犬の目はどれぐらい見えているのか
一般的に、『犬の視力は0.1~0.3程度』なのではないかとされています。人の場合、20代~60代の視力の平均が0.5程度とされていますから、それほど大きな差がないように感じられるかもしれません。
しかし、同じくらいの視力でも、人の目に見えている世界が鮮明であることに対して、犬の目に見えている世界は粒子が粗く、解像度が低いとされています。
この犬と人の見え方の違いは、脳に視覚情報を送るための視神経繊維を比べたとき、人の方が圧倒的に多く、犬には少ないことにあります。
また、人の視力が低下したとき、コンタクトレンズやメガネを装着するという手段があることも、犬と人の見え方の大きな違いでしょう。
今回はこのように、犬の目の見え方や視力低下の症状まで、目に関することについて解説します。最近愛犬の目の状態が気になる…という方はぜひ参考にしてくださいね。
暗いところでも見ることができる
犬の目には「タペタム」という細胞の層があり、暗いところでも見ることができます。
車のライトが当たったとき、スマートフォンのフラッシュ有りで撮影したときに犬の目が光るのは、このタペタムが光を反射するからです。
犬は、タペタムの存在によって、暗いところでも少ない光を増幅させ、見ることができます。
そのため、夜中に起きだして水を飲みに行く愛犬が、真っ暗闇の中でも水のある場所まで物や壁にぶつかることなく歩けるのも、実はこの機能のおかげでしょう。
犬と人の見渡せる範囲の違い
犬種によって多少の差はありますが、犬の左右の目が少し離れていることによって、人よりも広い範囲を見渡すことができるといえます。
具体的には、犬の両眼視野が45度であることに対して、人の両眼視野は120度です。犬の単眼視野が140度であることに対して、人の単眼視野は40度です。
なおここでいう「両眼視野」とは、両方の目で見ることができる範囲のことを指し、「単眼視野」とは片方の目だけで見ることができる範囲を指します。
犬と人の見える色の違い
従来、『犬の目にはモノクロの世界が見えているのではないか』といわれてきましたが、近年の研究によると、『寒色系を青として認識し、暖色系を黄色として認識しているのではないか』といわれています。
つまり、『犬が認識しやすい色は、青と黄である』ということが分かったのです。
犬の視力低下の症状
犬の視力はもともと0.1~0.3程度ですが、加齢と共にさらに低下します。
視力が低下したとき、物や壁にぶつかるようになったり、水やトイレの場所までなかなか辿り着けなかったりすることがあります。飼い主の姿を上手く見ることができず、不安になり、鳴き続けたり吠え続けたりすることもあります。
また、警戒心が強まったり、攻撃的になったりすることがあります。視覚による情報が十分に得られなくなり、不安や恐怖を抱きやすいのです。
視力が低下したとき、より嗅覚や聴覚を頼るようになることでニオイや音に敏感になり、インターホンの音や人の声に吠えるなど、これまでになかった行動をすることもあります。
このような症状があらわれたときは、視力の低下だけではなく、目の病気を疑い、なるべく早く動物病院へ行きましょう。
まとめ
犬の目と人の目の見え方の決定的な違いは、やはり犬の目が暗いところでも見ることができるということでしょうか。
そして、認識できる色にも大きな違いがあります。人の目が100万色以上もの色を見分けることができることに対して、犬の目は主に青と黄の2色で大まかに見分けています。
シニア犬になると、目に白い濁りがあらわれることがあります。これは視力低下のサインのひとつです。
白内障の可能性もあるため、シニア犬になったら、定期的な眼科検査を受けるようにしましょう。かかりつけの動物病院でも可能ですし、より精密な検査を希望される場合には、眼科診療科を訪ねるのもよいと思います。