犬の口臭がきついと感じたら… 考えられる病気やニオイを抑えるための口臭対策まで

犬の口臭がきついと感じたら… 考えられる病気やニオイを抑えるための口臭対策まで

愛犬に顔を近づけたときに(なんか臭い…!)と思った飼い主さんは多いのではないでしょうか。実はその口臭、病気が隠れているサインかもしれません。今回は、犬の口臭がきついと感じたときに考えられる病気と口臭対策をご紹介します。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬の口臭がきついと感じたときに考えられる病気

口を持たれるヨークシャーテリア

人間同様、犬も口臭がするときがありますが、あまりにもきつい臭いだと感じた場合は注意が必要です。単なる歯磨き不足ではなく、なんらかの病気のサインかもしれません。

そこで今回は、犬の口臭がきついと感じたときに考えられる病気について解説します。愛犬の口臭がきつい場合に対応できるようにしておきましょう。

歯周病

犬の歯の病気で最も多く、生活習慣病ともいえる「歯周病」は、進行すると臭いもきつくなります。抜歯が必要となり、さらに悪化すると顎の骨が溶けるなど重大な症状を引き起こします。

犬の8割近くが歯周病リスクを抱えているともいわれており、デンタルケアは口臭予防だけではなく、健康トラブルを予防する意味でも非常に重要です。

口腔内疾患

口の中に腫瘍がある場合も口臭が強くなります。腫瘍には「良性」と「悪性」があり、良性では周辺組織にそれほど影響は与えません。

しかし、悪性黒色腫(メラノーマ)や扁平上皮癌に代表される悪性腫瘍の場合は骨組織まで破壊されるため、歯周病と同じような腐敗臭が生じることがあります。

この場合、よだれが多くなる、口腔内からの出血などの症状があらわれます。

腎臓や肝臓の疾患

腎臓や肝臓に何らかのトラブルがあると、本来は代謝により体外に排出される老廃物が体内に溜まり、口臭として表面化することがあります。臭いの特徴はアンモニア臭です。

症状があらわれたときには病気が進行していることが多く、早期発見が治療の鍵となります。

口臭の他、元気・食欲がない、体重減少などが一般的です。普段の生活では見逃してしまいがちな症状ですが、少しでも異変を感じたら動物病院へ連れて行きましょう。

腸閉塞

腸閉塞や腸のねじれ、重度の便秘など、何らかの理由で腸管が詰まり正常に機能しなくなることで、口から便のような臭いがすることがあります。

口臭以外にも強い腹痛や嘔吐などの、犬にとって辛い症状を示します。命にかかわる場合もあるので、疑われる場合はすぐに受診する必要があります。

胃炎

犬も胃の調子が悪いときは人間同様胃酸過多になり、口からのすっぱい臭いが口臭として感じられます。このような症状の場合、胃炎や胃潰瘍、胃のポリープなどの可能性が挙げられます。

胃酸が多く分泌されると、喉元まで胃酸が込みあげてきたり嘔吐してしまうことも。空腹時間が長い場合も胃酸過多となり、一時的に口臭が強くなることもあります。

糖尿病

犬の口から甘い匂いを感じたら、糖尿病の疑いがあります。遺伝や生活習慣からインスリンが正常に分泌されない、もしくは分泌されてもうまく作用しない場合に発症します。

代表的な症状は、多飲多尿です。急激に水を飲む量が増え、おしっこの回数も比例して増えます。おもらしが続いて動物病院を受診したら発覚したケースもあるほどです。

なお、痩せている犬でも糖尿病になり得るので注意が必要です。

犬の口臭対策とは?

歯みがきされる小型犬

上記のように、なんらかの病気が原因でしている口臭の場合は病気を治すことが大前提ですが、病気が原因ではない場合は基本的な口臭対策が必要です。

まずは基本的な口臭対策を日々のお手入れに取り入れて、いざというときに病気かどうかの判断がしやすいようにしておきましょう。

歯磨きなどのデンタルケアを行う

最も大切なのは、歯磨きなどのデンタルケアを習慣化することです。口周りや口の中を触られるのを嫌がる子も多いですが、根気強く短時間で繰り返し行い慣れさせるしかありません。

最初は歯磨きシートや指サックを使い、歯や歯茎を優しく触り抵抗をなくしてください。慣れてきたらしっかり磨ける歯ブラシを目標に置きましょう。

なお、デンタルケアの講習会を開いている動物病院もあるので、飼い主さん自身も慣れていない場合は、そのような機会を探して積極的に利用すると良いですね。

しっかり水分補給をする

水を飲む量が少ないと、口の中の細菌や雑菌の洗い流しが不十分となり、結果として口臭を放ってしまう原因となります。

また、歯垢が付着したままだと歯周病を誘発する原因へとつながってしまいますので、水分はしっかり摂らせましょう。

常に新鮮な水を用意し、飲みたいときにすぐ飲めるように数か所設置してあげると良いですね。

口臭予防のドッグフードに切り替える

愛犬の口臭予防のためには、ウェットフードよりも歯垢が形成されにくいドライフードがおすすめです。

ちなみに、大きめの粒を噛み砕いて食べることにより歯垢や歯石をこそぎ落す効果が期待できるフードも販売されています。

その他、善玉菌が含まれたサプリメントを与えることで、悪玉菌の働きが抑制され口臭予防につながります。おやつやおもちゃも、デンタルケア効果の期待できるものを積極的に与えましょう。

定期的に口臭チェックを行う

前述の通り、犬の口臭は「腐敗臭」「アンモニア臭」「酸っぱい匂い」「甘い匂い」など、さまざまな特徴があります。

愛犬と顔を近づけたときに意識して口臭をチェックしてみましょう。普段から愛犬の口の臭いを嗅いでいれば、些細な変化にも気づけるはずです。

まとめ

口内を診察される大型犬

(大好きな愛犬だから口の臭いも気にならない!)と思う飼い主さんがほとんどでしょう。しかし、口臭の裏には重大な病気が潜んでいるかもしれません。

愛犬の口臭を悪化させないためにも、まずは毎日のデンタルケアを根気強く行うことがとても大切です。

愛犬の口臭が強くなった、匂いが変わったと感じたら、すぐにかかりつけの動物病院を受診してくださいね。

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