愛犬が「恐怖症」になっているときの症状
犬にもそれぞれ個性があり、人間のように性格の違いがありますので、怖がりさんな犬も当然存在すると思います。
ちょっと怖がり…程度なら良いのですが、「恐怖症」というレベルになっている場合には適切なケアが必要です。
そこで今回は、愛犬が「恐怖症」になっているときの症状について、考えられる原因やケアする方法と合わせて解説します。
1.震える、固まる
犬が恐怖を感じると、その場で動けなくなって固まったり、震えたりします。怖い思いをすると逃げたり隠れたりすることもありますが、強い恐怖を感じるとそれすらもできずに立ちすくんでしまうのです。
このような状況になった犬は、さらに恐怖を感じさせたり追い詰めたりすると、自分を守るために攻撃行動に転じる可能性もあるので注意が必要です。
2.瞳孔が開く
犬が強い恐怖を感じていると、瞳孔が開いた状態になることがあります。
ただじっとしているだけだと、怖がっているのかわかりにくいと思いますが、顔がこわばって瞳孔が開いている場合は恐怖を感じているサインでしょう。
3.荒い呼吸をする、よだれを垂らす
犬の恐怖症の症状としてわかりやすいのが、よだれを垂らすことです。
よだれを垂らすことは運動後や食事前などにもありますが、そのような状況ではないときに短く荒い呼吸をしたり、よだれを垂らしていたりする場合は恐怖を感じていると考えられます。
4.落ち着きがなくなる、パニックになる
犬が恐怖を感じると、興奮状態になって落ち着きがなくなることがあります。同じ場所をウロウロと歩き回ったり、パニック状態になって暴れたりすることもあります。
飼い主さんの呼びかけの声なども耳に届かず、脱走してしまうこともあるので、特に外にいるときは注意が必要です。
5.無意識に排泄してしまう
犬が強い恐怖を感じたとき、尿や便を失禁してしまうことがあります。恐怖のあまり無意識にしてしまうことなので、犬自身にもコントロールできないことです。
このような症状が出ているときは、愛犬がかなり強い恐怖を感じている可能性が考えられます。
愛犬が「恐怖症」になっていると考えられる原因
犬が恐怖を感じるものは色々とありますが、特に多いのが雷や花火のような大きな音、知らない人や場所などが挙げられます。また、過去に怖い思いをした場所や物に対しても、強い恐怖心を持つことがあります。
恐怖症に陥ってしまう原因は、未知のものに対する不安や過去のトラウマです。留守番中など飼い主さんが見ていないところで怖い思いをしたことが原因となっていることもあるので、原因を探るためには様々な可能性を考えることが必要です。
愛犬の「恐怖症」に対してケアする方法
愛犬が「恐怖症」になったら、当然適切な方法でケアをしないといけません。正しくケアしてあげることで、必要以上に恐怖を感じてしまう状況を取り除いてあげましょう。
恐怖を感じる状況を作らない
犬が恐怖を感じるものや状況がわかっている場合は、できるだけそのような状況に陥らないように配慮することも必要です。
もちろん、一生避け続けることはできないと思いますし、少しずつ慣らしていくことも大切です。しかし、強い恐怖を感じる経験を積み重ねることは、愛犬にとって決して良いことではありません。
まずは一旦恐怖の元から離れさせたり遠ざけることで、恐怖を感じなくても良い環境作りをしてあげましょう。
怖がっても大げさになだめない
犬が怖がっていると、「大丈夫だよ」と優しく声をかけてなでたり、抱き上げたりする飼い主さんは多いと思います。
愛犬を安心させてあげようとする気持ちはもちろん大切ですし理解できます。しかし、あまりにも大げさになだめてしまうと、犬は「やっぱりこれは怖いことなんだ!」と余計に不安を感じてしまうことがあります。おおげさになだめてしまうことで、さらに恐怖を強めてより激しい症状が出るようになることも。
そのため、飼い主さんは愛犬が怖がっている場面でも決して興奮せずに、冷静に対応しましょう。愛犬の様子を見守って安全を確保しつつ、静かに寄り添ってあげるだけで十分です。
恐怖の対象に少しずつ慣らす
恐怖を感じているものが何かわかった場合は、無理のない範囲で対象のものに少しずつ慣らすトレーニングも必要です。花火の音が苦手な犬には、トレーニング用の音源などを利用して小さな音から聞かせていくといいでしょう。
苦手な音を聞かせたり、初めての場所に連れて行ったりしたときに、好きなおやつなどを与えるとさらに効果的です。苦手なものに触れたとき、「良いこと、嬉しいがあった」という経験を積み重ねることは、苦手克服のためにとても大切なことだと考えられています。
薬物療法をする
犬の恐怖症が重度であると考えられる場合は、動物病院を受診するのもひとつの方法です。
パニック状態になることで心身への負担が大きい場合などは、鎮静作用のある薬を利用するといった治療を受けることもできます。
薬物療法の進め方は、犬の状態によって異なるので、症状が出ているときの様子を撮影するなどして獣医師に相談してみてください。
まとめ
犬の「恐怖症」はめずらしいものではありません。軽度なものから重度なものまで、症状や状態は様々ですが、犬は色々なものに対して不安や恐怖を感じることがあることを覚えておきましょう。
その上で、子犬の時期はもちろん成犬になっても、様々な経験をさせることで社会性や自信を身につけさせて、恐怖を感じる対象を減らしてあげることが大切です。
すでに恐怖を感じているものがあれば、適切な接し方とトレーニングで時間をかけて少しずつ克服を目指しましょう。