犬の「クッシング症候群」とは
犬の「クッシング症候群」は、腎臓の側にある副腎から「コルチゾール」という副腎皮質ホルモンが過剰分泌されることで起きる病気です。
コルチゾールは本来、犬の体内で代謝や抗炎症作用、免疫抑制などの大切な役割を担うホルモンですが、過剰に分泌されると、さまざまな健康トラブルを引き起こします。
クッシング症候群はプードルやダックスフンド、ボストンテリアなどの犬種に多いという報告もありますが、どの犬種でもかかる可能性があり、特に8歳を過ぎた高齢犬が発症しやすいといわれています。
「クッシング症候群」の犬にあらわれる症状
ここからは、犬の「クッシング症候群」の症状をご紹介します。愛犬にこれらの症状が見られたら、できるだけ早く動物病院に行って診察を受けましょう。
1.多飲多尿
犬のクッシング症候群の症状として、代表的なのが「多飲多尿」です。
多飲多尿の症状はクッシング症候群だけでなく、糖尿病や子宮蓄膿症、腎臓病の犬にもよく見られるので、愛犬が普段よりも水を大量に飲んでいる、おしっこの回数が多い場合は病気を疑いましょう。
2.食欲の増加
「食欲の増加」も犬のクッシング症候群の症状の一つです。
ご飯をたくさん食べていると「健康だ」と思ってしまうかもしれませんが、愛犬がいつもより明らかに食欲旺盛な様子があれば注意しましょう。
3.皮膚トラブル
クッシング症候群にかかった犬には以下のような「皮膚トラブル」が起きやすくなります。
- 皮膚が薄くなる
- 色素沈着で黒ずむ
- かゆみや炎症が起きる
- 脱毛
クッシング症候群での脱毛は、左右対称性で尻尾と顔以外の部分の毛が抜けやすいという特徴があります。
4.呼吸が荒い
クッシング症候群の犬は、ハアハアと荒い呼吸(パンティング)をすることが多くなります。
運動をした後でもないのに愛犬の息が荒い時は、何らかの疾患を疑いましょう。
5.腹部膨満
犬のクッシング症候群は進行すると全身の筋肉が衰えるため、お腹がぽっこりと膨らんで見えることがあります。
6.神経症状
下垂体にできた腫瘍が肥大して脳を圧迫すると、夜鳴きや徘徊など認知症と同じような症状が起きることもあるようです。
犬の「クッシング症候群」の原因
犬のクッシング症候群の原因は、約80%がホルモンの分泌を担う下垂体にできる「下垂体腫瘍」、残りの約20%が副腎にできる「副腎腫瘍」で、ほとんどが下垂体腫瘍によるものだといわれています。
また、何らかの病気の治療のためにステロイド(副腎皮質ホルモン)を長期間使用した場合にも、クッシング症候群になることがあるようです。治療が原因で起きるクッシング症候群は「医原性クッシング症候群」と呼ばれます。
犬の「クッシング症候群」の治療法
下垂体腫瘍が原因である犬のクッシング症候群には、以下の治療法があります。
- 内服薬
- 外科手術
- 放射線治療
腫瘍の大きさや犬の状態などによって、いずれかの治療法が決定されます。
なお、副腎腫瘍が原因の場合は、外科手術が適用となることが多いです。
まとめ
今回は、犬の「クッシング症候群」について解説しました。
クッシング症候群には有効な予防法がありませんので、早期発見・早期治療が犬の命を守る大切な鍵になります。
日頃から愛犬の様子をチェックし、定期的な健康診断を受け、違和感があればできるだけ早く動物病院を受診することが大切です。