1.歯垢・歯石がついている
犬の口内環境を悪化させるきっかけとなるのが、「歯垢」と呼ばれる歯の汚れです。
食べ物を食べたあと、歯みがきなどのケアをせずにいると、食後6時間後あたりから歯に歯垢が付着し始めます。歯垢には、歯周病の原因となる細菌が多数含まれています。さらに、2~3日放置するだけで石灰化して「歯石」となり、歯磨きでは取れなくなってしまいます。
歯石は表面がざらざらしているため、清潔な歯の表面よりも歯垢が付きやすい状態です。そのため、歯石にはどんどん汚れがたまり、さらなる歯石が積み重なる悪循環となってしまいます。
口内環境を清浄にたもつためには、1日1回は歯磨きをして、歯に付着した歯垢が歯石になる前に除去することが大切です。
また、歯石が多く付いてしまった場合には、獣医師による歯石除去治療を受けることも検討しましょう。
ただし、しっかりとした歯石除去をおこなうためには全身麻酔が必要なので、老犬ではむずかしい場合があります。年齢や体質を考慮して、歯石除去治療を受けるタイミングを考えるようにしてください。
2.口臭が強い
愛犬が近づいてきたとき、「いつもより口がくさい」と感じた場合、口内環境が悪化している可能性があります。
歯垢や歯石によって歯に汚れや細菌が多く付着していると、口臭が強くなってしまいます。また、歯周病にかかっていることで歯ぐきが炎症を起こしたり、膿がたまったりしていて生臭さや腐敗臭のようなにおいを発生させることがあります。
ただし、ツンとするようなアンモニア臭や便臭のようなにおいがした場合やいつもの口臭と違うと感じた場合は、口そのもののにおいではなく体内から上がってきていることが考えられます。この場合、胃腸や腎臓、肝臓などの内臓系疾患を抱えている可能性もあるので、念のため獣医師に相談するようにしましょう。
3.歯茎から血が出ている
犬がご飯を食べたあとや歯磨きをしたとき、おもちゃ遊びをしたときなどに、歯ぐきから出血している場合は、歯肉炎や歯周炎などによるものかもしれません。
ちょっとした刺激で歯ぐきから出血する場合は歯周病にかかっている可能性が高いので、発見した場合は歯のケアを念入りにおこなうようにするとともに、獣医師にも相談してください。
ただし、歯ぐきからの出血は、口内に傷ができていたり歯の生え変わりをしたりと様々な原因があるので、それをしっかりと見極めることも大切です。
4.食欲不振
犬があまり食べものを食べなくなったり、食べ方に違和感があったりしたときは、口内にトラブルが起きている可能性が考えられます。
歯周病が進行して、物を噛んだときに痛みや不快感を感じるようになっていると、食べたくてもうまく食べられなくなったり、食べること自体が苦痛になったりします。
そのため、今までは喜んで食べていたものを食べなくなったり、硬いおやつを嫌がるようになったりした場合は、歯や歯ぐきにトラブルが起きていることを考えてみてください。
まとめ
犬の口内環境が悪化して、重症の歯周病にかかると、細菌が血管を通して全身をめぐってしまい、寿命を縮めるほどの悪影響を及ぼすことがあります。
歯や歯ぐきの健康を守るためには、歯ブラシを中心とした日常的なケアが重要な役割を果たします。
飼い主のケア次第で、愛犬の歯周病やそれを要因とした疾患を防ぐことは十分可能なので、日頃からしっかりと意識しましょう。