを舐めとっている場合もありますが、お腹いっぱいになっているときのサインでもあります。
犬が自分の体を舐める行動は、不安やストレスが原因になっていることもあります。しかし、食後やゆったりくつろいでいるときに舐めている場合は、満足感を感じている場合がほとんどです。
3.お腹はパンパンに膨れる
愛犬がきちんとお腹いっぱいになっているか心配なときは、仕草や行動だけでなく、体型のチェックもしておくといいでしょう。
犬のお腹の状態を食前と食後に、それぞれ上からまた横から見て違いがあるか確認してみてください。子犬の場合は、1回の食事でお腹がパンパンに膨らむこともありますが、成犬の場合はウエストのくびれがやや膨らむ程度の変化が見られます。
また、同じ犬でも年齢や生活スタイルによって、必要とする食事量は異なります。定期的に体重を測るようにして、愛犬の食事量や栄養が適切であるかもチェックすることをおすすめします。
4.仰向けに寝転がる
犬が食後に仰向けになってゴロゴロとしているときも、満足している可能性が高いとされています。満腹感を感じると、体をゆっくり休めたいと考えるのは犬も人間も同じです。
また、仰向けになって背中をこすりつけるような仕草をしているときも、同じ心理だと考えられています。
犬にご飯を与えすぎることの危険性
犬はお腹いっぱいだと感じにくい動物ですが、犬が求めるままに食べものを与えてしまうのはNGです。
必要以上に食べさせると摂取カロリーが多くなり、肥満を引き起こします。「肥満は万病の元」と言われる通り、糖尿病や高血圧、心臓病、ガン、関節炎、腰痛など様々な身体的トラブルの要因となります。
また、食べすぎると消化器官に負担がかかり、消化不良を起こして腹痛や下痢、嘔吐(吐出)などを引き起こします。
さらに、非常に危険性の高い「胃捻転・胃拡張症候群」のひとつの要因に、「食べすぎ」も挙げられます。
胃が大きく膨らんだ状態で動くと、胃が捻じれて周辺組織への血流が阻害されて壊死を起こします。早急に処置をしなければ、発症から数時間で死に至ることもあるので、食事量や食後の過ごし方の管理は十分に気をつけなければなりません。
まとめ
愛犬の食事がきちんと足りているのか、満足してくれているのか気になっている飼い主さんも多いでしょう。
基本的に犬は満腹になっていても食べ続けてしまう習性を持っているため、その様子からだけでは判断しきれないこともあると思います。
ここで紹介した満腹サインをヒントに、愛犬の体型や体重をこまめにチェックしながら、健康管理に役立ててくださいね。