犬のにご飯をあげるベストな時間
そもそも『犬のご飯の時間を決めるべきかどうか』についてですが、基本的には『毎回ぴったり同じ時間に固定しすぎない方がいい』と考えられています。
健康な成犬の場合、朝晩2回ご飯を与えている家庭が多いと思いますが、「毎日朝7時と夜7時」など、ぴったり同じ時間に与えるのはあまりよいことではないとされているのです。
前後30分~1時間程度の幅を持って与えるなど、大まかな時間帯を決めてご飯をあげることは問題ありませんが、数分のズレもないように時間を決めて与える必要はありません。
むしろ、時間が固定化されすぎてしまうと、飼い主さんの予定や体調の都合などでご飯のタイミングがズレたときに犬が不安やストレスを感じてしまいます。
同じ時間に食べ続けると、犬は体内時計でご飯がもらえる時間を学習するため、その時間にご飯が出てこないと強いストレスを感じてしまうのです。そのようなときに、要求吠えをしたりいたずらをして、飼い主さんの気を引いたりと思わぬトラブルが起こることもめずらしくありません。
また、犬から「そろそろご飯ちょうだい!」と要求されてご飯を与えてしまうと、要求吠えや要求行動のくせがついてしまったり、わがままになってしまったりすることもあるので注意が必要です。
『時間がズレても毎日しっかりとご飯をもらえる』という経験をくり返せば、時間を気にしすぎることなく落ち着いて待つことができるでしょう。
犬のご飯の時間を決めるポイント
前章で「犬のご飯の時間はきっちり同じ時間ではない方がいい」とお伝えしましたが、それでもご飯をあげるべきタイミングで悩んでいる飼い主さんもいると思います。
ここからは、犬のご飯のタイミングや時間を決めるうえで、知っておきたいポイントについて解説します。
散歩の前後はNG
犬のご飯を与える時間は、基本的に飼い主さんの生活リズムに合わせて問題ありません。しかし、犬の食事の前後、特に食後すぐは絶対に避けるべきタイミングです。
犬は食べものが胃に入った状態で運動をすると、「胃捻転胃拡張症候群」という疾患を引き起こす可能性があります。大きく膨らんだ胃が揺さぶられることで捻じれてしまい、血液やリンパが滞ってしまい周辺組織が壊死していってしまう疾患です。
この疾患は非常に進行速度が速く、発症から数時間で死に至ってしまう危険があります。
「胃捻転胃拡張症候群」の原因には様々なものがありますが、「ご飯や大量の水を飲んだ後の運動」が特に大きなリスクと考えられているため避けた方がいいでしょう。
食後に散歩に行く場合やおもちゃ遊びをする場合は、最低でも30分〜1時間ほど休ませてください。また、散歩後もきちんと休んで息が整った状態で与えるようにしましょう。
同じくらいの間隔を開ける
犬のご飯は、それぞれの間隔が同じくらいの長さになるように時間を設定するといいとされています。
1日2回ご飯を与える場合は、「朝7時前後と夜7時前後」など12時間ごとに与えると、空腹感に偏りがなく消化器への負担もかかりにくいのです。時間に偏りがあると、どちらかのタイミングで強い空腹感を感じたり、胃液を吐いてしまったりする犬がいます。
飼い主さんの都合でうまくタイミングがとれないときは、長時間開いてしまうところでおやつを与えたり、食事量のバランスを変えたりといった工夫が必要です。
ライフステージに合わせて変化させる
犬のご飯は、一生同じタイミングで与え続けるのではなく、年齢や体質、体調、生活リズムなどに合わせて変えていくことも必要です。
犬の様子や排泄物の状態などを見ながら、犬の体にとってベストなご飯の与え方を考えていきましょう。特に子犬の時期やシニア期は、一度にたくさんのご飯を与えても上手に消化できないので、1日3〜4回に分けて少しずつ与えることが推奨されています。
また、妊娠・授乳中や病中病後なども、健康なときとは異なるご飯の与え方をしなければなりません。このような場合は、獣医師としっかり相談して食事の時間や回数を決めるようにしましょう。
犬のご飯は飼い主より先でも後でもOK
犬のトレーニングで「飼い主は犬の絶対的なリーダーであるべき」という考え方が広まっていた頃、「犬に飼い主より前を歩かせてはいけない」や「飼い主より先にご飯を食べさせてはいけない」と言われていました。これは、群れ社会で生きていた犬の祖先と考えられる動物が、リーダーから先に食事をしていたためです。
しかし、近年ではそのような「絶対的リーダー論」は必ずしも正しいものではない、という意見が言われるようになってきており、『愛犬との関係性の構築においては食事のタイミングは無関係』とされています。
まとめ
犬のご飯の時間は、基本的に飼い主さんの生活リズムに合わせて臨機応変に決めてかまいません。
逆にきっちり同じ時間に固定しすぎてしまうと、犬にとっても飼い主さんにとっても負担になってしまう可能性が高いので、犬にご飯を与える時間は、少し時間の幅を持たせて大まかに決めるようにしましょう。
また、ご飯を与える時間を決めるときは、犬の体に負担をかけないようなタイミングになるように注意してくださいね。