犬も風邪をひく!?
犬も風邪のような症状を引き起こすことがあります。しかし、獣医学的には「風邪」と呼ばれる病気は、犬にはないそうです。よく考えてみると、犬と数十年暮らした中で、「風邪」と診断されたことは一度もありません。
例えば、鼻水や咳が出るなど、犬に風邪のような症状を引き起こす「ボルデテラ・ブロンキセプティカ」という細菌がおり、感染すると「ボルデテラ症」を発症します。
ウイルスの感染によって、鼻水や咳やくしゃみなど、犬に風邪のような症状を引き起こす「犬パラインフルエンザウイルス」という感染症もあります。
また、ウイルスや細菌やマイコプラズマなどの病原体に犬が感染すると、風邪のような症状が引き起こされ、その症状の全てを「ケンネルコフ」と呼ぶこともあります。さらには、呼吸器の疾患を風邪と呼ぶこともあります。
犬にも人間と同じような風邪に似た症状が引き起こされることはありますが、「風邪」ではなく、「~感染症」や「~疾患」や「~炎」と診断されます。
そのため、「犬が風邪をひく」とはあまり見聞きしないのかもしれません。
犬が風邪をひいた時の「初期症状」
では、犬が実際に風邪の「初期症状」のような状態になった場合、具体的にはどのような様子が見られるのでしょうか。
1.繰り返される「咳」
犬が風邪をひくと、咳のような初期症状が見られることがあります。
明らかに(これは咳をしている症状だ)と感じられる場合もあるのですが、(嘔吐しようとしているのでは…?)と感じられる場合もあります。
「ケッケッケッ」と小刻みな咳をするときもあれば、「ケッ」と1回だけ咳をするときもあります。「ケハッ」と嘔吐のような咳をするときもあります。
どれも「繰り返させる」というのが特徴です。悪化を防ぐため、咳のような症状が続く場合には、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
2.透明な「鼻水」が出る
犬が風邪をひくと、初期症状では、透明な鼻水が出ることがあります。
悪化すると、透明だった鼻水が“緑色”や“膿”のように見られるようになることがあります。悪化を防ぐため、鼻水が透明なうちに獣医師に診てもらいましょう。
3.食欲も元気もある
犬が風邪をひくと、初期症状のうちは食欲もあり、元気にお散歩もするでしょう。
しかし長期化すると、ウイルスや細菌やマイコプラズマなどの病原体が二次感染し、だんだんと食欲や元気がなくなることがあります。また、二次感染すると、肺炎を引き起こしてしまうことがあるので要注意です。
咳や鼻水の症状があるときは、長期化や二次感染や肺炎による悪化を防ぐため、食欲や元気があっても、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
犬の風邪の予防法
犬に風邪のような症状を引き起こすケンネルコフは、混合ワクチンで予防することができるウイルスもあります。
犬アデノウイルス2型や犬パラインフルエンザウイルスです。子犬の場合、ペットショップや繁殖場で感染することがよくあるとされています。
子犬は混合ワクチンを打ってからお散歩デビューしますが、抗体価が上昇するまでには時間がかかるため、2週間程度はペットホテルやドッグランは避けた方がよいでしょう。
道端の芝生や公園など、不特定多数の犬が立ち寄るであろう場所も避けてお散歩した方がよいと思います。
成犬にも老犬にも混合ワクチンの接種による風邪の予防が必要です。任意のワクチンではありますが、愛犬の健康を守るため、年1回の接種を忘れないようにしましょう。
まとめ
犬が風邪をひいた時の初期症状を3つ解説しました。
- 繰り返される「咳」
- 透明な「鼻水」が出る
- 食欲も元気もある
犬の風邪は、様々なウイルスや細菌やマイコプラズマなどの病原体への感染が疑われ、重症化することは少ないとされていますが、肺炎を引き起こす可能性があります。
食欲や元気がなくなってからでは、治療の長期化や死に至ることもあります。咳・透明な鼻水・くしゃみの初期症状が見られたらすぐに動物病院へ行きましょう。