1.体が痛い
普段は攻撃的な様子を見せない犬が、飼い主さんが近づいたり、触れたりしたときに突然噛みついてきた場合、犬が自分の体になんらかの痛みを感じている可能性があります。
犬は体の不調を飼い主さんに自ら訴えかけることはほとんどせず、基本的には体を休めて痛みが落ち着くのを待ちます。医療に頼るという選択肢を持たない動物は、ただ静かに体の回復を待つのが自然な行動です。
そのため、犬が痛みや苦痛を抱えているときに、飼い主さんが気がつかないということもめずらしくありません。そのようなときに、飼い主さんに突然抱き上げられたり、痛い部分を触られたりすると、反射的に触れてきた手に噛みついてしまうことがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、普段から愛犬の様子をしっかりと観察することです。そして、体を休めていているときは突然触らず、犬が飼い主さんの存在に気がついてから触れるようにしましょう。
また、触れられて嫌がる部分がある場合は、しつこく触らず、怪我や病気の可能性を考えて動物病院に相談するようにしてください。
2.ストレスや恐怖を感じている
犬は痛みだけでなく、強いストレスや恐怖を感じているときにも、自分の身を守るために相手に噛みつくことがあります。
例えば、とても苦手な動物病院に連れて行かれそうになったとき、近づいてきた飼い主さんの手を噛んででも逃げようとすることがあります。特に、逃げ場がないような場所に追い込まれた場合は攻撃に転じるしかないため、「噛む」という行動を起こしやすくなります。
そのため、犬が明らかに不安やストレス、恐怖を感じている場合は、逃げられないように追い込んで捕まえようとするのは非常に危険です。状況に応じて犬の気持ちに配慮し、決して必要以上に追い詰めることのないように注意してください。
3.自分の物を取られたくない
犬は自分が大切にしているものを守るためにも、飼い主さんのことを噛むことがあります。
他の犬や他人にも同じ行動を見せることがありますが、飼い主さんが注意したいのは食後のフードボウルや遊んでいたおもちゃを片付けるときです。
食欲や所有欲の強い犬の場合、食べ終わったまたは使い終わったはずのものでも、「誰にも取られたくない!」と思うことがあります。そのような気質の犬の場合は、物の受け渡しをスムーズにできるようにトレーニングすることが大切です。
トレーニング中でまだトラブルが起こりうる場合は、犬がその場を離れてから片付けるようにしたり、ほかのことで犬の気をそらせたりしましょう。
4.認知症など老化による不安感
年齢を重ねた犬が突然噛むようになった場合は、認知症や老化現象が影響していることも考えられます。
老犬になると、聴力や視力などが低下し、周囲に対する認知能力や察知能力が鈍くなります。そのため、突然触られると非常に驚いたり、怖がったりするようになることもめずらしくありません。
老犬に触れたり近づいたりするときは、不安や恐怖を感じさせないように遠くから視界に入るようにしたり、飼い主さんがそばにいることをわからせてから触るようにしたり、というような配慮が必要です。
5.テンションが上がりすぎた
犬が突然飼い主さんを噛む理由として、ここまで紹介してきたものは「自分や大切なものを守るため」というものです。しかし、そうではなく本当に突発的に飼い主さんに噛みついてしまうこともあります。
それは、遊んでいるときや運動しているときテンションが上がりすぎてしまって、身近にあるものに飛びついたり噛んだりしてしまうという場合です。
あまりにもはしゃぎすぎて、そばにあるものに思わず噛みついてしまうということは子犬や若い成犬に少なからず見られます。
しかし、このような場合力加減もできないため、とても危険なので、テンションが上がりすぎないように飼い主さんがコントロールすることも必要です。
まとめ
愛犬に噛まれると、飼い主さんはとても大きなショックを受けると思います。特に、普段は攻撃的な態度を見せない愛犬に噛まれたら、驚いてしまうと思います。
しかし、犬にとって「噛む」という行動は決してめずらしいことではありません。自分や大切なものを守るための手段なので、タイミングや状況次第ではどのような犬であっても起こりうる問題なのです。
愛犬に噛まれるというトラブルを防ぐためには、とにかく日頃から愛犬の様子をしっかりと観察することです。また、犬の気持ちを考えてコミュニケーションをとることもとても大切です。
突然噛む行動の前には、何らかのサインが出ています。寝ている時間が長い、寝ているとき微かに唸り声を上げている、スキンシップを避けるなど、いつもとは異なる様子が見られる場合は十分に注意してください。